第六話  緑玉の指輪

シャウル「これは暗号というよりもうほぼ答えなのでは?ようはその四十七番目の対となる石板に緑玉の指輪をかざせばよいだけなのでしょう。」

ハーナイル「その緑玉の指輪というのが何なのかわからないのです。」

シャウル「では四十七番目の対となる石板はすでにそろっていると。」

ハーナイル「おそらく百八の石板とはこのジュコイルのあらゆることを示している知恵の石板のことでしょう。この建物の最上階にそのすべてが置いてあります、その知恵の石板の四十七番目を示しているのでしょう。問題は緑玉の指輪です。このジュコイルの歴史上にそのようなものはありませんでした。」

シャウル「ちょっと待ってください、確か暗号に記されていたのは四十七番目の対となる石板であって四十七番目の石板ではありませんよねえ。」

ハーナイル「それについては四十七番目の石板はありますがその対となる石板の存在は今のところ証明されていません。しかし、おそらく四十七番目の石板に関連しているはずですので、四十七番目の石板の内容を手掛かりに洗い出すしかありません。」

シャウル「それではまずは手掛かりのある四十七番目の石板の対となる石板探しに行くということでよろしいですか?」

ハーナイル「まあそうするしかないですかね。」

シャウルはそう言えばマユイルが一言もしゃべっていないことに気づき、席を立って水晶玉の上からマユイルに話しかけようとするとマユイルはコスロー防衛からぶっ続けで雪山の戦いで体力と魔力を消耗し疲れていたのか机に肘をついて寝ていた。

ハーナイル「ともあれ今日は休みますか。あなたの部屋も用意してあります。」

シャウル「そうですね。」

そう言うとハーナイルはマユイルを無理やり起こし、シャウルを会議室に待たせて、マユイルを連れて行った。

シャウルはあまりの情報の薄さに先がどうなるのか不安で頭が痛くなっていた。四十七番目の石板の対となる石板は一つ一つ洗い出していけばわかるだろうが緑玉の指輪が何なのかつい最近までジュコイルの存在すら知らなかったシャウルにはなおさらわからないのだ。シャウルはどうしようかと考えていた時、ハッと重要なことを忘れていたということに気づいた。

緑玉の指輪と言えばシャウルがパスジル救出の前に大樹ヨルフから預かった神器を操るための指輪こそ緑の玉のついた指輪も同じ形をしているのだ。この指輪とは別に緑玉の指輪が存在するかもしれないが試してみる価値はあるだろう。そんなことを考えているとハーナイルが会議室に入ってきた。

ハーナイル「では行きますか。」

シャウルはこのことをハーナイルに言おうとしたが会議も終わったことだし今日はひとまず寝てから明日伝えようと思った。

シャウル「はい。行きましょう。」

ハーナイル「ではこちらです。」

そう言うとハーナイルはシャウルを四階へと案内した。四階は二階とだいたい同じだったが、一つ違うのは奥に扉が一つだけしかなかったということだ。

ハーナイルが奥の扉の前にシャウルを案内し、扉をを開けると、そこはまるで別の建物に移動したような広い空間で赤ベースにふちが金色でかたどられた大きなカーペットが床に敷いてあり、壁には絵画が飾られている。天井からは大きなシャンデリアがつるされている。空間の右端と左端には階段があり、それぞれがその空間の二階につながっている。二階と言っても階段を十数段登ればつくほどの低い場所で一階のこの場所からでも見ることができる。二階には五つの金色の豪華な扉がある。また、一階の左右の階段の間にも三つの扉がある。

ハーナイル「こちらです。」

ハーナイルがそう言うとシャウルを二階の左から二番目の部屋に案内した。

部屋の中は狭い一室で、右奥にはシャウルの知るナチュラルな方の大きな横向きのベッドがあり、左側には小さな丸い机の周りにミニソファーの様な座り心地のよさそうな椅子が二個置かれていて部屋全体に緑のカーペットが敷かれていた。


ハーナイル「食事は送られてきますので、では私はこれで。」

そう言うとハーナイルは部屋を後にした。

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