第四章 ジュコイル謎解き編

第一話  ウボーギル

シャウルは戦いの後で疲れが残っていたがまだやることがあった。まずジュコイルとオウルの魔術師の一人一人にお礼のあいさつに行った。魔術師たちは一度コスローに戻り焚火を焚いていくつものグループに分かれてにぎやかに話し合いながら食料を食べていた。魔術師の中には疲れで寝落ちする者もいた。ジュコイルの魔術師は口数は少なくオウルの魔術師ほど賑やかではない。彼らは笑い話よりもこれからのファボールとの戦いの成り行きについて話している。シャウルは丁寧に一人ひとり挨拶し、半分ほど回り終えたところで、カラカラと音を立て、ソルゴーがコスローの中に入ってきた。戦いの途中にマユイルの案で応援を依頼したオウルの魔術師の増援が到着したのだ。

だが戦いに勝った今、それは必要なかった。シャウルは魔術師のリーダーに誤り、事を伝えた。魔術師のリーダーは嫌な顔をした後、食事と会話を楽しんでいるオウルの魔術師たちに聞こえる場所で大きな声で呼びかけた。

魔術師のリーダー「ナドーリア様からのご命令で生きのこっている魔術師は回収せよとのことだ。全員荷物をまとめソルゴーに乗れ。」

そう言うと魔術師たちはゆっくり起き上がり荷物をまとめ始めた。しばらくして魔術師たちがソルゴーに乗り切ると、辺りはシーンとなり、残りはジュコイルの魔術師たちだけになった。カラカラと音を立てソルゴーが動き出し、魔術師たちはオウルへと帰っていった。

シャウルは一通り戦いの後処理は終わったのでこれから出るユリギエルの失われた杖探しの情報を聴くためにハーナイルに話しかけに行った。

シャウル「ハーナイルさん、少しよろしいでしょうか。」

ハーナイル「なんでしょう。」

シャウル「実はこの戦いの前にマユイルと取引をしておりコスローの防衛戦に勝利した暁には(ユリギエルの失われた杖)を探しに行くことになっていたのです。」

ハーナイル「まあ!ユリギエルの失われた杖を見つけていただけるのであれば大助かりです。それで?」

シャウル「ユリギエルの失われた杖探しの情報をいただけたらと思うのです。」

ハーナイル「ユリギエルの失われた杖のありかは諸説ありますが、ジュコイルにはユリギエルの失われた杖についてのおとぎ話が広く伝わっています。その物語によるとユリギエルの失われた杖はジュコイル、コスロー、オウル、アルンをつなぐ巨大なアリの巣の様な地下洞窟ウボーギルに今も眠っていると言われています。」

シャウル「ウボーギルという地下洞窟の存在は知っていましたが私もこの目で見たことはありません。そもそもウボーギルへはどうやって入るのですか?」

ハーナイル「ウボーギルの入り口はミスティアの各地に隠されていると言われており、我がジュコイルの街にもウボーギルへの入り口の一つがあると言われています。」

シャウル「あなたはそれを知っているのですか?」

ハーナイル「いいえ。私は知りません。ジュコイルのどこかにはあると言われていますが私もまだ見たことはありません。言い伝えではそのウボーギルの入り口を見つけるにはそのおとぎ話の中の暗号を解かなければならないようです。」

シャウル「情報がかなり薄いですがとにかくジュコイルへ行かないことには手掛かりも得られなさそうです。一緒について行ってよろしいですか?」

ハーナイル「ユリギエルの失われた杖を探すのであれば我々は協力します。そちらの予定に合わせてジュコイルへ連れて行ってもいいですよ。」


シャウル「ありがとうございます。 」

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