第二話  オウル会議

シャウルは大樹ヨルフのもとへたどり着いた。大樹ヨルフの足元には枯葉が積もっていた。

シャウル「ヨルフ様、ただいまパスジル救出の旅から帰ってきました。」

ヨルフ「よくやったぞシャウル、してパスジルはどこにいる?」

シャウル「オウルの城で寝ています。オウルの王ナドーリアが提示したパスジルを借りる条件はまだ達成していないので、まだパスジルは連れてこられませんがオウルの王は対ファボールのための支援は惜しまないでしょう。」

ヨルフ「分かった。それでシャウル、海底都市ダラスに行って分かった情報はあったか?」

シャウル「はい。重要な情報があります。」

その後シャウルはミルオースに話したのと同じことを伝えた。

ヨルフ「ではその炎の悪魔メジクリアスを倒せば、ひとまずコスローの危機は去るということか。」

シャウル「はい。そしておそらく数日後にはメジクリアス自身の方から魔物の大軍を引き連れて、コスローの大森林を攻めてくるでしょう。」

ヨルフ「では早急に防衛を固める必要があるだろう。」

シャウル「しかしオウルのように大量の魔術師がいるわけでもありません。どうやって防衛するというのですか?」

ヨルフ「コスローには長年の間私が作っておいた大量の木の兵士がいる。必要になればその者たちを魔物の軍勢にぶつける。お前はもう一度オウルへ向かい魔術師の助けを求めるのだ。」

シャウル「かしこまりました。といつもなら言いたいところですが、今私は疲労こんぱいです。一日寝る時間をください。」

ヨルフ「しかし時間を無駄にするのももったいない。特別に私の力やろう。」

そう言うと大樹ヨルフの金のツルがシャウルの頭にくっつき、木の生命エネルギーが送られてきた。シャウルはたまっていた疲労が取れて久しぶりに全回復した気がした。

シャウル「では行ってまいります。」

そう言うとシャウルは来た時と同じようにオウルへと向かった。


二日後


シャウルは重労働に苛立ちを覚えながら息切れを隠すようにオウルの城に入った。

そのままの流れで三階へ上り、神器をすべて回収し、そこらへんにいた魔術師にミルオースのいるところを尋ねてミルオースがいるという城の二階の一室をノックした。

シャウル「ミルオースさんはいますか?」

ミルオース「おおシャウル、来ましたか。その様子では神器はもうすべて回収したようですね。」

シャウル「王に話をしてもよろしいですか?」

ミルオース「王なら今、会議室にいます。」

シャウル「分かりました。」

そう言うとシャウルは会議室へ向かった。

会議室の前に立つと中からは何人もの騒がしい声が聞こえた。シャウルが会議室のドアをノックした。

シャウル「森の賢者シャウルです。ナドーリア様はおられますか?」

ナドーリア「中へ入れシャウル。」

そう言われて中に入ると会議室にはナドーリアのほかにパスジル、マユイル、モーシーともう三人の位の高そうな魔術師が座っていた。

ナドーリア「ちょうどお前にも来てほしかったところだ。なんせ、起きてすぐにコスローの大森林へ向かったのだからなー。今始まったばかりだ。さあそこに座れ。」

シャウル「分かりました。」

そう言うとシャウルは椅子の一つに座った。

ナドーリア「では皆も知るように今炎の悪魔メジクリアスが一万を超える魔物の軍勢を編成し、コスローの大森林へ攻め込む準備をしている。本来なら無視してもよいところだが、こちらにいる森の賢者シャウルにこちらの貴重な魔術師を助け出す手伝いをしてもらったため、コスローにはそれに値する戦力を送るべきだと考えている。皆の意見を聞きたい。」

そう言うと三人の位の高そうな魔術師のうちの一人が口を開いた。

一人目の位の高そうな魔術師「コスローの大森林にオウルから応援を送っても、一万の軍勢には及ばないでしょう、送るならオウルの全魔術師を送るか無駄死にさせるくらいなら送らないほうがよろしいでしょう。」

マユイル「それについては私に案がありますハイエルさん。私がこちらに残ることはすでに伝えており、その戦いに参戦することもできます。対多数は私の得意とするところです。魔物を千人は葬って見せましょう。」

ハイエル「お前が何者かも知らんのにそんなことを言われても信用できない。」

モーシー「マユイルの実力については私が保証しましょうダラスに侵入したときには毒の霧で八十人はいるであろう魔物の群れを壊滅させています。また治癒の力も扱い、このオウルの魔術師の誰よりも回復にたけていると言えるでしょう。」

そう言うともう一人の位の高そうな魔術師がしゃべった。

二人目の位の高そうな魔術師「モーシーが言うのであれば間違えなかろう。それで実際にマユイル殿が加わればどれほどの魔術師が必要になるのですか?」

モーシー「波の魔術師であれば二百ほど、我々クラスであれば十人といったところでしょうなフィーゴル。」

三人目の魔術師が話した。

三人目の位の高そうな魔術師「であれば魔術師二百からダラスの救出分を差し引いた分を貸しとして作るということでよいか?」

シャウル「それで構いません。援助に感謝します。」

ナドーリア「ではほかに何かある者はいるか?」

マユイル「私から一つ。」

ナドーリア「なんだ?」

マユイル「この戦いに勝った暁には一つ私からも貸しを作られてほしいのです。」

ナドーリア「それはどのような貸しだ?」



マユイル「我々の街に伝わる伝説のユリギエルの失われた杖を探す手伝いをしてほしいのです。」

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