第三話  応援到着

シャウルはマユイルがユリギエルの失われた杖の話をして、ふとダラスからの脱出後、疲れて寝ていた時に見た夢を思い出した。

あの洞窟の奥で光るものは何だったのだろう?ただの夢なのだろうか?もしかするとユリギエルの失われた杖だったのかもしれない。

ハイエル「探し物でもなんでもコスローの大森林に貸しを作るのであるから当然シャウルが引き受けることになるがそれでよいかね?」

シャウル「はい。問題ありません。」

モーシー「本当に大丈夫なのかシャウル。見たところ目の下にクマができてかなり疲労がたまっているように見えるが。」

シャウル「森の賢者には大樹ヨルフの加護があり、必要とあらば樹木の生命力をいただくことができます。今回の戦いでコスローが滅びない限り、こき使ってもらって大丈夫です。しかし、まずそのようなものが本当にあるのですか?」

ナドーリア「そういうことはあとで二人で話してもらいたい。他に何かある者は?」

会議室は一瞬静かになった。

ナドーリア「よろしい。それでは会議はこれにて解散、魔術師二百名とマユイルはあとで送る。」

シャウル「ちなみに旅の前に約束していた報酬ですが、次の戦いで炎の悪魔メジクリアスを倒せば、邪神ファボールを倒すまでパスジルを貸していただけるということでよいですか?」

ナドーリア「もちろんそれでいい。」

シャウル「では私はこれで。」

そう言うとシャウルは城の中の神器をすべて回収してユミユルに乗って、コスローの大森林へ向かった。


一日後


シャウルはコスローについたときコスローの大森林の変わりように驚いた。コスローの大森林の中を二メートル級の木造のゴーレムの様なものがコスローの中を徘徊しているのである。おそらく大樹ヨルフの言っていた長年の時間をかけて作っていたコスロー防衛のための木の兵士があれのことだろうとシャウルは思った。

シャウルはユミユルに乗ったまま直行で大樹ヨルフのもとへ行った。

大樹ヨルフ「シャウルか、オウルでの交渉はどうだった?」

シャウル「魔術師二百名とジュコイルの聖女マユイルが応援に来てくれることとなりましたが、その代わりにコスロー防衛の後でマユイルの旅の手伝いをすることになりました。」

大樹ヨルフ「ジュコイルの聖女とはたのもしい、言い忘れていたがそのマユイルこそが私が探せと言おうと思っていた二人目の仲間だったのだ。それはともかくそれだけの軍勢が来てくれるのであれば何とか戦えることにはなりそうだ。おまえはよくやってくれた。ゆっくり休み大戦に備えるといいだろう。」

シャウルはまだ昼だがユミユルに残った木の実をすべてやり、まだ昼間だが自分の家の寝室で倒れるように眠りについた。


シャウルはその日もまた不思議な夢を見た。またあの洞窟の奥から光る何かがシャウルを読んでいる気がしたが、黒い影の様なものが光る何かに迫り、光る何かに触れるところで夢は終わり、シャウルは目を覚ました。外に出てあたりを見渡すと夕方だった。どうやら疲れで丸一日寝ていたようだ。

まだ魔術師たちが来ていないか確かめるために大樹ヨルフのもとへ行った。

少し走って、大樹ヨルフのもとへ着くとシャウルは今話しかけていいのか?という疑問を思った。

なんせ大樹ヨルフの根元から木のゴーレムがどんどん生成されているのである。とりあえずシャウルはヨルフに話しかけてみた。

シャウル「ヨルフ様、今話しかけても大丈夫ですか?」

ヨルフ「シャウルか、まあ話しかけるくらいなら大丈夫だ。それで?」

シャウル「魔術師の応援は到着しましたか?」

ヨルフ「コスローの領地内に入ればわかるがまだ到着はしていない。」

シャウル「分かりました。もし来たらテレパシーで伝えてもらえますか?」

ヨルフ「残念ながら今はこのゴーレムを生産することに集中したいのでそれはだめだ。」

シャウル「分かりました。ではオウル側のところで見張りをしてきます。」

そう言うとシャウルはコスローの大森林をオウル方面に抜けてちょっと行ったところでしばらく座って待った。

しばらくすると、かすかにコトコトと音が聞こえてきた。音の先にかすかにソルゴーが見えた。ソルゴーはだんだん近ずいてきてシャウルの目の前で止まった。

中からミルオースが出てきた。

ミルオース「こんにちはシャウル、お出迎えありがとうございます。このソルゴーの中に二百人の魔術師とマユイルが乗っています。」

シャウル「こんにちはミルオース、来ていただいてありがとうございますこちらです。」

そう言うとシャウルはソルゴーに乗ったミルオースを大樹ヨルフのもとへ案内した。実はコスローの中は意外に迷いやすく、大樹ヨルフにたどり着くのにもそれなりに森を把握している必要があるのだ。


そして大樹ヨルフのもとへ魔術師の乗ったソルゴーがたどり着いた。

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