第13話「アルカンレティアへ!〜出発〜」
水と温泉の都アルカンレティアーーー。
この街は温泉街として有名であり、その温泉の効能は腰痛の改善が期待できるもの、心臓の病に効果のあるもの、美容効果が期待できるものなどと様々である。
なので、負傷した冒険者や既に引退した冒険者、旅行者や大商人、時には貴族まで湯治や観光目的で訪れる非常に有名で温泉を観光資源として利用してる観光地である。
そしてーーー。
「ようこそいらっしゃいましたアルカンレティアへ! 観光ですか? 入信ですか? 冒険ですか? 洗礼ですか? ああ、仕事を探しに来たならぜひアクシズ教団へ! 今なら、他の街でアクシズ教の素晴らしさを説くだけでお金がもらえる仕事があります。その仕事に就きますと、もれなくアクシズ教徒を名乗れる特典が付いてくる! さあ、どうぞ!」
アクシズ教団の総本山であったーーー。
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それは遡ること二日ほど前のことーーー。
「ということで温泉旅行券一団体様、アルカンレティア行きを持ってきな!」
「「あ、アルカンレティア!?」」
アクセルの街の福引きでクリスがアルカンレティア行きの温泉旅行券を引き当てた時まで遡る。
「水と温泉の都アルカンレティア、良いとこだぜ嬢ちゃん達!さあ、持っていきな!」
「あ、ありがとう......ございます」
そう言ってクリスは温泉旅行券を受け取り、
「あははは......。なんか当たっちゃった」
「すごいじゃないかクリス!たった一発で特賞を当てるだなんて!」
「ま、まあねー。(幸運の女神だから簡単に当てれるだなんて言えない......)」
なぜクリスは困った顔をしているのだろうか。温泉旅行券を当てることが出来たのだ、普通はもっと喜ぶであろうに。
「む、そう言えばあの男はたしか、一団体様と言っていたよな?」
「うん、言ってたね。どうする?二人だけで行くのもあれだし、レナも誘って三人で行く?」
「うむ。私も今そう言おうと思っていたのだ。二人だけで行って同じパーティーメンバーであるレナを誘わないのはおかしな話だからな」
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「「ということで、温泉旅行に行きます」」
「ええっ!?」
私とクリスはレナの泊まっている宿に訪れていた。
突然温泉旅行券が当たったから温泉旅行に行こうと言われてレナは口を開けたままポカーンとしている。そ、そんなに衝撃的だったのだろうか。
「れ、レナ?大丈夫?」
「あっ、はい!大丈夫です!あまりにも突然のことだったので頭が追い付かなくって......」
「それで、レナの予定とかは大丈夫なのか?無理なら言ってくれれば......」
「いえいえいえ、大丈夫ですよ!むしろ私なんかが一緒に行っても良いのですか?」
「何を言ってるんだレナ。だめなわけが無いだろう!」
「そうだよレナ。あたしとダクネスはむしろレナと一緒に行きたいんだよ、ね?ダクネス?」
「ああ、もちろんだ」
「あ、ありがとうございます!私、今まで友達と旅行だとかあんまりしたことが無くて......。とっても嬉しいです!」
「うむ。なら出発は明日の朝一番の馬車で良いだろうか?明日の朝一に出れば明後日の朝頃には着いているハズだ」
「うん!そうしようか!」
「馬車の手配は私に任せておいてくれ」
「ありがとうございますダクネスさん!」
レナは笑顔で言ったのに対しクリスは私の耳元に小声で囁く《ささやく》様に、
「流石はララティーナだね」
「う、うるさい!その名前で呼ぶなぁ!呼ぶなぁぁぁーーー!!」
「......?」
レナだけが首を傾げて不思議そうな顔をしていた。
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そして、翌日のまだ太陽も昇りきっていないような薄暗い朝ーーー。
「おはようございます!ダクネスさん、クリスさん」
「うむ。おはようレナ」
「うーーん。お、おはよーー」
私たち三人は馬車の乗り場に集まっていた。レナはよっぽど楽しみにしていたのかもう完全に眠気は覚めたように元気であった。私も朝には強い方だと思っていたのだが、レナには敵わないな。
対してクリスといえば、側頭部に寝癖がついて目を擦りながらすごく眠そうにしている。なるほど、クリスは結構朝には弱いのだな。
「それでは、行くとするか」
「おーー!」「おーー......」
ほんとにクリスは眠そうだな。
このすば!エピソード〜ダクネス〜 ペペロンチーノ @noar0913
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