第12話「思わぬ幸運」
お久しぶりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
また家を出ていってしまった。今回に関しては完全にお父様が悪いと思う。あれほど必要ないと言った見合い話を懲りもせずに持ってくるとは。
決めた。当分は家に帰らないでおこう。
そう決意した私は、昨日買い物に来た通りを歩いていた。
なんだかんだ言って、私は何も買っていなかったからな。
「どうしたの、ダクネス?」
「うわぁぁぁ!!く、クリスか!急に後ろから話かけるな!びっくりしただろう!」
「え、あたし正面から話かけたけど......。しかも何回か呼んだんだけど」
えっ......。全く気づかなかったな。
「そ、そうだったのか。少し考えごとをしていてな」
「頬を赤らめて?」
「!?クリスは何を言っているんだ......?」
「どうせドMな妄想を膨らましてたんでしょ?ダクネス変態だもんね」
「してない。それに私は変態ではない」
「絶対してたでしょ!」
「してない」
「「・・・」」
私が頑なに譲らないのでクリスは諦めたように
「ならそれでいいよもう。で、ダクネスはどうしてこんな所にいたんだい?」
「そのことなんだが......。まあ、私は昨日結局何も買っていなかったのだ。だから、何か買おうかと」
「鞭と猿轡を買おうか悩んでたんでしょ」
「してない」
「嘘ついてもバレバレだよ?」
「してないものはしてない」
「もうわかったよ......。それで何を買うの?クルセイダーだしやっぱり鎧とか?」
「ふむ、そうだな。新しく鎧を新調するとするか。一応剣も歯こぼれしているから、それも加治屋に研磨して貰おうと思う」
「当たらないのにね」
「うっ、うるさい!当たらない言うなぁ!私だって気にしているのだぞ?」
「あはは!ごめんごめん!あたしはてっきりモンスターの攻撃が気持ちいいから盾も装備せずに戦っていると思ってたよ!」
「ううっ......」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新しく鎧を新調した。そして歯こぼれしていた剣も加治屋に行き研磨してもらい、新品同様にピカピカにすることが出来た。するとその帰り道ーーー。
「へい、嬢ちゃん達!今日この街で食料品以外の大きな買い物でもしたかい?」
「ああ、鎧を新調したのと、剣を加治屋に行き研磨を施してもらったが?」
「そいつは運がいいな嬢ちゃん達!今日この街で大きな買い物をしたお客を対象に福引きをやってるだ!嬢ちゃん、お店で福引き券貰わなかったかい?」
福引き券?そう言えば鎧を新調した際、何か紙切れを貰った気がしたな......。
私は財布にしまったはずのそれを、おっ、あった、これか。
「これのことか?」
「そうそう、それだよそれ!持ってるなら引いて行きな!なんせ特賞は温泉旅行券だからな!まあ、残念賞でもハンカチは貰えるし、やって行きな!」
「なるほど、それはやってみる価値はありそうだな。よし、クリス引いてくれ」
「ええっ、あたし!?今の流れはダクネスが引く流れでしょ!」
「もともと今回のクエストを持ってきたのはクリスだからな。日頃お世話になっているし、今日も買い物に付き合ってもらったからお礼だ。賞はクリスへのプレゼントにする」
「そ、そんなに言うなら......。えっとなになに?特賞が温泉旅行券、一等は魔導カメラ、二等はレベルアップポーションって、何この福引き!?賞品が豪華過ぎない!?こんなに豪華にしちゃって大丈夫なのおじさん?」
「全くもって問題ないぞ嬢ちゃん?なんせ賞品のお金は俺が出してるわけじゃないからな!なんかギルドに大量にお宝が入ってきたかなんか言ってた気がするが知らん!貰えるもんは貰っとけ嬢ちゃんよぉ!ガッハッハッハ!」
「豪快だねおじさん......。よし、なら遠慮なしにいってみようか!それ!」
カラカラカラと音を立てながら出てきたのは金色の玉。金色といえばーーーー。
「おめでとうございやぁぁす!!特賞だぜこりゃあ!嬢ちゃんすげえなおい!すげえ幸運の持ち主だぜこりゃあ!ちょっと冒険者カード見してくれよ、なになに?たっか!なんだよ嬢ちゃん!どんだけの豪運の持ち主だよ!こりゃあやられたぜチキショー!俺も後で買い物して引いてやろお思ってたのによぉぉぉーーー!」
「ど、どうも......」
クリスはすごい勢いで喋る福引きイベントのおじさんに若干気圧されている。実を言うと私も若干気圧されてしまっている。このおじさん、なんと言うかうん、すごいな。
「ということで温泉旅行券一団体様、アルカンレティア行きを持ってきな!」
「「あ、アルカンレティア!?」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます