第6話「ダンジョン探索②」
陽が完全に沈んだ頃。私達三人はクリスが新しい通路を見つけたというダンジョンの前でキャンプをし、焚き火を囲み、夜食を取りながら談笑していた。
「ダクネスってば、いつもいつもモンスターを群れを見ると嬉々として突っ込んで行くんだよ?おかしいでしょ?」
「うふふ。ダクネスさんったら凄いですね!モンスターに怯みもせず、勇敢にも群れに飛び込んで行くなんて......。私にはそんなことは出来ませんよ」
「いや、違うって!ダクネスが勇敢なことが言いたいんじゃなくて、ダクネスが変態だってことを言いたいんだよ!」
「えっ、そうなのですか?私はてっきり、ダクネスさんの武勇伝だと思って聞いていたのですが......」
「クリス。これは私の武勇伝ではなかったのか?それに私を変態呼ばわりするなど、クリスもなかなかやるな!......んんっ!」
変態呼ばわりされ、思わず武者震いが。
「レナよく見といてね。こういうところだよ」
「別に普通だと思うのですが......」
「「ええっ!?」」
「え?私、そんなにおかしなこと言いました?」
レナが小首を傾げながら聞いてくる。お世辞とかではなく本当にそう思っているのだろう。しかし、私とクリスは驚きを隠せない。
「自分で言うのもなんだが、私は変わっていると思うぞ......」
「そうだよ!ダクネスはドMで変態なクルセイダーだよ!」
「んんっ!」
「ほら!」
突然の罵りで思わず武者震いしてしまった。なかなかの手腕だぞ、クリス!
そんなことを思っているのを察したのかクリスが冷めた目で見てくる。むしろご褒美だぞ?
「私のいた国ではドMの人もちらほらいましたよ?お金を払って罵られたり、鞭でひっぱたかれたりされるサービスを受けれる店もありましたし。私は行きたいとも思いませんでしたが」
「その話、詳しく」
レナの話によると、レナの以前いた国では、エスエムクラブという店があったらしい。
女王様と称する者に、罵られたれ、鞭で叩かれ、三角木馬に座らされたりなどと素敵なサービスを受けることができるらしい。
なぜこんなにもレナが詳しいかは、レナの以前いた国の友達にその女王様の仕事をしていた人がいたらしいからだ。
主に男性利用客が多いと言っていたがなんと素晴らしいサービスなのだ。
是非とも行ってみたいものだな、エスエムクラブというのは。
「しっかし、レナのいた国の話ってのは面白いねえ!そんなに面白いところにいたのにどうしてアクセルの街にまで来て、冒険者になんてなろうと思ったの?」
「なろうと思ったというか、ならざるおえなかったというか......」
ならざるおえなかった?さっきから聞く限り、レナの国の話は初めて聞く内容ばかりだ。やはり、レナには何かしらの事情があるのだろうか?
それに、レナの服装は初めて見るものだ。見たところプリーストなのだが、レナのような服装のプリーストは見たことがない。どこの教徒なのだろうか。クリスが教会の仕事を教えたと言っていたし、エリス教なのだろうか。一応聞いてみよう。
「レナ、お前はプリーストだったよな?ちなみにどこの教徒なのだ?」
「今はエリス教のプリーストをやっていますよ?クリスさんにエリス教の教会のお仕事を紹介して頂いたので」
「"今は"と言うと、以前は違ったのか?」
「はい、一応はエリス教徒なのですが、この街に来るまでは以前いた国の宗教の教徒でしたよ?」
「ちなみにその宗教というのは何というのだ?」
「キリスト教です。イエス様をキリストとして信仰する私の国ではとてもメジャーな宗教でしたよ?」
「キリスト教?そんな名前の宗教もイエスという名の神も初めて聞くのだが......」
「ちなみにこれが、キリスト教徒が身に付けている十字架のアクセサリーです」
そう言ってレナはジュウジカと呼ばれる縦の棒に横の棒をクロスさせたもののネックレスを見せてくれた。
「壊さないでくださいね?なにしろ、このネックレスと今身に付けている服だけが私のいた国の思い出の品なんですから」
「こ、壊すかっ!」
クリスがニヤニヤしながらこっちに見ているのが少し腹立たしい。もしかするとクリスがあらぬことを吹き込んだりしたのだろうか。
「さて、そろそろあたしは寝ようかな?明日も早いことだし」
「それじゃあ、私もお休みさせていただきますね。ダクネスさんはどうしますか?}
「うむ。それなら私ももう寝るとするか......」
「それじゃあ、お休みなさい」
「うん、お休みレナ」
「ああ、お休みレナ」
そう言うとレナは、言い出したクリスよりも早くにテントの中に入っていった。
レナがいなくなったので、かねてからの疑問だったレナについてクリスに聞いてみる。
「なあクリス?レナってのは一体何者なのだ?キリスト教といい、エスエムクラブといい私が聞いたこともないことばかり知っていたのだが」
「うーんあたしも気になるけど、まあ遠い国から冒険者やりにアクセルにやってきた少女ってことでいいんじゃない?」
「クリスがそう言うならそうなのか......」
私は疑問を残しながら眠りにつく。
いずれ教えてもらうとしようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます