第4話 愚かな、トナカイ
「白猫を、飼っているのか」
彼女の姿が見当たらなくて、部屋全体に問いかけた。 入り口で不機嫌な瞳をこちらに向ける白猫。かわいげがないな。飼い主を見習いなさい。
「虜なのよ」
ベールが掛かったベッドの上で、彼女は両足を抱え込んで座っている。一糸纏わぬ肌を撫でて、少女のようにくすくす笑った。 柔らかな四肢。たっぷりとした黒髪。白目まで全部真っ黒な瞳!口元に妖艶な笑みを称えている。
「貴方みたいにね」
その全てが、ほしい
ああ、ほしい!
神は私に微笑んだ。このいたいけな少女は現に私の掌にいるのだ!
(馬鹿め)
何一つ不自由なく?私以外と話すことなど愚! 君はここにいればいいんだ。 なでらかな肩に触れる。鮮やかな赤い唇。すべて私のものだ!
『それでいいわ、パパ』
私が退屈しないなら。
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