魔王戦後 (篠崎悠輝 レイ・アルヴァーン視点)

目を覚ますと白い天井が見えた。ここはどこだ?魔王戦の後どうなった。


みんなは無事か?そう思い探索魔法を使うと


「っつ いたい。」


体中にあの時の痛みが走る。


「バンッ 起きた!! 悠輝」


その声と同時に日和が抱き着いてきた。


「痛い 痛い 日和 離して。」


やわらかい胸の感触もあったけどそれ以上に全身に痛みが走る。


「あんた1週間も眠っていたのよ。死ぬかと思ったじゃない。」


日和が俺の胸に抱き着きながらそう言った。


「俺そんなに寝てたの!!」


そんなに寝てたのか・・・日和がここにいるってことはみんなは多分無事だな。


「日和 ここはどこ?みんなはどこにいる?あれからどうなった?」


「え~とねここは王都の宿よ。」


日和が体を離してしまった。ちょっとだけ名残惜しい。やわらかかったな・・・


「今日は私が看病の日だったから私はここにいるけど、みんなは買い物やいろんな


ところへ顔出しに行ってる。あれから大変だったんだからね!あんたがいっつも偉


い人とかの話し合いをしてたから、私たちだけじゃひどくて。勲章授与の式もあん


たがいなくて寂しかったんだから。私たちは、冒険者の特別ランクSに指定された


んだから。はい、これあんたの分。」


「そんなに雑に投げるなよ。」


ランクが書かれたプレートには金色の文字でSと書かれていた。冒険者のランクと


は下から順に F E D C B A そして俺たちSとなる。FとEは駆け出


し冒険者を表す。受けれるクエストも猫探しや引っ越し手伝いなどの生活全般クエ


ストやゴブリンやスライムといった弱い魔物の討伐クエストまた薬草や毒消し草な


どの採取クエストなどだ。DとCとなるとやっと一人前の冒険者であり、受けれる


クエストは、オークなどの一般人では太刀打ちできないような魔物の討伐クエスト


や森の奥に住む動物の捕獲クエスト、商人などの馬車の護衛をする護衛クエストま


たダンジョンや洞窟などの探索クエストなどがある。DとCくらいになると生活全


般クエストや採取クエストは簡単すぎさらに報酬もあまり多くないので受けれるの


が受けないのが一般的だ。Bになると上級冒険者でオーガなどの危険な魔物の討伐


クエストや大商人や貴族などの護衛クエスト、貴重な生物の捕獲クエスト危険なダ


ンジョンや洞窟などの探索クエストなどが受けられる。Aになると竜や悪魔といっ


た災害級の魔物の討伐クエストや大貴族、王族の護衛クエスト、幻の生物の捕獲ク


エスト、攻略難易度が高いダンジョンや洞窟などの難しい探索クエスト、クエスト


失敗者が多くギルドが特別に定める特別クエストなど受けられる。AとBの間には


絶望的な壁がありAには生まれつき才能を持った者だけがなれる。才能を持たない


者はBで限界を迎えてしまう。そして今回俺たちSはAよりもさらに上を行く冒険


者ということだろう。晴喜は、高い身体能力を持ち聖剣を自由自在に操る勇者であ


り、拓哉は、達人の域にある驚異の剣術をほこり剣一筋で晴喜と互角に勝負をする


化け物だ。鈴音は、聖魔法という聖女だけが使える魔法を使い普通の回復魔法では


できない欠損した部位の修復また魔力の使い過ぎで起こる魔力欠乏症という魔法が


一生使えなくなる怪我を治すことができるという回復士に君臨するプリンセスだ。


日和は、槍術の師範であり今この王国いや大陸一の槍使いで矛と盾があれば晴喜に


引けを取らず、拓哉の剣術に耐えるほどの規格外の耐久力を持つ街で噂の鬼女だ。


俺は、人より魔力が100倍ぐらい多く、人より魔法のイメージが確立し、魔力を普通


より多く籠めれば適性のない魔法が使えるだけのしがない賢者で出会った友がよ


かっただけのしがない一般人だ。


「あとね~魔王が封印を破る前にギルドを強くしてAランクを増やして魔王戦に今


度は連れて行こうって話がでてる。」


ちょっと待て魔王って完全に封印できてないのか?できていると思っていたが。


「魔王の封印って完全じゃないのか?」


「うん、あんたの魔力が途中でになくなったから中途半端だろうって


あと何年間で破って出てくる可能性があるって。」


完全に魔力がなくなったもしかして俺は・・・焦り体を確認した。


「どうした急に自分の体を見て?」


魔力を使い過ぎたら魔力欠乏症になるそれは魔法学校ですぐに習うことで魔力欠乏


症になると体のが黒くなり赤い斑点がでる。それは当たり前のことで


誰でも知ってる。だから完全に魔力がなくならないようにほんの少しだけ魔力を残


すのが当たり前だ。だけど俺はあの時魔王を封印することに全力で魔力を少し残す


余裕がなかった。そして黒くなり斑点ができる範囲が広いほど元の魔力が多かった


ということだ。


「日和、俺もう魔法使えない。」


日和に自分の腕に巻かれていた包帯を外し見せた。そこには黒い肌と赤い斑点が出


ていたのだ。否、腕だけだはない指先と首から上全てが肌は黒くなり赤い斑点が出


ていた。


「ちょっと待ってそんな・・・昨日まではそんなのなかったよ。」


昨日までなかったということは、さっき探索魔法を使おうとしたのが最後の決め手


となったのだろう。


「さっき探索魔法を使おうとしたからな。多分それが最後の決め手になったんだろ


う。まあいいか鈴音に治してもらおう。」


「だね、そろそろ帰ってくるだろうし。」


「悠輝ー起きたのか!」


拓哉がそう言いながら部屋に入ってきた。すると拓哉の後ろから大荷物を持った晴


喜と桃花、鈴音が帰ってきた。


「ほらね。言ったそばから帰ってきた。」


「みんな心配かけてごめん。もう大丈夫。」


「嘘つけ、大丈夫じゃないでしょ。」


日和、嘘はついてないさ。鈴音が治してくれるから。大丈夫だ。


「鈴音、こいつ魔力欠乏症になってるから治してあげて。」


「魔力欠乏症?なんだそれ」


拓哉が疑問気に問いかけた。


「魔力欠乏症っていうのはね。簡単に言うと魔力を全部使って一生魔法が使えなくなることだよ。」


「へ~そんなことがあるんだ。大変だな魔法って。」


「拓哉~バカだね~そんなことも知らなかったの?」


「うるせい!逆に日和は知ってたのかよ。」


「愚問ね!知らないはずがないじゃない。」


「日和ちゃん、拓哉くん、今は悠輝くんの怪我を治すのが先だよ。喧嘩は後にしようね!」


桃花が言い合いをしていた拓哉と日和の仲介をした。


「「まあ桃花がいうなら・・・」」


「じゃあ鈴音ちゃんお願いね。」


「いいよ、任せて!!私の数少ない出番だね!!」


鈴音がそう言ってお俺の手の包帯を取った。


「えっ、嘘でしょ。ありえない・・・こんなに大きく症状がでるなんて。」


「いや~こいつすごいよねどんだけ魔力多いんだよって感じだよね。」


「ごめんなさい・・・」


急に鈴音が泣きながら謝った。


「どうしたの鈴音?」


晴喜が心配そうに問いかけた。


「魔力欠乏症は症状が大きくなればなるほど、治すのが困難になるの。ふつうは片


腕ぐらいの大きさなの・・・それくらいなら私の魔法で治せるのだけど。大きくな


ると教会の純聖水プレミアムホーリポーションでしか治せないの。」


「じゃあ純聖水プレミアムホーリーポーションを買いに行けばいいじゃん。鈴音ノープロブレムだよ!」


確かにな別に鈴音の魔法でなくて治せるのであれば問題ない。でもたしか


純聖水プレミアムホーリーポーションは超高級品ではなかっただろうか。


「違うの・・・純聖水プレミアムホーリーポーションも万能じゃないの限界があるの・・・」


「悠木君の怪我は純聖水プレミアムホーリーポーションでも一時的に魔力を10分の1ぐらいだけ使えるよ


うにするだけなの。純聖水プレミアムホーリーポーションでも治せない

の・・・」


「そんな・・・うそでしょ・・・うそって言って!!。」


日和が鈴音の肩を掴みながら言った。


「こんな苦しい嘘なんてつかないよ・・・」


「鈴音、治す方法はあるのか?」


「晴喜君多分だけどある。」


「なんだそれは今すぐ教えてくれ!!」


純白色古龍エンシェントホワイトホーリードラゴンの頭角を粉末状にして取り込んだら治るかもしれない。」


「そんな・・・」


純白色古龍エンシェントホワイトホーリードラゴンとはこの世に4体しかいない純色の古龍の一体であり魔王と匹


敵する強さを持つ龍でもある。


「今すぐ行こう!勝てなくても角を手に入れればいいんだ。」


無理だ。拓哉もわかっているはずだ。龍の角は、その個体の魔力の結晶で体の部位


の中で最も硬い場所だ。さらに純白色古龍エンシェントホワイトホーリードラゴンは闇属性か龍殺しドラゴンキラーの武器の攻撃


しかダメージが入らず、拓哉の攻撃しかダメージが入らない。魔王にも勝てなかっ


た俺たちでは不可能なのだ。


「拓哉、俺のことはいいから。気にしないでくれ。純聖水プレミアムホーリーポーションで一時的にでも


魔法は使えるようになるんだろ。なら別に問題ない。俺のありったけの金で買える


だけ買ってこれから余生をすごせばいい。」


「魔王討伐はどうするんだ。悠輝がいなくちゃ討伐はどころか封印だってできねえ


ぞ。『賢者』の悠輝がいないと!」


ありがとう拓哉でも俺がいなくても大丈夫だみんななら。


「そうだよ!悠輝くんがいないと魔法が誰も使えないよ。」


それも大丈夫だよ桃花。他の魔法師で穴埋めをすれば問題ない。


「全属性全魔法適性の悠輝じゃないと魔王討伐なんて無理だ。


ごめんよ、晴喜俺はうそをついてる俺は全属性全魔法適性なんてないんだ。


「晴喜、みんな、大事な話がある。俺は全属性全魔法適性なんて持ってない。


俺は偽造フェイクのスキルで自分のスタータスを偽っていたんだ。」


「そんな・・・ありえない適性がなければ魔法は使えないはずだ。でも悠輝は確か


に全属性全魔法を使っていた。どいうことだ?」


晴喜がわけがわからないといった表情で問いかけてきた。


「俺は、適性がなくても魔法を使えるんだ。人より明確なイメージを持つことに


よって適性がなくても魔法が使えること気づいたんだ。俺ほんとは火属性と空間魔


法の適性しかないんだ。今なら本当のスタータスが見れる。見てみてくれ。」


篠崎 悠輝

称号【賢者】【魔法師】

HP 4,750

MP 0

筋力 120

精神力 89,560

知力 6,984,520

保持スキル

魔法適性 -火属性 Lv:MAX

     -空間魔法 Lv:MAX

耐性 -痛覚耐性 Lv:5

   -精神攻撃耐性 Lv:MAX

   -飢餓耐性 Lv:MAX

   -疲労耐性 Lv:MAX

   -不眠耐性 Lv:8

-耐暑・耐寒 Lv:9


隠密行動 Lv:5

魔力探知 Lv:MAX

詠唱短縮 -詠唱短縮 Lv:MAX

     -無詠唱 Lv:9

偽造 Lv:MAX

飛翔 Lv:2

千里眼 -千里眼 Lv:MAX -天眼 Lv:MAX

                -魔眼 Lv:MAX

                 -竜眼 Lv:MAX 

                  -真眼 Lv:MAX

強化 -火属性魔法強化 Lv:MAX -火属性魔法狂化 Lv:MAX

   -空間魔法強化 Lv:MAX -空間魔法狂化 Lv:MAX

   -魔力活性化 Lv:MAX

   -五感強化 Lv:8

合成 -物質合成 Lv:MAX

   -魔法合成 Lv:MAX


「うそでしょ・・・」


ああ今まで俺はみんなにうそをついてきたんだ。


「「「「「知力高すぎでしょ!」」」」」


えっそこ!


「というか天眼・魔眼・竜眼・真眼ってなに?めっちゃかっこいいんだけど!!」


確かになかなか見ないスキルかも。


「天眼は、相手の行動の過去・未来を見ることができる。魔眼は、自分より弱い生


物を任意で操ることができる。竜眼は、自分の魔力を筋力に変換できる。真眼は、


自動で体が最適な行動をとるようになる。全部半端ない魔力を必要になるからもう


使えないかな。」


「めっちゃ便利じゃん!!」


「たまに悠輝君の目の色が変わっていたのってこのスキル?」


確かに便利といったら便利だけど、魔力が・・・目の色変わっていたんだ。知らな


かった。使ったら相手にばれるのか。


「悠輝は魔力10分に1になっても問題ないな。」


そんなことないよ晴喜、みんなの役にたてないよ。


「確かに私たちが強くならないとね。」


日和もっと強くなる気なの!!今でも鬼女って言われてるのに


「もっと鍛錬が必要だな。」


ついに拓哉は頭まで筋肉になったな。


「でもこれからどうする?」


桃花がみんなに問いかけた。


「俺たちは自分を強くしないといけない。」


晴喜と拓哉はそう言った。


「私は教会で孤児たちの世話をしながら魔法の精度を上げようと思う。」


鈴音らしい意見だ。孤児たちも喜ぶだろう。


「私と桃花は、ギルドから冒険者の全体的な強さを上げてって頼まれてるいるから。それに専念する。」


かわいそうに冒険者たち・・・日和の指導は地獄が優しく感じるほどきつい。


「悠輝はどうする?」


どうしよう。したいことはあるにはあるんだが・・・


「なんでもしたいことをすればいいんじゃなかな。悠輝くんは強いから!」


よし。決めた。


「みんな、俺を死んだことにしてくれ。俺はこれから別人として冒険者になろうと


思う。今まで魔法一筋だったけどこれからは魔法は極力使わないで一から冒険者を


始めようと思うんだ。」


そしたらもっと強くなれるし、冒険者の内部調査もできる。


「いいんじゃない。でもあんた魔法なかったらくそ弱いわよ。ゴブリンにもタコ殴


りにされるわよ。後あんたの収納魔法で収納されてる私たちの武器やアイテムは頂


戴ね。どうせ持っててもあんた使えないでしょ。」


確かに収納魔法にたくさんある。でも・・・


「魔法使えない・・・」


「分かってるわよ今から純聖水プレミアムホーリーポーション有り金全部使って買ってくるから。」


 * * * * * * * * * * * * * * * * * * 


「買ってきたわよ~」


大きな麻袋を担いで日和が帰ってきた。


「日和どうしたんだ。右腕がないじゃないか・・・」


日和の腕がなくなっていた。まるで乱雑に切り落としてきたように。


「あっ私利き腕がなくなったから悠輝と一緒に冒険者一から始めましょうかしら。」


もしかしてこいつ俺と一から冒険者始めるために切ってきたんじゃないだろうか。


「日和まさか・・・」


「そうよ、あんたと離れたくなかったのよ。だってあんた弱いのよ魔法が使えな


かったらいつ死ぬかわからないのよ。心配なのよ・・・あんたが死ぬのが怖いの。


私は一緒に過ごしたいの。あんたのことが好きなのよ!!」


日和は泣きながらそう叫んだ。


「日和気持ちはうれしいけど怪我なんてしないでくれ。鈴音治してあげて。」


うれしい確かにうれしい日和が俺のことを好きだなんて・・・でもそれ以上に日和


のは怪我をしないでほしい。


「ごめん悠輝・・・」


「これからこんなことしなければいいよ。」


「分かった。でも冒険者一から始めても会いに来てよね。」


あの日和がこんな事言うなんて・・・


「っああ、分かった。」


そんなこんなあって俺の冒険者生活が再スタートした。


あれっ?これなんかR〇:ゼロに似てねえか・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る