第10場

 真っ黒な雲はどこまでも続いた。このまま永遠に、真っ暗闇の中を進まねばならないのかと思うほどに。

 それでもギギは飛んだ。飛び続けた。

 逃れるように。

 いや、「ように」じゃない。彼は明らかに、逃亡の途にあった。

 逃げる、逃げる、逃げる――。

 だが、どれだけ早く風を切ろうとも、振り切れぬものがあった。それはどこまでも、ギギを魂から根こそぎ絡め取らんばかりに纏わり付いてきた。

 ようやく雲を抜ける。

 空に出た筈だが、辺りはまだ暗い。空と地面の境目も見えない。夜明けはまだまだ遠いようだった。

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