第11話『騎士を喰らう者(2)』
響いたのは、まるでひび割れた鋼のような、重く、不気味な声。
発音にクセがある。本来日本語を話すことに不向きな骨格の外国人が、無理矢理日本語を母語として成長した場合、きっとこんな発声の仕方になるだろう、という。
異界の氷が蒸発し、白く煙るホール。その端、窓ガラスの割れたテナントの陰から、いっそおどろおどろしいほど静かに、大柄な影が姿を現した。
身の丈は百八十センチ前後か。氷菓と比べれば頭一つ分、地に臥せるアルハンブラと比べても五センチ以上背が高い。無精ひげを生やした顔立ちは、明らかに西欧風のもの。
だがなぜか、その姿は日本、江戸時代の老中が纏っていたかのような着物姿だ。おまけに腰には、見事な刀が差し込まれていた。
アルハンブラは彼を見上げると、ごほごほと咳き込みながら叫ぶ。
「おっさん……! どういうことだよ、この力があれば、最強に……無敵になれるんじゃ、なかったのか!? どうしてくれんだよ、責任、ぐふっ……とれよ……!」
「たわけ。《
ぎろり、と、鷹が獲物を見るように、男はアルハンブラを睨みつける。そのまま彼は血まみれのテロリストに近づくと、その首を思い切り掴んだ。アルハンブラがさらに咳き込むが、お構いなし。そのまま彼は、男の黒い瞳を、己の青の瞳で覗き込む。
「れぇとの急上昇に耐えきれなんだか。我が剣技、一度は食い止めた男故、あるいはと思ったが……ふぅむ、ある程度は素のれぇとも必要と見た」
そのまま、ぎりぎりとアルハンブラを締め上げて、サムライ姿の大男は、なんと片腕で彼を持ち上げる。右手が腰の刀へ伸びた。すらり、と鋭い音を立てて抜刀されたそれは――尋常ならざる業物だと、すぐにわかった。
刀身が、濡れているのだ。露に、ではない。有名な伝記小説に出てくるような妖刀のそれとは違って、彼の刀を濡らすのは、誰のモノとも知らない血だ。誰かを切り捨てたばかり、という風にも見えない。なぜならば鮮血は、刀身の全体を覆い、まるで生きているかのように泡立っていたからだ。
男はそれを、アルハンブラの喉元へと当てる。
「おい、おっさん、てめぇ、何するつもりで……」
「無論、粛清である。実験は失敗だ。次なる《血清》の材料となれ」
刀身が、ぎらりと煌く。氷菓にも分かる。止める術が、恐らく今の氷菓にはないことも、本能的に理解してしまった。
それはアルハンブラも同じだろう。彼は情けないほど怯え切った顔で、血を吐きながらも喚き散らす。
「い、いやだ! やめろ、やめてくれ!! 俺は、俺はあんたの役に立ったはずだ! がふっ、ぁ、あんたの求める力を、あとちょっとで手に入れられるところまで、ぇ、ぁぎぃっ、来てるはずだ! なのになんで殺す? まだ俺には、がっ……使い道が――」
その言葉に、男は、ふむ、と一考して。
「貴様今ほど、いれぎゅらぁ・でばいすは最高の戦争兵器だと申したな」
「がっ、ぐっ……そ、そうだっ、それが、なんだっていうんだ……!」
「なに。それが我の機嫌をいたく損ねた。それだけよ」
ざしゅっ。
静かに、嫌な音がした。
ピエール・アルハンブラは。
道をたがえた異端騎士は。
大男が刀身を僅かにずらす――それだけの動作で、断末魔の悲鳴すら上げることなく、絶命した。
「いれぎゅらぁ・でばいすは戦争の道具にあらず。救済を受け入れ神の座へと到達した、新たなる『人』の姿である」
まるで聖職者か何かが、己の教えを誰かに伝えるときのように、厳かな口調で男は告げる。
それは氷菓や有司の理想とも、ピエールの邪悪な価値観ともまるで異なる、あまりにも異質で――『異端的』な考えだった。
男は物言わぬ骸となったアルハンブラを、どちゃり、とその場に投げ捨てた。氷菓があまりにむごいその光景に、口元に手を当てる暇もなく、彼の身体がどろどろと融解していく。その姿、まさに血のごとし。
かつてアルハンブラであった池溜まりに、己の太刀を突き刺す男。直後、どくり、と表面の鮮血が脈動する。そのまま刀は、喰らう様に血だまりを吸収した。
どぷり、と、再び刀身が泡立つ。
「ふむ……」
男はその様子を見ると、虚空へと手を突っ込む。異端世界への門が開き、数秒後、彼はその中から何かを取り出した。
薄いクリアイエローの液体だった。何かの薬にも見えるそれは、なるほど、《血清》という呼称が相応しいかもしれない。恐らくアルハンブラが言っていたのは、あれのことだろう。
それがなんなのか、氷菓は思考を巡らせる。アルハンブラはあれを摂取すると言っていた。彼の言葉を信じるのなら、恐らく、あれは無理やり異端深度を上昇させる、あり得べからざるマジックアイテム――。
「なっ……!?」
「ほう」
思考は、即座に中断させられた。
氷菓が顔を上げたその時には、彼女の機械鎌と巨漢の鮮血刀が激突。高い金属音と、激しい火花をまき散らしていた。
男の反応は素早かった。即座に鍔迫り合いを解くと、彼はまるで己の手の延長であるかのように、真紅の刀で氷菓を切り刻まんとする。全力で加速してもなお、剣閃をとらえきれない。氷菓の身体に少しずつではあるが切り傷が刻まれていく。
それでも、実力は伯仲していると見えた。致命傷は一度も受けていない。男の攻撃が激しさを増すと同時に、氷菓もまた、『ノって』くる。碧い瞳が妖精のように光輝き、《異法》の力を解き放つ。その反応速度が上がっていく。
氷菓の周囲に渦巻く吹雪を切り裂いて、真紅の刀が振り下ろされる。機械鎌との激突は数え知れず。一合、二合、三合。刃のぶつかる衝撃が、氷菓の軽い体をずるずると後退させていく。
「戦時中には見なかった顔だ。新世代、というやつか」
呟かれた言葉に、戦慄する。
この男、《大戦争》経験者だ。人を何の葛藤もなく殺すその姿勢、紛れもなく当時の経験によるものだろう。
有司たちが撲滅したがった、戦いを求める異端騎士たち。諸人と《異端者》を隔絶させる、融和の敵。自分の事を、特別だと思っている類の人間だ。
それを象徴するかのように、冷や汗を流す彼女とは対照的に、着物姿の男は興奮した面持ちだった。ぎょろりと開いた瞳を爛々と輝かせ、彼は笑う。嗤う。哂う――
「は、はは、ふはははははッ! 防ぐ、防ぐか! 我が剣技、一度のみならずことごとく防いで見せると申すか! 良いぞ、もっとだ、もっとその力を見せてくれ!」
がん、という鈍い音と共に、鎌と刀が弾き合う。男はそのまま大上段に刀を構え直すと、斬り降ろしの姿勢に入る。
彼の剛腕を以てすれば、並の異端騎士では対応できない斬撃が降ってくるだろう。その速度も相当なものになるはずだ。
だが……加速能力を持つ氷菓を相手にしたとき、その構えは大きな隙となる。
「──《
「ぐむぅうッ!?」
呻き声が上がる。《十二時の鐘が鳴る前に》が、槍の姿へ変形する。そのクリアブルーの穂先を巨漢の胴へと突き刺せば、封じ込められた絶対零度の猛吹雪が爆発。彼の身体を、内部から凍り付かせていく。
死人を出す可能性さえある、氷菓最大の一撃は、文句なし、最高のタイミングでヒットした。逃しはしない。この攻撃で、必ず凍り付かせる。
ここで彼の動きを止めて、一度戦線を離脱しよう。リーダーが死んだ今、テロ集団そのものは怖くないはずだが、有司と舞花が心配だ。そもそも護衛業を放りだしてきてしまっているのである。流石に、早く元の仕事に戻りたいところだ。
「ああ――最高ではないか」
その判断が甘かったことを、氷菓は直後、身をもって知った。
「がふっ……!?」
喉から、乾いた吐息と、僅かな血が吐き出された。
一瞬、何が起こったのか理解できなかった。知覚の加速したその瞳でもなお、捉えきれないほどに素早い大上段斬り降ろしが炸裂したことを悟ったのは、肩口から焼けるような痛みが走った瞬間だった。
時凍氷菓は本来、命を賭けた戦争ではなく、人々が少しのいさかい、小さな未来をかけて争う《代理戦争》の担い手である。
現代において半ばスポーツと化したこの戦においては、致命傷となるような攻撃は得てして避けられる、あるいはそのヒットが決定的となった瞬間に試合が終わる。
故に氷菓は、《時は凍てつく》の直撃に対して、カウンターが降ってくる、などという状況に殆ど遭遇したことがなかったのだ。
油断していた。
これが、有司たちが経験してきた、戦争の姿。
「あ、あぅ、う、ぁああ……っ」
言葉にならない悲鳴が、喉の奥から勝手に上がる。
経験したことのない、凄まじい痛みだ。あくまで試合である《代理戦争》では、負ったことのない大怪我なのだから当たり前である。だが、これほどのものとは思わなかった。激痛とは、多分この感覚のためにある言葉。
有司は六年前、この熱を毎日のように感じていたのだろうか。そうだとすれば、とてつもない精神力だ。氷菓はこれでも痛みには強い方だが、それでもなお、脳が勝手に意識を手放そうとしてくるほどの感覚である。
己の内から溢れ出た氷が、ぱきぱきと音を立てて傷口を蓋っていく。《時よ止まれ、お前は雪景色の様に美しい》は、宿主の傷を氷漬けにして癒す特徴がある。
氷菓が接続した異端世界、《遍く命は氷獄に芽吹く》の大本の法則は、『極寒の前には時さえ凍る』だ。
レート7としてその大本法則に極めて似通った力をもつ氷菓の《異法》は、氷菓の肉体を万全状態の時間で固定、それが損なわれたときに、自動的に補完しようとする力がある。
「まだ、です……!」
「ほう……素晴らしい、今の一撃をも耐えきるか……!」
痛みが引いてきた。氷菓は立ち上がると、再び機械槍を構える。
男の方も、体を凍結させていた氷を振り払った様だった。内部からの氷結、一体どのようにして逃れたのかは不明だが、影響を受けながらの斬り降ろし。まさかとは思うが、力任せに乗り切った可能性さえある。
「合格だ。貴様は、我が『救済』を受け入れるに相応しい」
「……!?」
その声は、想定よりもはるか近くで聞こえた。
振り返れば、いつの間にか、着物姿の巨漢がそこに。彼はアルハンブラにそうしたように、氷菓の首を強くつかむ。かはっ、と乾いた息を吐いても、彼は銀色の騎士の小さな体躯を持ち上げ続ける。
その左手が、虚空へと付き込まれた。取り出されたのは、銀色のグリップを持つ、小さなボトルだった。クリアイエローの液体が内部で波打つそれは、医療器具によくみられる無針注射器に良く似ている。
その直感は間違いではなかった。男は氷菓の足、スカートから伸びる太腿の、ニーソックスに覆われていない柔肌へとそれを押し当て、トリガーを引いた。ぷしゅっ、という、不気味なほど軽い音と共に、氷菓の体内へ《血清》と呼ばれた液体が投下される。
「あぐっ……ぅ、あっ……!」
足を中心として、凄まじい痺れが全身を襲った。その痺れは徐々に別の感触へと移り変わり、氷菓の身体を蝕んでいく。
まず指先の感覚が遠くなる。次に体の奥から、耐えがたいほどの灼熱が襲ってきた。心臓の鼓動が早くなる。荒い息が止まらない。視界がぶれる。霞む。
――自分が、消えてしまう。そんな錯覚を懐いた。彼女の青い瞳は、それが錯覚ではないことを示す、驚くべき現象を直視した。
氷菓の細く、白い指先が……半透明のポリゴン片となって、消滅を始めたのだ。
指先だけではない。体の至る所が、極めてゆっくりではあるが透明になりかけている。感じたことのない異常な不快感。裏返ってしまうようなおぞましい感覚。
「あ、あ、あぁ、ああぁああっ……!」
いつもなら気丈に振る舞えるはずの自分の心。その柱さえもが砕けてしまったかのようだ。悲鳴をあげるのを、止めることができない。人間の根本的な生存本能が、嫌だ、嫌だと泣き叫ぶ。
なんなのだ、この状況は。あまりにも、あまりにも常識の外に在り過ぎる。
こんな終わりなんて想像もしていなかった。氷菓の心が、確かな形を持ち始めた『死』という言葉を拒絶する。
まだ、有司と舞花のことを、きちんと知れていないのに。
彼らの輪の中に入りたかったのに、それを告げることさえできていないのに。
護衛と護衛対象の間の不文律を破りさえすれば、実現はいたく簡単な、そんな小さな願いなのに。それすらも叶えることもなく、ここで消えるなんて――。
「いや……いやぁぁ……っ!」
「何を嘆く。人の世界から解き放たれ、神の座へと至るのだぞ。それのどこに不満があるというのだ」
男は訝し気に首をかしげる。その姿が、氷菓のぼろぼろになってしまった心に突き刺さる。
この男とは根本的な、それこそ生物としての価値観が、全く違うのだ。そんな存在から撃ち込まれた得体のしれないものが、時凍氷菓という『個』を消していく。それがどうしても、受け入れがたくて。背筋が凍るほど、哀しくて。
怖い、と。生まれて初めて、驚くほど強烈にその感情を理解した。
「しにたく、ないよぉ……っ!」
あり得ないほど情けなく、か細い声が喉からもれる。涙のせいで視界が霞む。嗚咽のせいで、その言葉を、形にすることができなかった。
――助けて、と。
「時凍ぉぉおおおおお――――!!」
だから応える声が聞こえたとき、いっそ驚き過ぎたのだろうか、氷菓の瞳は鮮明に像を結んだ。そうして彼女の不安や絶望、そういう負の感情を全て吹き飛ばして、上階から『降ってくる』、一筋の剣閃を見た。
「ぬっ……!?」
男もまた、それに気が付いた。流石に今の状態で回避は不可能だと判断したか。男は氷菓を大きく放り出すと、素早い身のこなしでその場を離れる。
直後。落雷を思わせる轟音と共に、剣の神が『着弾』する。氷結と断裂によってすでに崩壊寸前だったハイ・カーボンの床を粉々に粉砕し、その粉塵の内に屹立した彼は、真紅の斬馬刀を携えていない方の腕で、傷ついた氷菓を救い上げ、驚くほど力強く抱きしめる。
……直後。
「ごほっごほっ……うへぇ、やっぱ異端騎士でも三階から落下するもんじゃねぇわ」
やたらと情けなく咳き込んだ。紅い剣から、はぁ、というため息が聞こえてくる。
『既に答えの出たものに対して同じ轍を踏むのは兄様の悪い癖。あと着地の時に私を錨にされると結構痛い……はっ、これはまさか初めてをSMプレイにしたいという遠回しな愛の告白……!? やだ兄様ったら。私どっちの素質もないのに……でも頑張るね』
「んなわけねぇだろ馬鹿。うぉへっ、砂埃の上がり方尋常じゃねぇぞこれ。マスクの向こうから入り込んできやがる」
勢いよく咳き込む少年は、何故か黒い仮面に黒ローブという、随分と先鋭的というか、正直な話をすると、俗に『中二病』と罵られそうな服装をしていた。美有の辺りが見たら笑い転げてしまうのが目に見える。残念だが、センスの悪さだけなら全く擁護ができない。
けれどもそんな彼の立ち姿が、何故だか知らないけれども強烈に格好良く見えてしまう。冗談でもなんでもない。本当に、今だけは何の疑問もなく、「一目惚れというものは実在するのだ」と確信できた。
仮面の奥、何故かいつもの黒ではなく金色になったその瞳が、氷菓の顔を覗き込む。どくん、と心臓が脈打った。先程の様な嫌な疼きではない。これまでの人生で一度も感じたことのなかった、もっと甘くて、切なくて、愛おしい鼓動。
三橋有司が、言い訳をするように笑った。
「わりぃ、助けに来るの遅れちまって。戦闘員の拘束に時間がかかってよ」
「本当……ですよ……! 《第三最大異端》なら、テロリストくらいもっと早く片付けてください……!」
声はかすれ、鮮明になったはずの視界はぼろぼろ零れる涙のせいでまたぼやける。随分無責任なことを言っている自信があったが、そうでもしないともっとおかしくなってしまいそうだった。
ああ、後に時凍氷菓に、三橋有司に恋をしたのはいつかと問うたのであれば、間違いなく少女はこの時の出来事を答えるであろう。それが分かってしまうほどに、胸の高鳴りを抑えきれない。
けれど今の氷菓は、その感情の名前をまだ知らない。というより、出会って数日の男性に、こんな想いを抱くなんてふしだらだ、と、心の中の生真面目過ぎる自分の心が、無理矢理気付くことを避けているのかもしれない。けれども、そちらの顔も真っ赤なのが丸見えだ。
自分の気持ちに嘘がつけない。偉大な人物へのただの憧れが、こんな切ない感情に昇華してしまうなんて思いもしなかった。
『随分とぼろぼろになっている……その姿、兄様に色目を使うに相応しくない』
有司の携えた紅の大剣。その鯉口に灯った黄金の光が揺れて、舞花の声が響いた。ではあれこそが、彼女の異端兵装としての姿なのだろう。
ちょっととげとげしいけれど、でも頼りになることは見ただけで分かる。自分の機械鎌では到底届かない、遥か最上の剣の気配。今なら彼女の言葉の数々に共感ができる気がする、愛らしい黒の金木犀。
このふたりがいればきっと大丈夫。そう安心してしまったら、逆に自分のふがいなさに泣きたくなってきてしまった。本当なら自分が、彼らを守れと指示されているのにも関わらず。
「ごめんなさい、私、お二人の護衛なのに、助けられてしまって……」
「まぁ、この場くらいは任せて休め。ちょっとくらい、『先輩』のいいとこ見せつけさせてくれ」
ちょっとくらい立場逆転したところで、姉貴も怒らねぇだろうよ。そう呟いた有司が、頭を撫でてくれる。
ぼっ、と。顔に火が付いたと錯覚した。大昔、友人に読ませてもらった少女漫画でこういう展開を見たときは、何を馬鹿な、と思っていた。頭を撫でられた程度で赤面するヒロインも、許可もなく乙女の髪に触る男性も、どちらも破廉恥だ、と。
だがいざ自分がそれをされてみると、その考えは覆ってしまった。
ああどうしよう、胸の奥が熱くなって止まらない。お腹の奥の方がきゅーんとなってしまう。驚くほど安心して、意識さえも薄れてきた。
「では、お言葉に、あまえ、て……」
氷菓はまどろみの奥に沈んで行く。
つい先ほどまで感じていたはずの恐怖は、もうどこにもなかった。
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