各々自分なりに思うことがある。それでも同じ結果にたどり着くものである。
「ダリー!雪降ってるよ!」
朝から騒ぎ立てているのはデルタだ。
「じゃあ今日は休みにしようよ。」
「だめだ。ちゃんと金を稼いで来いよ。」
働きたがらないダリーをレイはまったく甘やかすことはない。ダリーはため息を一つ着いて仕事に向かうことにする。
「俺の棍棒は?」
「棍棒?どんなのだっけ?」
「六角形で鉄のやつ。。。あー、あれないと仕事にならないわー。今日は仕事いけないわー。」
「ダリー頼むよ。仕事に行ってくれなきゃ窯の蓋が開かないよ。」
「窯の蓋が開かねえってんなら鍋の蓋でも開けときなよ。」
「いいから仕事に行けって。そもそも何の仕事するかも決まってねえのに棒が無きゃ出来ねえなんてことあるわけねえだろう。」
雪のちらつく肌寒い朝。冬の始まり。各々すでに自分に与えられた仕事へと向かい、城の中に残っているのはレイとダリーの二人だけだ。
「ダリー!早くしろよ!」
外からデルタが大声でダリーを呼ぶ。
「棍棒が無えから無理だわ!」
「あるよー!棍棒!」
窓から見ると銀色の六角柱を担いだデルタが元気いっぱいに手を振っている。
「良かったな。棍棒見つかって。」
レイがにやにやと笑いながら言うと、ダリーは無言で出口へと向かっていった。
「遅いよ。雪止んじゃったじゃん。」
「棒返してよ。」
外で待っていたデルタから棍棒を受け取りダリーは馬車へと向かう。
「馬って服着なくても寒くないのかな?」
「お前全力で8時間走ってみろよ。服なんて来てらんねえだろう。」
陽気に話すデルタに対して棍棒を肩に担いだダリーはどうにも鬱屈とした雰囲気だ。
「じゃあ早く走らせてやらないとだな!」
そう言ってデルタは駆け出して行く。これから馬鹿と二人で組んで仕事をすると思うと足取りの重いダリーであった。
「レックス、これってさ全部切り開いたら周りの国にバレちゃうんじゃない?」
ギガマロンが木を切るのを眺めながらリグレットが言ったのにレックスは淡々と答える。
「バレるでしょ。」
「バレてもいいの?」
「その辺のことはレイがどうにかするでしょ。それより早く晩飯獲りに行ってよ。」
「俺らいつまで猪食って暮らさなきゃいけないんだろう。そりゃあダリーの飯がタダで食えるのは有難いけどさ、こう毎日猪料理ばっかりだとなー。」
「毎食味も変えてくれてるし良いじゃん。っていうかそれリグレットが猪ばっかりとってきてるせいだし。早く晩飯獲りに行ってよ。」
「あーあ、せっかくダリーがいるならもっといろんな物食べたかったよな。」
「でも今日からダリーいないよ。だから晩飯獲りに行ってよ。」
「まじかよ。今俺どんな気持ちかわかる?」
リグレットの問いにレックスはため息を一つついてから答える。
「絶望のカーニバル。」
「ご明察。」
雪のちらつく中、手綱を握るフラッシュは思う。
世界征服など本当にできるのだろうか。
と。
「別にできなくてもいいんじゃないの?暇つぶしって言ってたし、気楽に楽しくやろうよ。」
馬車を操る背中に向かってギャップが言った。
「下手したら死ぬかもしれないし。」
「それはしょうがないよ。今までだって何人も死ぬの見てきたじゃん。」
フラッシュは手綱を握る手を見て言う。
「慣れるもんじゃあ無いから。」
「まぁ、まだ誰も死んでないし明るくいこうよ。」
フラッシュは鉛色の空を眺め想う。
まぁ、いいか。
と。
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