最終話 ファイナル・エンカウンター


 国王粛清後、俺たちは自分たちの国に戻った。

 そして、新国王を誰にするかという問題に苦悩していた。


 本来なら革命を起こした人物が国王になるのだが、その革命を起こした人物が聖女とその婚約者なので、そういうわけにもいかなくなっと。


 というわけで悩んだ果てに生み出された答えが――――――


「吸収で良くない?」


 ――――――だった。


 どうせアマヤ王国は終わりだったし、アマヤ王国を『コルトキュル大帝国・アマヤ領』という名前にでもすれば領民も今まで通りの生活が送れるし、税金が軽くなる分、街がより活性化するしな。


 というわけでアマヤ王国は約1年の時を経て、コルトキュル大帝国に吸収されました。


 あと聖女の扱いに関してだが、丸投げすると向こうの負担も大きいので、今までと変わらずという形になった。





 まあ、そんなわけで俺とアラスのイチャラブ生活が始まった。


「お父様、子ども出来ました!」

「ブフォッ!?」


 コーヒーを盛大に吹き出したエドワード。


 うん、偶然出来ちゃったんだよ。避妊してたから大丈夫かと思ってたけど、どうやら100%安全というわけではないらしい。

 医者の判断だともう安定期には入ってるらしい。


 まさか初経もないまま妊娠することになろうとはな……


「(12歳で子供産むって、元の世界だったら確実に犯罪だったな……)」






「っていうドッキリはどう?」

「ヤメロ。エドワードがショック死する」


 おっと、いつから俺が妊娠していると錯覚していた? 『イチャラブ生活が始まった』からは全てティナの妄想だからな? 実際は妊娠なんてしてないし、そもそもイチャイチャなんてしてない。


「よく言いますね。毎晩毎晩お盛んな癖に」

「隣の部屋で寝てる私たちのことまで考えて欲しいわね」


「「申し訳ありませんでした……」」


 フレイヤとクレアからの苦情が入り、申し訳なさそうにする俺とアラス。


「さて、今日もお金稼ぎに行くわよ!」


「えっ、ちょっと? なんで締めみたいな雰囲気作るのですか!?」

「そうだそうだ! 俺とティアの子供だってまだ産まれてないだろ!?」


「あと何年掛かると思ってるのよ!?」


「「3年」」


 俺とアラスがハモった。ちょっと嬉しい。


「そんなに待てるかァーーーー!!!」




 ◇◇◇






 そんな日常を過ごしていたら7年も経ってました。


 まあ……ね。それだけ過ごせば子供の一人ぐらい産まれちゃうよね?


「お母様! またお婆様が怒ったの!」


 というわけで紹介しよう。

 この娘は俺とアラスの娘の『ネイ』。アラスの黒い髪と俺の金色の瞳を持っためっちゃかわいい女の子だ。


「そっか……じゃあこれを持って行ってあげなさい。機嫌とれるよ」

「はいっ! お母様!」


 エレノアはネイに厳しい。まあ、ネイが産まれたことで、俺が次期聖女にならないことが確定したからだろう。


 コルトキュル大帝国の決まりで次期聖女が子供を産むと、その者は基本的に聖女になれなくなるのだ。


「さて、アラスたちが帰ってくる前に晩御飯を作らないといけませんね」



 俺は台所に立って、7年前のパーティー結成時の写真を眺める。




「時間が経つのは早いですね……」






――――――――――――――――――――

【あとがき】


『TS聖女のかくめい的ふくしゅうたん!』はこれで完結です。


 今回は復讐するが物語なので、あえて触れないままにした部分があります。


 今後、同じ世界観のモノを作る予定がありますので、そちらの方で説明を加えながらやっていこうと思います。



 また、アマヤ王国の王宮捜査の際に登場した【宝石少女】については私のマイページに『関連作品』があるので、読んで戴けると嬉しいです。



ご愛読いただき、ありがとうございました。

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TS聖女のかくめい的ふくしゅうたん! 名月ふゆき @fukiyukinosita

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