第68話 TS聖女のかくめい的ふくしゅうげき!
国王を引っ捕らえた俺たちはコルトキュル大帝国にある例の広場まで【転移】し、国王を広場の中央に投げ捨てた。
「これより、我が娘を殺し、自らの民を虐げてきた極悪非道な王に制裁を与える!」
コルトキュル大帝国、国王陛下の宣言が入ると観客席に座っていた両国の平民たちが広場の中央に転がる国王へ石を投げ始めた。
「殺すのはまだ早い! この王は殺されるような価値もない!
コイツは我々の
というわけで俺たちは玩具で遊ぶことになった。
「まずはこれだ! 【クリーム砲】!」
アラスの作ったクリームが中に入っている大砲が国王に向けられる。
「【発射】!」
その声が響くと共に国王へクリーム砲が発射された。
その映像がアラスの魔法を通じて大きなスクリーンに何度も再生される。
そこにあったのは今までの憎しみではなく、ゴミがアホみたいに蹂躙されることで生み出された【笑い】だけだった。
この場にいる人たちは皆、同じ気持ちになっている。
平民も貴族も王族も聖女も関係なく、皆が笑っている。
誰一人として悲しむ者はいない。これこそが本当の『国』というモノなのだろう。
「続いて、両国が誇るボディービルダーたちによるタイキック!」
すると4人のマッスルたちが広場に入場してきた。
そして――――――
「せいっ!」
「はあっ!」
「とおっ!」
「やあっ!」
4人のマッスルたちが順番にタイキックを決めた。
「イッタァァァアアアアッ!!!!」
タイキックを受けた国王があまりの痛さから足を抱えてピョンピョンと跳び跳ねる姿がスクリーンに映し出される。
ここまで来ると、もはやアイツは国王ではない。ただの芸人だ。
それから、泥沼や股間蹴り、花火、ナシ汁ぶっしゃーなど、何か色々とモテ遊んだ。
「では制裁もいよいよ最後! 30年前に殺害された一番の被害者であるティナ王女殿下。その者である!!」
というわけでティナと共に何か色々と惨めになった国王のいる広場へ立ち入る。
ティナが現れたことで、観客からのざわつきが止まらなくなった。
「ティナ王女殿下は自らの父親に殺された怨みを持ち、今まで成仏することが出来なかった。
そんな彼女を救ってあげたいと申し出たのがアマヤ王国の次期聖女様であるティア様である!!」
国民たちが盛り上がる。
そして、驚きを隠せなかった国王にティナが近寄る。
「ティナ……貴様まで加担していたのか」
「お父様、この短刀に見覚えがあるのではありませんか?」
ティナが俺の持っていた短刀を1つ手に取り、国王に突きつけた。
「なるほど。お前だったのか……次期聖女。通りで王宮内の構造が知られていたわけだ」
ティナのせいで正体がバレてしまったが、どうせコイツは死ぬ身だ。気にする必要はない。
「ティナ」
「ええ」
俺とティナで短刀を1本ずつ持ち、国王に向けて構えた。
「「【
俺の光魔法とティナの闇魔法が混ざり、一本の柱状になった。
「これが私たちの!」
「最後の復讐だ!!」
柱状になった魔法が振り下ろされ、国王に命中すると同時に盛大な光が破ぜた。
◇◇◇
国王が死亡し、俺とティナは広場から離れてアラスやフレイヤ、エドワードたちのいる観客席に向かっていた時のこと。
「きゃっ!?」
曲がり角で何かとぶつかり、尻もちをついた。
俺は目を開けて何とぶつかったかを確認すると、車イスと銀髪碧眼で少し変わった服装をした少女が横になっていた。
俺は慌てて駆け寄り、車イスを立てて少女を座らせた。
「すいません。大丈夫でしたか!?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
少女にお礼を言われるとその少女の連れらしき人物がやってきた。
「フェノン! 何やってんだ。魔王様が待ってるぞ!」
「お父様が!? うん、わかった。いま行く! じゃあね。聖女様」
「はっ、はい……」
少女は車イスを動かして、連れの待つ方に行った。
去り際にその少女は連れの人とスゴい良い雰囲気を出していた。恐らく彼女の婚約者なのだろう。
俺もアラスとあんな感じになりたいと思ってしまったのだった…………
「ねえ、あの娘の連れさ。魔王とか言ってなかった?」
ティナ。ヤバいことには顔を突っ込まないのは常識だ。
例え今の子供が魔王の娘であろうと、俺は知ったこっちゃない。いいかティナ。俺たちは何も見なかったし、聞かなかった。アラスたちには言うなよ?
……というかなんでお前成仏してないの?
国王死んだよな? 復讐済ませたよな?
「知らないわよ。作者だってツッコミ役が欲しかったんじゃないの?」
ああ、なるほどな。確かにツッコミ役はお前しかいないわ。
というか急激なメタ発言、そろそろやめてくれる? そういうの本当に良くないと思うから。
「一番メタ発言してたヤツが何を言ってるのよ……」
あっ、アラスだ!
「アラスー! 私国王殺したよ! 撫でて撫でて!!」
「……もうそのままゴールインしちゃえばいいのに」
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