第66話 知ってしまった秘密


 俺とアラスは怪しい音を鳴らした本棚に着目した。


「ここの本棚、怪しいぞ」

「……知ってます」


 当たり前なことを言うアラスに当たり前な返事を返した俺。


 アラスが本棚に入っている本を全て取り出して適当に漁る。

 この間、俺は1人で国王のどうでも良い記録を積み重ねて、椅子の代わりにする。


 昨日はエドワードと夜遅くまで話してたからあまり寝てないんだ。

 ねむっ…………


「すぅー……すぅー……」



「……ヒトが一生懸命やってる真横で堂々と寝るとは言い度胸してるじゃねーか」





 ◇◇◇




 目を覚ますとアラスの顔が真正面にあった。


「……なんですか?」

「いやっ、なんでもない。気にするな」


 アラスは若干慌てながら返事をした。

 そして、それと同時に、俺は不思議な違和感に気がついた。


 俺はアラスを冷たい目でみる。


「見ましたよね?」

「はいっ……でも、今さらだから許して?」

「ダメです。外でやっていいことではありません。今晩は【】、多めに入れますから」

「本当に申し訳ございませんでしたァ!!」


 アラスが土下座をする。残念ながら許すつもりはない。

 なぜなら――――――


「王宮でなんて着たら間違えられるでしょ!!!」

「そっちかい!」


 アラスは俺が寝てる間にメイド服へと着替えさせていたからだ。

 唯一不思議に思ったのは――――


『なんでガーターベルトの付け方を知ってるの?』


 だった。


 まあ、アラスのことだし、女装でもしてたのだろう。きっとそういう趣味があるに違いない。今度プレゼントしてやろう。


 ……エドワードにもプレゼントが必要だったな。同じヤツをプレゼントしてやるか。


 二人が大喜びする姿が目に浮かぶな。



 その時だった。ガコンという音がなり、本棚が動き出したのだ。

 すると、中から1つの部屋が現れ、そこには様々な書類が置いてあった。


「魔力を利用した古代兵器、【魔導兵器マジックウェポン】の作成の依頼書……」


 これ、イズじゃん。ガッツリイズのサイン入っとるやん。アイツまた余計なことしてるな。


「『宝石少女略奪計画』なんてのもあるぞ」


 宝石少女? なんだそれ?

 まあ、そんなことはどうでもいいか。とりあえずこれを持ち帰れば終わりだ。


「アラス、回収してズラかりましょう」

「そうだな」


 アラスの収納魔法に怪しげな書類を詰め込んでいくが、誰かがいる気配を感じて俺は入り口の方を見た。


「おっと、見られてしまったようだ。私は例え相手が聖女だろうと容赦はしないのだよ」


 そこに立っていたのは国王だった。そして、ガコンという音が響くと開けていたはずの本棚が閉じ始めた。


「てめえ!」

「おっと、コワイコワイ。

        だが……私には届かない」


 アラスが殴りに掛かろうとした瞬間に本棚が完全に閉じきった。


「アラス、あの国王、殺しましょう」

「……ああ、アイツがいる限り俺たちは幸せにはなれないようだ。この借りはきっちり返させて貰おう……!」



 俺はアラスと共に国王を殺すことを決断したのだった。






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