第65話 国王について調べ上げる


 俺はアラスとクレア、フレイヤの三人と共に王都の図書館に来ていた。


「図書館ってデカいな……」

「そうですね……」


 ここは国にたった1つしかない図書館で王国の歴史などの本が置いてある。

 入場料金は銀貨10枚とアホみたいな値段だが、次期聖女が顔パスしたので無料で入った。


 聖女が図書館に入るということは滅多にない。最後に聖女がこの図書館に立ちよったのが、革命が起こる直前である200年も前のことだ。


 余程のことがあると思われただろう。

 だが、国王が国民に対して酷いのも事実であるため、警備のヒトは「ようやく動いてくれたと思ったら次期聖女かよ……」みたいな顔をしていた。


 まあ、エレノアだって暇ではないのだ。1日中家でダラダラと過ごしているが、断じて暇ではない。

 エレノアにはファッション雑誌を読んで流行の最先端を理解するという大変な仕事があるのだ。



「それでは必要な情報を収集しましょう」



 俺たちは情報を集めるべく、50年前の記録を調べ始めた。




 ◇◇◇



「ティア、あったか?」

「いいえ、ティナに関する記述すらほとんどありません。あるのは40年前に『魔物に襲われ死去』ぐらいですね……」


 というか書き換えられてるし……

 こうなるとアレだな。ここにある書物全部に国王が目を通して、ヤバい情報は書き換えられてるかもしれないな……


「ボロが出るとは思いませんが、ティナに関する記述があるものは集めてください」


 それから図書館内を詳しく調べるが、ティナに関する記述がある本が4冊しかなかった上に、どれも1ページにも満たない説明しかなかった。


 それとは裏腹に国王の税金が毎年不用意に上がっている書類がアホみたいに出てきた。

 しかもその税金のほとんどが、賭博や酒に使われていたという証拠付きで。


「まるで私たちを誘導してるように感じますね……」


 もしかしたら税金の裏には何かが隠れてるのかもしれない。これは聖女をそれだけで満足させて王宮に立ち入らせないようにしている小細工か?


「明日は王宮に向かいます」

「そんなこと出来るのか?」

「お母様がいれば可能であるはずです。聖女というのは国の抑止力なのですから」




 ◇◇◇


 というわけで翌日、俺たちはエレノアとエドワードを連れて王宮へと家宅捜査に踏み切った。

 もちろんアポなしだ。あったら隠蔽される可能性もあるしな。


「……ここですね」


 俺はアラスと共に王宮にある資料室に入った。何かあるとすれば、ここにあるだろう。


「ティア、なんでここに資料室があるって分かったんだ? 扉だって隠蔽魔法で隠されてただろ?」

「知りません。何となく、何かがここにある気がしたんです。そして、それが何かは分かりませんが、それは私を呼んでいました」


 これは本当だ。確かに感じる。何かが俺を呼んでいた。今だって感じる。この本棚の裏から何かあると……


「呼んでいるってそんなまさか……」



 ――――――ガコン。



 1冊の本を取り除くと何か変な音が聞こえた。


「……仕掛けがありそうだな」


 先ほどまでは冗談だろ。みたいな表情をしていたが、何かあると気づいたアラスは表情を変えて本棚に目線を集中させた。







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