第62話 かわいいは正義!
翌日、俺とアラスは昨日の出来事を報告するため、クレアとフレイヤ……そしてティナを連れてコルトキュル大帝国にある神殿の会議室へと向かった。
「失礼致します」
俺が扉を開き、会議室に入るとそこにはこの国の国王、聖女、次期聖女、リアム……それと愉快な仲間たちが大勢いた。
俺たちは順番に席に座るのだが、ティナのことを言ってなかったので、1席足りなかった。
「では私がアラスと……」
「「「それはダメ」」」
「はい……」
残念ながらそれは叶わなかった。
結局、ティナの所有者が俺であるということでやむなくティナの膝の上で妥協した。
「イヤそうに言わないでくれる……?」
「アラスの上がよかったんです……」
そして、会議が始まった。
◇◇◇
会議が終わった。
「はやっ!?」
報告だけだしな。コルトキュル大帝国の国王とかなんでいるのかすらわからなかったしな。
結果としてこの国の人たちには相当気に入られたし、国王関連で何かあれば助けてくれるだろうな。
「そりゃそうだけど……」
「アラス、このあとどうします?」
「そうだな……街でも見て、帰るか」
俺たちは折角なのでコルトキュル大帝国の王都を観光することになった。
「屋台が随分盛んなんですね……はむっ」
「そうだな。まあ、これぐらいだったら材料さえあれば家でも作れるだろうし、今度やってみるか」
「はいっ!」
「「「(またイチャついてる……)」」」
屋台通りを抜けると綺麗な服が飾ってあるお店を見つけ、俺を含めた女性陣全員で興味を示した。
「……はぁ、1着ずつだ。奢ってやる」
「「「「っ!?」」」」
アラスの思いもよらなかったセリフを聞き、俺たちは驚いた。
「ありがとうございます♪」
「「「ありがとうございます!」」」
俺が礼を言うと、家臣一同も礼を言った。
「誰が家臣よ」
……ティナ。
「相手にするだけ無駄だったわね。
……さっ、お洋服選ぼっ♪」
かわいいお洋服の前には全てが無に返る。ティナも上機嫌で服を選びに店内に入った。
「アラス、私ではお洋服を選ぶと偏るので、手伝って貰えませんか?」
「ああ、いいぞ」
とりあえずアラスには俺に似合いそうな服を選んできて貰う。俺にはフレイヤやクレアみたいに服のセンスは皆無だから。
「ティア、これなんかどうだ?」
アラスが持ってきたのは黒いワンピースで、スカートに白のフリルが大量に付いた衣装…………メイド服だ。
「黒だと聖女っぽいので、出来れば明るい色の方がありがたいです。でもアラスがこういうのが好きなのでしたら買いますね」
サイズも問題なかったので、買い物カゴに入れる。
俺にはエレノアから貰った【
こういう時にしか使わないから未だに残っているのだ。
「あっ、エドワードの財布! ズルい!」
「……みんなで買いましょう」
というわけでエドワードの財布には余裕があるので、1人二着ずつ追加。
俺はエドワードに選んで貰ったメイド服と他二着を会計に持って行ったのだった。
「えっと……ごめんなさい……」
「俺の財布がほぼ使われてやがる……」
「あら、エドワード。まだ財布に残ってるじゃない? まさか娘の友人にまで買ってあげながら、妻に買ってあげないなんてことはないわよね♪」
「あっ、はい……明日買いに行きましょう」
エドワード、ごめん。今度、何かしらプレゼント贈ってやるからな。
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