第60話 理不尽な闇の王
闇の魔力を手に入れた俺はよくわかんないけど色々変化した!
『…………』
ん? おかしいな? いつもならティナのツッコミが飛んでくるはずなんだが……
すると俺の手に握られていた刀が勝手に暴れだした。
「ひゃあっ!?」
「ティア!」
俺は鞘に吹き飛ばされ、観客席の後ろの方にいたアラスにキャッチされた。
「大丈夫か!?」
「は、はいっ……」
正直嬉しかったし、アラスカッコいいと思ってしまった。
このまま流されてしまいたいと思うほどには……
だが、そうは問屋が下ろさない。俺を吹っ飛ばした刀が闇の魔力を放ち、その姿を変えていった。
『われこそは【闇の王】……この世全ての闇を産み出した王である』
とてつもない瘴気に包まれて姿こそ見えないものの、その圧迫感と存在だけは感じとれる。
『そこの貴様、このわれの捕縛を逃れるだけでなく、逆にわれを捕縛しようとするなど、尋常ではない。貴様はわれらの願いを妨げる存在だ。ゆえに、われは貴様を今ここで始末してくれる! ハアッ!!!』
散々長いセリフを勝手に呟きながら、唐突に攻撃を仕掛けてきたクソみたいな王。
「あぶなっ!?」
アラスが俺を抱えたまま回避した。
そして、そのまま俺をお姫さま抱っこして広場から離れて行く。
「とりあえず捲き込み防止だ! 全力で逃げるから舌気をつけろよ!」
『誰が逃がすと思って――――――』
「【転移】【転移】【転移】【転移】……」
『……………………なんだとゴラァッ!?』
闇の王を上手く誘き寄せるために少しずつ目で追えるぐらいの頻度で【転移】を繰り返す。
『せめて走れ! 汚ないぞ!』
いきなり攻撃を仕掛けたお前が言うか。
『やかましいわ! このクソガキ!』
◇◇◇
俺とアラスは【転移】を駆使して闇の王を近くにあった山まで誘導した。
「ここなら思う存分、お前を消し去れる」
『貴様ごときにやられるほど、われは餓えておらぬわッ!』
ん? 俺に魔力の半分以上を奪われた癖に餓えてない? そんなわけないだろ。見栄を張ってるに決まってる。
『誰が見栄を張ってるだゴラァ!!! というか貴様さっきからうるさいぞ! 少しぐらい黙れんのかッ!?』
……なるほど、そういうことか。
フフフ……わかっちゃった。お前を倒す方法が。
『な、なんだ!?』
俺の脳内でリズムが奏でられる。
『歌……だと……?』
俺の脳内で奏でられたリズムはティナを媒体としている闇の王にまで届く。
いいや、ちがう! これは歌なんていう生易しいものなんかじゃない!
脳内で奏でる【
『ギャアアアアア!!! その音をヤメロォォォオオオ!!!』
なお、俺の脳内で奏でているので、ハウリングによるダメージは俺にも襲いかかる。
だが、ティナを触媒としてる以上、ヤツがどんな攻撃をしてくるかわからない。
アレでいてティナには大量の瘴気が含まれているからな。
「あらす……いまの……うちに…………」
「ティア!? ……わかった。すぐに片付けてやるからな!」
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