第51話 早起きダイオウイカ
翌朝、目を覚ますと部屋中に何かうねうねとした触手が這いずり回っていた。
「はい?」
おい!? 唐突過ぎるだろッ!! なんだコレ!?
「ティア……なによ……いつの間にアラスとそんなに仲良くなってるの……」
どんな夢を見てるのか知らんが、少なくとも俺とアラスがイチャイチャする日は来ないから安心しろ。
とりあえずこの触手……何処から出てるのか、調べないとな……
朝早すぎてまだ眠っているクレアとフレイヤを踏みつけながら刀を手に取る。
ティナもまだ寝てるようで、刀を持っても反応がない。
「ティア……苦しいです……」
フレイヤの声が聞こえ、足元を見てみるとフレイヤを踏みつけている俺の足とフレイヤの首を絞めようとする触手が見えた。
……うん、俺だけど俺じゃない。
「えいっ!」
フレイヤが死なないうちに触手を切り落とすと、触手がビクリと震えてクレアを誘拐して撤退し始めた。
これでひとまず安心だな…………
「――って、クレア!?」
誘拐されていくクレアを追いかけるとコテージを出て、浜辺まで連れて行かれてた。
「えいっ!」
俺は短刀を投げつけてクレアの腕を引っ張っていた触手を切る。
するとその切られた触手は海の奥へと沈んでいった。
そして、勢いよく何かが浮上してきた。巨大なイカのような魔物だ。名前は知らん。
イカの王様っぽい大きさしてるし、ダイオウイカとかそういう感じの名前だろう。
しばらくダイオウイカ(仮)と顔を見合わせていると数多ある触手で攻撃を仕掛けてきた。
俺は刀ではなく、二本の短刀を引き抜いて触手を切り落とす。
だが、次から次へと触手が襲い掛かってくるので切りがない。
「【
俺の撃ち放った【岩弾丸】はダイオウイカに命中し、触手による攻撃が止まった。
ダイオウイカは触手を引っ込めると口から【岩弾丸】を撃ち放ってきた。
「きゃっ!?」
このままだとフリだ。遠距離攻撃ばかりやってきやがって! 海上とかいつ触手が襲ってくるかわからないから不利じゃないか!
……でもやるしかないな!
「【
これは風魔法と光魔法の応用魔法で一時的に翼が生える魔法だ。
ただし、飛ぶ原理は風魔法なので光魔法の翼はただの飾りだ。
「【
ダイオウイカの周囲を飛んで【風の矢】を撃つ。【岩弾丸】でも良いのだが、あちらはサイズが大きいので触手で防がれる可能性がある。
それにしてもチマチマと攻撃してるのも魔力効率が悪いな……
「だいぶ弱って来てますし、そろそろ幕引きにでもしましょうか」
俺はダイオウイカの目の前に移動する。
「【極光】よッ!」
ダイオウイカに目眩ましをして、急接近をしながら刀を引き抜く。
「たあッ!!!」
風魔法の勢いに任せてダイオウイカを一刀両断した。
「ふぅ……討伐完了っと……」
するとダイオウイカは半分に裂かれ、その中に入っていたイカ特有の黒い液体が外の世界へと解き放たれた。
「ふえっ!?」
「ティア、何があった……?」
「イカ狩りです……」
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