第44話 これが初のギルド依頼!
アラスの一言で俺たちは冒険者ギルドまでやって来た。
「冒険者ギルドってこんな感じなのか」
「依頼はあそこにありますね」
フレイヤが指さした方向を見ると依頼の貼り紙がいくつかあった。
どんな討伐依頼があるのかと楽しみにしながら近くまで見に行くと……
『家掃除、庭掃除、道路掃除、噴水掃除……あははッ! 掃除しかないじゃないの!』
まあ、この辺とかエドワードが退治しまくってるから魔物出ないもんな。採取クエストだってこの時期だとこの辺は何も採れないし、家事代行サービスが多いのも当然だな。
「これにするか。なんか報酬も良いし」
アラスが取り出したのは今は使われていない屋敷の掃除だった。
そこには報酬や屋敷の間取りなどが詳しく記載されていてとても分かりやすかった。
「結構広いですね」
だいたい王宮の4分の1ぐらいか? 図面を見るととてもシンプルな構想だ。それを1週間以内に済ませろと。報酬は…………
「金貨4枚……」
詐欺だな。絶対裏に何かあるぞ。
それで違約金を払わせて儲けるつもりだ。
冒険者ギルドには依頼達成出来ないと違約金を払わないといけない義務がある。
違約金はだいたい報酬の10%ぐらい。今回の場合だと銀貨40枚だな。宿屋40日分だ。
「やめましょう。そんな違約金を払うお金はありません。
やはりここはお手軽に済ませられるお墓掃除にでも…………あれ?」
俺が三人の方向を見ると既に三人はその場に居なかった。
キョロキョロと辺りを見回すとギルドの受付に依頼を渡そうとするアホ三人の姿が……
「これお願いしまーす」
「やめな……さいッ!」
「ヘブッ!?」
鞘をつけたままのティナを振り、アラスの頭を殴る。
危ない危ない……とんだ詐欺に遭うところだった……
「こちらでお願いします」
「……家庭の庭掃除ですね」
愛想笑いを返してきたギルドの職員。だがその職員からは「受けろよそのクエスト」という圧が放たれていた。
「受けませんよ?」
「チッ……」
舌打ちするんじゃない。まあ、いいや。早くしないと日も沈むし、さっさと依頼済ませよ。
◇◇◇
依頼の家はここみたいだな。
「ごめんくださーい」
玄関の扉をノックしながら大声を出す……アラス。
『アンタじゃないのね』
だって俺は大声出すのあまり得意じゃないもん。
『最近語尾が可愛らしくなってる時があるような気がするんだけど……気のせい?』
は? 気のせいだろ? ティナは何を言ってるんだ?
『それならいいけど……』
それから初めての依頼をこなして、報酬である銀貨6枚を獲得した。
今回は1人銀貨1枚ずつに分け、残りはパーティーの資金として保管することに。
「じゃあ俺が持っておくよ」
アラスがそう言うとアラスの右手にあったはずの銀貨二枚が入った袋が突然消えた。
「「「『はい?』」」」
俺だけでなく、クレアもフレイヤ、ティナまでもが呆けた声を出した。
「収納魔法なんだが……知らないのか?」
収納魔法って大昔に魔法を発見したとされる大賢者様だけが使えるあの伝説の……?
「えっと……俺、また何かやらかした?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます