第3章 聖女だって女の子だから!
第41話 女の子に必要な第一歩
ヴリドラの討伐から3ヶ月が経った。
1週間もの間、ほとんどの時間をベッドの上で過ごしていたおかげで俺もアラスも元通りだ。
実はあの後、俺とアラスは医務室に運ばれ、1日中眠っていた。
そして、ようやく目が覚めたかと思えば医務室は他の生徒たちも必要としていて、とても狭かった。
なので、俺は足がおぼつかない状態で【転移】を使い、フレイヤやエドワード、アラスたちを連れて家へと戻ったのだ。
それで泊まる宿もないし、冒険者カードが発行されるまで俺たちはダラダラと家で過ごしていたのだ。
ちなみに冒険者カードは三日前にようやく取得出来た。
そうそう、今回の事件の主犯、ジンバー・ティッシュはイズが二度と離さないと誓い、引き取っていったぞ。
処刑でも良いとは思ったが、こっちの方が地獄そうだし、「それで良いか」となった。
「おはようございます。ティア」
「おはよぉ……ふれいや」
俺は寝惚けた状態で上手く
一応俺たちは冒険者学園を卒業し、立派な冒険者となった。そこでパーティーを作ることにしたので、フレイヤも誘ったのだ。
その際にフレイヤは条件を出した。
それは――――――
パーティーメンバーの名前は必ず呼び捨てにする。というものだった。
どうも彼女にとって俺の先生呼びは居心地が悪かったらしい。
そういえば、クレアをパーティーに誘った時に「私みたいなモブがパーティーに居て良いの?」とか言ってたが、俺にとっては1年間毎日話し相手になってくれる大切な友人だ。
それと「名前があるということは主要人物なのだからモブなわけがない」というアラスの力説がなんとなく、わかったからだ。
そんなわけでクレアをパーティーに迎え入れた。
偶然ではあるが、剣士二人の魔法使い二人というバランスの良いパーティーになった。
……さて、そろそろ起きるか。
「痛っ!」
「どうしました?」
「いえっ、どうも最近胸が擦れるので……」
なんか痛いんだよな。以前までは全く無かったのに……
「ふふっ、ティアも成長してるのですね。では本日にでも行きましょうか?」
「どこに?」
「買い物です♪」
◇◇◇
というわけで俺とフレイヤは朝食を済ませ、王都……ではなく、街にある服屋がたくさん並んでいる服屋激戦区に突撃した。
王都は値段が貼るのだ。なので買い物の際には王都から少し離れた場所で買うのが良いのだとフレイヤが言っていた。
「あそこです」
フレイヤが指さした先にあるのは等身大フィギュアに下着を着せて展示している如何にも怪しいお店だった。
俺は警戒心をMAXにしてフレイヤの後ろに続く。
「ティア、聖女として振る舞わないようお願いしますよ」
「わ、わかってますよ!」
聖女が王都ではない田舎街に用も無く来るのは異例なので、俺が聖女だとバレるだけで田舎民は驚いて腰を抜かすらしい。
いやっ、さすがに腰を抜かすとは思えないのだが……
まあ、そんなわけで今日は洋服にして、髪型まで変えて来ている。
「では入りますよ」
フレイヤが怪しいお店の扉を開く。そして、俺が最初に目にした光景はたくさんの下着が置いてある棚だった。
「ふ、フレイヤ……? ここは危ない店なのでは……?」
「何を言ってるのですか? ただの下着屋ですよ?」
…………ああ、なるほど。下着屋ね。はいはい、知ってましたよ。俺だって最初から知ってたもん。ただちょっと気になったから確認的な意味で聞いてみただけだもん。
だから別に世間知らずっていうわけじゃないんだからっ!!!
『なにその可愛らしい女の子みたいな反応……』
――――――――――――――――――――
次回、第42話 大人と子供では桁違い
【あとがき】
2章では戦闘描写がメインだったので、
3章は【冒険者の日常】と【TS】の要素をメインに【魔物】との戦闘を入れて行く予定です。
2章で戦闘描写を入れすぎたので、軽い休息のようなものだと思ってください。日常が少しでもないと書けない派なので。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます