第40話 世界を裁けっ! 異世界人の力!
「ティア、頼みがあるんだ」
「はいっ? なんですか?」
アラスが俺の近くに寄ってきて、耳元でこれからやることを囁いた。
「随分無茶なことをするんですね。構いませんよ。私ごときの魔力の1つや2つ、差し上げましょう」
「ありがとな」
ちょうど全員がヴリドラに弾き飛ばされたところでアラスが一呼吸ついた。
「……見せてやるよ。
アラスは左手で俺の右手を掴み、右手を空高くに挙げた。
するとアラスの右手に俺の魔力が吸い取られていく。
「うっ、ううっ……」
頭が……痛い……今にも気絶しそうなぐらいだ……でも――――
ここで諦めるわけにはいかないッ!
「ううっ……!」
「ぐっ……!」
苦しいが、ふとアラスの方を見てみるとアラスも苦しそうな
やはり他人の魔力を借りなければ出来ないほどの大魔法なのだろう。
そして、魔力が収束したアラスの右手の上には俺が今までに見たこともなく、一生を掛けても想像することすら出来ない巨大な大砲のようなものが姿を現す。
「吹き荒れろ【雪風】っ!
主砲 【
アラスが手を前に振りかざすとその物体はアラスの振りかざした手と同じように動き、地面に落ちる。
「ティア……」
「はいっ」
俺とアラスは互いを見合わせて、離れないよう手を強く握った。
「ヴリドラ! これが俺たちの力だッ!」
大砲のようなものに大気中に流れている魔力が収束していく。
『面白い。貴様らをそこの鉄屑ごと纏めてこの世から消し去ってやる』
ヴリドラは今まで放っていたブレスとは桁違いの威力を持つブレスを撃ち放つ。
「
アラスの声と同時に大砲のようなものから収束した魔力が一本の柱となってヴリドラのブレスと激突した。
『どうした? その程度ではこの我には敵わぬぞ?』
アラスの放った魔力がヴリドラのブレスに押し負けており、徐々にこちらの方に迫ってくる。
だが、アラスは笑っていた。
「ああ、俺1人なら勝てなかったかもしれないな。だが忘れたのか? 俺は1人じゃないんだよッ!!」
アラスの声が響くと同時にヴリドラの視界には俺たちの後ろに居た三人の姿が映る。
『ナニッ!?』
「炎と水が交わりし時――――」
「新たな庭園が現れ――」
「光射す道となるッ!」
「「「【
イズ、フレイヤ、エレノアの混合魔法がヴリドラの硬い鱗を突き破り、大ダメージを与えた。
その影響かブレスの威力が突然弱まった。
「ティア、いくぞっ!」
「はいっ!」
俺とアラスは最後の力を振り絞り、最大限の魔力を注ぎ込む。
そして、俺たちの魔法はヴリドラのブレスに押し勝ち、その巨大な身体を貫いた。
『よもやここまでだったとはな。だが、これで終わったと思うな。我は何度でも蘇る。我の力を求めるものがいる限りな…………』
ヴリドラはその巨大な身体を地に落とし、その姿を消した。
「はぁ、はぁ……うっ――――」
「ティアっ!? くっ――――」
俺とアラスの魔力は底を尽き、二人仲良くバタりと地面に倒れた――――――
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