第34話 冒険者になるための試験 ~買い出しとイノシシ狩り~
さて、イノシシを狩るために必要なものを買いに来たのだが……
「高っ……」
思った以上に値が張っていて困った。以前の俺だったら店主を殺してでも
「じゃーん! エドワードの財布ー!」
『出たな! 財布泥棒!』
財布泥棒言うな。エレノアから財布を借りたまま返してなかっただけだ。ちゃんと後で返すから。
まあ? もしかしたら財布の中身が空になってる可能性があるかもしれないがな?
『盗んでるじゃないの……』
いやっ、財布は返すし、あのエレノア様が直々に渡してくれた。だからこれは父親から娘へのプレゼントだ。断じて盗みなどではない。
さっ、罠買うぞ!
◇◇◇
買い物を済ませた俺は広場にある噴水の近くにある椅子に腰を掛けて自前のおにぎりを食べていた。
「はむっ……」
あー買った買った! 親の金で買う罠は最高ですわ!
『ティア……』
冗談だよ。真に受けるな。
それにしても店主さんが良い人でよかったな。
『そうね。試験に使うって話しただけなのに半額にしてくれたもんね』
あれは本当に大変だったな。
……内心で笑いを堪えるところとか。
『声に出てたら終わってたわね』
それな。
……おっと、そろそろ時間だし。
「行かないといけませんね」
『聖女への切り替え、早いわね』
バレたら人生終了だからな。当たり前だろ?
『それはまあ……大変ね……』
「今晩はイノシシのお肉ですよ」
『私、食べられないけどね』
ふっ、ざまぁ。
『失敗しろこの腹黒ダメ聖女ッ!!!』
◇◇◇
「では試験開始だ。各自試験をクリアできるよう、心から祈ってるぞ」
っと、どや顔で言ってくる教官。
コイツ絶対祈ってないだろ。どうせ「ああ、今年もコイツら落ちるよな」みたいなこと考えてるだろ。
「じゃあ行ってこい!」
みんな一斉に学園裏にある訓練用の森へと走って行く。俺はイノシシ狩りだから奥へと進まないと遭遇できない。
周囲のアホ共の大群から離れて木々を伝ってイノシシを探す。
おっと!
「あのクソ聖女、この私によくもあんなことを……」
うわぁ……ジンバー様がめっちゃお怒りになられてる。こっわ……
見つからないうちに距離取っておこ。
俺はジンバーに見つからないよう距離を取り、そのまま森の奥へと姿を眩ました。
森の奥へと進んでいるとようやく1頭のイノシシを見つけることに成功した。
「イノシシ発見ですね。さて――――」
俺は刀を引き抜き、刀を風魔法で振動させて強靭な刃を纏わせた。
「はあッ!!」
木の上から刀を振り下ろし、超振動の刃でイノシシの頭部を切り落とした。
よしっ、まずは第一段階。討伐完了っと。
「……ではここからが本番ですね」
俺は木の上から飛び降り、辺り一体にお手製の罠を張り巡らせた。
罠と言っても殺傷能力はなく、ただ誰かが罠に触れると糸が振動し、近くに誰かがいることを教えてくれるものだ。
「さて、血ぬきをやりますか」
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