第33話 冒険者になるための試験 ~試験内容を決めるくじ引き~
あれから6ヶ月が経った。
この6ヶ月であったことといえば青年の名前が『アラス・ジユウ』という何とも自由そうな名前だったことが判明した。それと俺の髪色の金髪率が少し上がったことぐらいだ。
「お前らの試験は王国軍騎士団長のジンバー・ティッシュ様が協力してくれることとなった。ジンバー様は走らないが、倒されたら即失格とする」
ジンバー・ティッシュ……
お前よく生きてたな。すっかりイズの玩具になったかと思ってたんだが……
「手は抜かないから……な……」
ジンバーさんめっちゃ
そしてよくよく見てみると彼の左手の薬指には綺麗な指輪が嵌まっていた。
お、おう……
『本当に不運な男ね……』
俺とティナが憐れんでいると教官が1つの箱を机の上に置いた。
「ここの中に紙が入ってるから1人1つずつ持って行け。そこに書かれているものが試験内容となる。中身を確認したら俺に見せるように」
前の方に座っているヤツらがくじを引いていく。
内容の比率は採取8の討伐2だ。凶暴な魔物の討伐こそないものの、ゴブリンやウルフの討伐はいくつかあった。
「ティア様、どうぞ」
俺は残された1枚の紙を引いて確認する。
「イノシシの素材回収ですか……」
厄介なモノを引いてしまったな。最後の1人だったとはいえ、選択の余地ぐらい欲しかったものだ。
イノシシの素材回収は具体的に言うとまずイノシシを見つけて殺す。次に牙を取り、血ぬきをして解体。最後に教官に見せて合格判定を貰う。
これはかなりめんどくさい。オマケに作業中は移動できないからジンバーがやってくると撤退も必要になる。
もしジンバーがイノシシの素材をダメにしてしまうとまた1からやり直しだ。
今回は相当綿密な計画が必要だな。
「では二時間後、校庭に集合し試験開始とする。それまでに各自昼食を取り、残りの時間を有効に使うように。解散ッ!」
解散の合図が出るとみんな立ち上がり、昼食を食べに行く者や調べものをする者、昼寝をする者など様々だ。
まあ、基本は喋ってるヤツしかいないが。
「ティア、俺はふきのとうの採取だったぞ」
「へー、それはよかったですね」
「感情が籠ってないぞ」
そりゃね。こっちとらイノシシ狩りなのにそっちは植物採取だもんな。それにクレアなんて焚き火拾いだぞ? ズルくないか?
「運も実力のうちだからね」
「そうですか。では私は少し買い物に行ってきますね」
「ついて行こうか?」
「大丈夫です」
罠を買い出しに行かないとジンバーの時間稼ぎとか出来ないからな。ついて来られると余計なものに目がいってしまいそうだ。
さて、買いに行くか。
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