第28話 聖女が俺を怒らせた!
「アンタがウチに来てくれなかったから龍災を防げなかったのよッ! この聖女の面した悪魔めッ!」
『まあ、間違ってないわね』
おい、俺は悪魔じゃなくて『殺し屋』だぞ。そこら辺ちゃんとわきまえろ。
なあ、コイツどうする? 言葉か? それとも物理か?
『道徳で』
オッケー、両方な。じゃあ適当に煽った所で土に埋めて顔面蹴るか。
国王にもやる予定だから、どれぐらいで死ぬのかを検証しておく必要があるしな。
「大体、アンタみたいな国民にも愛されてないような雑魚が聖女なんて生意気なのよ! そんな良い面しても、私は騙されないんだから! 生まれが良いからってさぞかし楽な人生を歩んできたんでしょうね!?」
「あなたに何がわかるというのですか……」
「は? なに? 怒ったの?」
おい、もう煽りとかいらないよな?
『ここで刀を抜くのはダメよ』
わかった。
「国民に愛されてない雑魚? 冗談じゃありません! 私はこの9年間、色んな人と出会い、その温もりを直で感じてきました。
それが偽りの愛だと言うのなら、私に愛はいらない!
そもそもあなたに私の何がわかるのですかッ!?
三つ頃から朝五時に起きてお墓を掃除し、お庭の手入れ、お料理、御祈り、聖書に読み耽り自分らしさの欠片もないような人です! ただ両親に敷かれた人生を歩んでるだけです! それを否定するなら私の両親を否定してることと同じです!
そんな人、私は絶対に許しません!」
「許さない? だったら何よ」
そんなの……1つしかないだろ。
『ティア!』
「あなたを……ここで殺します」
俺は刀を引き抜いて剣先を少女に向けた。
「ただのお人好しなゴミかと思ってたけど、自分の意志ぐらいはあるようね。
いいわ。その勝負、受けて立ってあげる」
◇◇◇
場所は変わって冒険者学園の校庭。
「私が勝ったらアンタには次期聖女の座を降りてもらう。アンタが勝ったら好きにすればいいわ」
「……わかりました」
するとクレアとフレイヤが俺の元に駆け寄ってくるのが見えた。
「先生、クレアさん。
……止めないでください」
俺は真剣な表情で二人に訴えると二人は立ち止まり、心配そうな表情をして俺のことを見てきた。
ごめん、ティナ。今回はこっちでやらせてくれ。
『好きにすればいいじゃない? これはティアの問題なんだから、今更私がとやかく言う資格はないわ』
……ありがとう。
「さあ、始めるわよ! 戦ったこともないような人にいきなり攻撃を仕掛けるのも可哀想ですし、そちらからどうぞ?」
「【極光】よッ!」
「きゃっ!?」
余裕をこいた雑魚に強烈な光を当てて視界を奪う。
すると少女は光に目を眩ましていたので、その隙に距離を詰める。
「【
両手両足を岩で固定させ、口に大きな石ころを敷き詰めてやる。
口に石ころを詰めれば呼吸が少しキツくなる。そうすることで魔法に必要なイメージを不完全な形に変えることができる。
何属性の魔法が使えるのか知らないが、使えなければ意味がないんだよ!
「私の勝ちです」
「…………」
おっと、石ころが敷き詰まってるから喋れないんだったな。まあ、約束は約束だ。
さてと…………
――――――――埋めるか。
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