第2章 異国の聖女と怒りの騎士団長と異世界からの来訪者
第26話 聖女様のファッションセンスは聖女様ッ!?
「どうかな?」
『まあ、良いんじゃない? 聖女らしくて』
クソがァァァアアアッ!!!
どうしてだ! どうしてこうなったっ!?
遡ること二時間前のこと…………
今日は休日なので、朝の墓掃除を終えた俺は【聖女】の服から洋服に着替えようとしたのだが、少しキツい感じがした。
「ティア様、少し大きくなられましたね。新しく買わないと着られる服もないですし、お昼にでも買いに行きませんか?」
「そうですね……」
お昼頃に俺はフレイヤと共に寮を出た。
最近はキラキラの衣装が売ってるからつい気になってしまう。
ちなみにお金は寮を出る前に家へと寄ったらエレノアが笑顔でエドワードの財布を渡してくれた。
エドワードのヤツ金貨どれだけ持ってるんだよ。高級ドレスが何十着と買えるぞ……
さすがに怖すぎたので必要な量だけ持って、残りは寮に置いてきた。
「エレノア、俺の財布は?」
「ティアがお洋服買うらしいから貸しましたよ」
「ファッ!?」
というわけで最初のお店にやって来た。
「ティア様、こういうのはいかがですか?」
「少し派手過ぎじゃありませんか?」
エレノアが見せてきたのは何処にでもある普通のワンピースなのだが、俺から見れば派手過ぎる。
「こういうのならともかく……」
『さすが聖女様、露出も少なく、黒一色なところがなんとも聖女様らしい』
あれッ!?
自分でも気がついたら聖女っぽい服を選んでいた。
エレノアの影響を受けすぎたか? どうする。このままでは一生着飾れないぞ……
「昔はこういう短いスカートとか履いてませんでしたか?」
フレイヤが次に出してきたのはミニスカと普通のTシャツ、さらにパーカーだった。
「そうですね。アレは靴下が長かったので羞恥心が無かったというか……」
「わかりました。私がティア様の気に入る服をコーディネートして差し上げます! ティア様は試着室で気に入った服でも着てみてください!」
フレイヤが「ふんすっ!」という感じの息を出してやる気に満ちていたので、ここはフレイヤに任せることにしてみた。
そして、ティナのこのセリフが波瀾を引き起こしたのだった。
『どれだけ聖女化してるか気にならない?』
……そうだな。少し、確かめてみよう。
行くぜっ! まず1着目!
『聖女様っぽいよ。諦めたら?』
……2着目これだッ!
『うん、さっきと何も変わってない』
次! 3着目!
「どうかな?」
『まあ、良いんじゃない? 聖女らしくて』
クソがァァァアアアッ!!!
◇◇◇
「ティア様、ご準備が出来ましたよ。そんな隅っこに座ってないで、試着してみてください」
俺は自らのセンスの無さを実感し、落ち込んでいたところに大量の洋服を篭の中に入れたフレイヤが話しかけてきた。
俺は再び試着室へと入り、フレイヤから受け取った服に着替える。
「先生、どうですか?」
試着室を開けて軽くポーズを取ってみる。
「『天使だッ!?』」
ティナとフレイヤが全く同じ反応を見せた。一体どうなっているのか気になった俺は鏡で自分の姿を見てみるとあら、不思議。真っ白なワンピースを着た銀髪の美少女の頭上に黄色い輪っかが…………
「ふざけないでください」
「冗談ですよ。こちらのパーカーを着て戴いて、スカートの下にこちらのショートパンツを履いてください」
スカートの下にショートパンツなんて変じゃないのかと思ったが、フレイヤはこういうのもアリなんだとか。
その後、フレイヤの用意した服を全て試着し、そのうちの気に入った服7着と【白い聖女の衣装】を何着か購入した。
聖女の衣装もサイズが合わなくなってきたし、色も黒一色だと今後、変なところで影響される気がしたので、変えてしまおうと考え、購入に至った。
「今日はたくさん買いましたね」
「そうですね。早く着てみたいです」
こうして買い物を終えた俺とフレイヤは寮へと戻ったのだった。
『昨日手に入れた短刀はどうしたのッ!? 使わないのッ!? まだ箱の下に眠ってるのッ!?』
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