第14話 冒険者学園はバカの集まり
初日の初っぱなの授業で寝ている
「いいか。このままだとお前ら【試験】に落ちるぞ」
冒険者学園には年に1度、サクラが咲く季節に【試験】が行われる。
そして、その【試験】に合格することで【冒険者】として活動することが出来るようになるのだ。
試験内容は実技100%だが、必ず授業での知識が必要になる。例えば、風邪薬に使う植物を採取するものや大量に罠のあるダンジョンへ潜り、最下層にある宝を持ち帰ってくるものなどがある。
何故俺がそんなことを知っているかというと、前世で
試験の合格率は年度によって異なるが、大体20%~30%だ。常識ある一般人なら合格率はほぼ100%のレベルなのだが、コイツらはバカだから合格率が一気に下がっている。
そして、その合格率を見て一般的な思考を持つ人間は冒険者学園から距離を置き、合格率の意味がわからないバカは「冒険者? 余裕余裕」とか言って入学してくる。まさに負のサイクルが成り立っているのだ。
「試験ぐらい余裕だって。去年は偶然崖から落ちそうになっただけだしな」
「俺なんて持ってくる植物間違えただけだしな」
お前ら去年落ちたんかい。
じゃあ何のための留年だよ。反省しないで寝てたら金の無駄遣いだろ。せめて反省してから寝ろ。
「お前ら神ってるわ……」
「「だろォ?」」
「お前が言うなッ!」
頭を抱えて小さく呟く教官にドヤ顔で言うバカ二人。
「ティア様からも何か言ってくださいよ」
おい、そこで俺に振るな。何か言わないといけないじゃねーか。
なんて言えば良いんだ。いくらコイツらがバカだとはいえ、聖女という肩書きがあるんだ変なことは言えないぞ……
「えっと……楽しければそれで良いと思います。それも人生ですから。他所様に迷惑を掛けなければ、イーリス様のご加護がお守りしてくれるでしょう。
……授業も終わりましたね。お昼にしましょう」
それっぽいことを言うと、鐘の音が聞こえたので、俺は弁当を持ってクレアと共に教室から出て行く。
「(あっ、逃げた……)」
「「うぇーい!」」
「うるせぇ!」
「…………」
◇◇◇
「先生、只今戻りました」
「おかえりなさい」
俺がクレアを連れてやって来たのはフレイヤの居る医務室だ。この学園に医者は居ないので、生徒たちが自由に扱える。
まあ、医務室までわざわざ足を運ぶヤツなんて居ないだろうが……
「先ほど後ろをついて来てた人はクレアさんの知り合いですか?」
「私に知り合いなんて居ませんよ?」
……うん、質問した俺が悪かった。ごめんな。それもまた人生だよ。よっぽど家族から大切にされてたんだな。
今度一緒に酒飲もうな。まだしばらくは飲めないけど。
俺は先ほど閉めた医務室の扉をゆっくり開けると1人の青年がいた。
「えっと、ティア……さま? で良いのか?」
その青年は黒い髪に黒い瞳を持った十六歳ぐらいの身長を持っているのだが、何処か普通の人とは違う、俺が今までに感じたことのない独特な雰囲気を持つ不思議なヤツだ。
コイツはいったい何者なんだ……?
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