第16話 とニャりどおし あニャたとあたし さくらんぼ

「ニャー」

「……繭……?」

「ニャー」

 ずりずりと這ったままマシューは近づいて来た。

「……うそ……。ゴメン、実際見たら…。何かやっぱ、スゴイっていうか…」

「ニャー(だと思うよ)」

 少し頷いてももは下着を咥えて、ルームウェアの中へ押し込んだ。

「なるほど、繭だわ。普通のネコ、そんな事しないもんね」

「ニャー」

 戻って来たももがマシューの前で猫座りした。

「うん。わかった。これから何かあったら、私を頼ってよ。出来る限り協力するよ、繭…じゃないか。今はももちゃんだもんね」

「ニャー(ももでいいよ)」

「あ、じゃあ、もも、よろしくね」

「ニャー」




 その夜。

 流れで、ももはマシューの部屋にそのまま泊まることになった。

 マシューの布団の横で丸くなる。

「ねえ、ももさ、先生のオッパイ時々揉んでるでしょ」

「ニャッ」

「この間先生が食堂の横のテレビのトコで疲れて寝ちゃってた時、ももがそーっと来てさ、キョロキョロして、んで、肉球でさ、モミッて何回か押すように揉んでるの、見ちゃったんだよね」

(マジか……)

「まーねー、先生、爆乳だもんねー」

「ニャーニャニャー(でも、美乳なんだよ)」

「え、マジ?」

「ニャー?(ていうか、私の言葉わかりすぎじゃない?)」

「うん。何かさ、結構わかるのよ」

 マシューが笑った。

「ねー、私のも押してみる?」

「ニャッ?」

「別にいいじゃん。生徒会長と副会長なんだから」

「ニャー(どういう理由だよ)」


 言いながら。そーっと前肢を伸ばして。

 -ペタッ-

 マシューの胸に肉球を押し当てた。

(固っ)

「でしょ。全っ然ないのよ、私」

「ニャー」

「ま、気にしてないけどね。もも…いや、繭は程よくあるよね」

「ニャー」

「ねねも、かなりすごいよ。超巨乳」

「ニャー」

「あのさ…」

「ニャ?」

「明日、5時くらいに繭に戻るんだっけ」

「ニャー」

「ふーん…」

「ニャッ、ニャー!(あっ、私の裸見ようとしてるでしょ!)」

「いいじゃん……ゴクッ…。別に。女同士なんだから」

「ニャニャー!」

「さ、寝よ寝よ」



 -翌朝-

「あっ」

 繭が素早く着替えていると、

「超キレー! 繭のもも…いや…繭のもも尻…」

 マシューがうっとりとした声で叫んだ。

「もー、いいからー!」


 じゃれあいながら、マシューの部屋から出ようとした時だった。

「あ、繭、待って」

 低い声でマシューが繭を制した。

「先生がいる。それに、何か…変」

(えっ?)

 ドアの隙間から繭も目を凝らす。

(ホントだ。キョドってる)

 そこには。

 きょろきょろと落ち着かず、あたりを気にした、明らかに挙動不審な花の姿があった。


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