あるサイトと再会。
(こんにゃに猫缶とちゅーるを買ってどうするのかしら?それにしても実際に見てみるとより一層美味しそう……ジュルリ)
「こことこことここに猫缶を置いて、ちゅーるをここに置いて、と」
自室の床の上に多種多様な猫缶とちゅーるを自分の周りを囲むように並べる。
「よし!後はこれで出てきてくれたら良いんだけど」
(出てくる……?にゃにが?)
待つ事、約十分。
「どうしてだ?なんで出てきてくれないんだ………ネットでこう書いていたのに!」
(ネット?)
俺は急いでスマホの画面をポチポチと押し、例のサイトを開く。
(えーっとにゃににゃに………)
【猫ちゃんと確実に仲良くなる方法だニャン!!
まず、ありったけの猫缶とちゅーるを用意しましょう。この時、より多くの種類を買っておきましょう、猫ちゃんにも好みはあります!そしてそれを周りに並べれば、あら不思議!ニャンコ達が寄ってきます!!
これで君もニャンコにモテモテだ!!……あ、ニャン!(笑)】
(え……にゃにこの頭悪そうにゃ文……。猫ちゃんにゃのかニャンコにゃのかハッキリしてにゃい……それに最後絶対ニャン忘れてたでしょ、"あ"って言ってるし、笑ってるし……)
それを見た俺は気づいてしまった。
「ハッ!!………そうか、そういう事か……!」
俺は両手を床に着き、項垂れたままそう呟く。
(?ようやく自分が馬鹿にゃ事やってるって気づいたのかニャ?)
「………すまない……何処を探しても、十三種類しか、売ってなかったんだ……」
(………は?)
「俺が……前、買い占めて……近所の猫にあげてしまったせいで……」
(ん?????)
俺は勢いよく立ち上がり、財布から幾らかの小銭を出し、握り締める。
そして、その手を天井に向ける。
「今から隣町まで行って買ってきてやるからな!!贅沢本まぐろ味のちゅーるを!!!」
(いや………)
「絶対その事じゃにゃいでしょーが!!!!」
「え?」
「あ」
(声に出しちゃったニャ……)
俺は、恐る恐る後ろを振り返る。
すると、空中に浮きながら、申し訳なさそうにする黒猫が、
「……ど、どーもニャ」
そこにはいた。
「良かったぁ〜……」
フニャッとした声でそう言いながらその場に崩れるようにへたり込む。
「えぇ……?」
そして、黒猫に向かって純粋な笑顔で発言する。
「好きな味が贅沢本まぐろじゃなくて」
「いや、言ったよね?さっきその事じゃにゃいって言ったよね?」
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