警戒心を解く方法

 俺は夢を見ているのだろうか。あるいは幻覚でも見ているのか。腹を鳴らして空腹で倒れていると思われる人間が俺の部屋で倒れている。だがそいつはどう見ても人間じゃない。背中に白い羽を生やした純白の衣を着た少年――世間で言うところの天使とやらだ。

「一つ確認させてくれ。お前は何者だ?」

「昨日助けていただいた蝶です」

 先ほど抱いた認識を修正しよう。こいつはやばい。近づくべきではない。

「なんで何も言わずに立ち去ろうとするんですか!」

 逃走失敗。服をつかまれてしまった。

「なんで蝶が天使の格好してんだよ!」

「お礼に伺うのに誰なのかわからないと怪しまれるじゃないですか。だから世界的に有名で羽もある姿を」

 余計に胡散臭くなっている気がする。

「ほら、鱗粉も出ますよ。お望みなら口もストロー状にしますが」

「やらんでいい!」

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