暗殺者の黄昏

 今回の任務は大企業の社長の暗殺。何の関係もない相手だが命を狙われるようなことをしたあんたが悪いんだ、悪く思わないでくれ。

 アクション俳優さながらの戦いを繰り広げ、警備員をすべて倒し、俺の姿を見て動揺するターゲットを銃弾の一発で仕留める。いつもと変わらない、完璧な仕事だ。

 倒れこむターゲットが最後に机の上にあった何かを手に取った。今際いまわにとった行動に不審を抱いた俺は確認のため近寄る。ターゲットは胸元にそれを抱いたまま事切れていた。そっとそれを抜き取り、正体を確かめる。

 それは家族に囲まれ中心で笑顔を浮かべる彼の写真だった。

「……人の親だったのか。子供に顔向けできないことはするもんじゃないぜ」

 俺は任務の成功を報告し、何とも言えない気分で家へと戻った。

「パパー、お帰り」

「ただいま」

 まあ、それは俺も人に言えた立場じゃないか。

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