ここにはおらねど世話になる
どうやら風邪を引いたらしい。花の大学生活が始まってひと月、新入生歓迎会、オリエンテーション、授業開始、サークル活動加入と怒涛の日々を過ごしてきた私の体は遂に疲労がピークに達していたみたいだ。
五月の大型連休のお陰で授業を休むことにはならないけど、連休を寝て過ごすのはなんだかもったいない気がして悔しかった。
「うう……体が重い」
引きずるように体を起こして枕元に置いたファイルを開く。初めて一人暮らしを始める私に母が用意してくれた生活の注意事項だ。体調不良の項目が最初に来ているのはさすが私の親、よくわかっていると思う。
ファイルに書かれている通り、そんなにすぐ必要にならないだろうと思って段ボールの奥で眠っていた氷枕を引っ張り出し、冷凍庫に放り込む。食べれそうなものを確認し、消化に良い柔らかいものを探す。ファイルには私の好きなものも例として挙げられていた。
一人暮らしを始めてまで親の世話になるのは嫌だと思っていたけど、なんのことはない。まだまだ私は親の助けが必要なんだと思い知った。
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