勝利のパン・ダークサイド
「精神的勝利」なんて言葉がある。負けてもその原因を自分ではなく別の所へ持って行ったり、都合のいい解釈をして自尊心を守る思考法だ。自分に非はない。自分が勝てなかったのは周りが馬鹿だったからだ。そんな感じだ。
自尊心を守るには楽な方法かもしれないけど結局「自分は悪くない」と言い張ってるだけじゃないかと最近は思い始めた。若い頃は変にプライドが高かったのでそれもまた仕方がないと思うが、それを大人になってまで引きずるのはあまりにも滑稽だと気づき、切ない気持ちになった。
とは言え、社会人ともなればプライドが傷つくことは当たり前のように起こる。都合よく解釈する以外の方法が他にないだろうか。そう悩んでいた時、友人からパン教室のお誘いを受けた。
力を込めてこねる。叩きつける。日々たまったストレスの解消にこれはいいとしばらく通いつめ、自分でパン作りの材料もそろえ始めた。
何かあったらパンを焼く。美味しいパンを食べて気持ちは回復。今日も上司に理不尽に怒られた……今日は美味しいパンが焼けそうだ。
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