雲のネズミ

 昼休み、食事を終えた俺たちは芝生に寝転がり青空を見上げる。いつもこうしてチャイムが鳴るまで時間をのんびり潰すのがいつもの光景だ。流れて行く雲は様々な形をとって飽きさせない。特に夏の空は雲の厚さが増してよりバリエーションが増える。

 しばらく楽しんでいると面白い雲を見つけた。

「あれ、某ネズミの国のマスコットに似てないか?」

「ほんとだ」

 丸が三つくっついたような形。見ていると目と口まで浮かんできそうだ。

「なあ、その下にあるの、チーズっぽくないか?」

「おお、マジだ」

 言われてみれば丸いチーズを扇形に切り分けたような形だ。チーズとネズミ、上手く揃ったものだ。

「……なあ、あれ何かに似てないか?」

「なんだ?」

 友達が指す雲は妙な形をしていた。ただの雲の塊にも見えるし、寝転がっているような人にも見える。しかし俺のイメージにそれらに該当するモデルはなかった。

「なんかに似てるんだけどな。うーん……」

 しばらく考えていると友達は何かに気づき、周囲に反響するほどの声で「あっ!」と叫んだ。

「わかった!」

「俺はわからん。何だ?」

「疲れた時の俺の親父!」

「知るか!」

 わかるわけがなかった。

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