登りそうめん
新感覚の「流しそうめん」が登場した。
「これはヤバイ」
「取れねえ」
「頭おかしい」
サービス開始初日からそんな感想がネットを騒がせた。
ネタバレ禁止なのか、レビューサイトでも詳細は分からないがとにかく凄いことになっているらしい。気になった俺は試しに行ってみることにした。
見た目は普通の飲食店。しかしいざ入店すると件のそうめんでお客さんたちが大いに盛り上がっていた。
「なんじゃこりゃ」
一目見てわかった。確かにこれは誰も見たことがないと言えるだろう。
その名を「昇りそうめん」と言った。
組み上げた竹の
こいつはやりごたえがありそうだ。俺は早速昇りそうめんを注文する。専用の機械に麺を入れ、スイッチを押すと水が流れ出す。こいつはなかなか難易度が高そうだ。
「もらった!」
俺は流れて来る麺を待ち構え、ベストなタイミングで箸を突き入れる。そうめんが箸に引っかかり、勝ちを確信する。
「うおっ!?」
が、次の瞬間にはあまりの水の勢いで箸と箸との隙間から麺が次々と抜けて行く。慌てて箸を引き上げるがほとんどつかめていなかった。
「そんなのありかよ!」
もう一度箸を突き入れる。しかし今度は入れ方がまずかったのか麺の勢いで箸を取り落とす。
「あああ……」
箸が流れて行ってしまった。
結局、まともに流し……もとい、登りそうめんを攻略できなかった俺は帰り道の最中にレビューを書き込むことにした。
「……」
言葉に言い表せない。いろんな思いが渦巻く中、結局絞り出せたのは一言だった。
「あれはやばい」
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