我が家の玉手箱

 我が家には玉手箱がある。そう、浦島太郎でおなじみのあの玉手箱だ。

 小さい頃から「あれは玉手箱だから開けてはいけないよ」とおじいちゃんに言われていた。おじいちゃんはきっと玉手箱を開けてあんなに真っ白な髪でしわしわになっちゃったんだ。僕はずっとそう思っていた。

 でも、大きくなるにつれてどんどん箱に対する好奇心の方が強くなった。ある日、僕は思い切って玉手箱を開けてみようと思った。

 普通に考えたら人間がおじいさんになるなんてありえない。そう自分に言い聞かせながら恐る恐る箱に手を伸ばす。

「わっ!?」

 紐を解いた途端に箱が勢いよく開いた。あっという間に目の前が真っ白になって何も見えなくなる。

「わー、おじいちゃんになっちゃう!」

 僕の悲鳴を聞いてお父さんがやって来た。僕はおじいちゃんになっちゃったんだとわんわん泣いていたけど、お父さんは何が何だかわからない。

「おうおう、こりゃ凄い。真っ白じゃ」

 後から来たおじいちゃんが笑いながら鏡を見せてくれた。そこには真っ白な粉を被った僕の顔がある。おじいちゃんにはなっていなかった。

「やっと開けたか。待ちくたびれたわい」

 どうやら僕がいたずらで開けるのを待っていたらしい。玉手箱じゃなくてびっくり箱だった。

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