第5話 「亜留葉と平太とクリスマスプレゼント」

 後天性ツインズ。ここまでの三つの出来事。

 ひとつ。生徒会の生出理人が謎の石によって生出亜留葉。平太の双子の姉弟に分裂したこと。

 ふたつ。平太がその見た目と裏腹にとても「肉食」なこと。

 そして三つ目。

 亜留葉は少女の肉体に男の心の一部を持っていること。




「あーっ。だから女は嫌なんだーっ」

 寒風吹きすさぶ12月。亜留葉が「いつもの」不満をぶちまけた。

「なんでこんな寒いのに、スカートで脚をさらして登校しなくちゃならんのだ?」

 今は登校ではなく下校中。そして寄り道。

 それはさておき日ごろから『女の肉体』に対しての不満が多い亜留葉。

 ここではスカートを強要される制服姿に爆発。

 この日の最高気温は4℃。しかも風速8メーターの風が、むき出しの脚から容赦なく体温を奪う。

「あたしも時々それ思う。うう。寒い。せめてストッキングOKなら」

 亜留葉の友人。翔子も同意する。コートを抱き寄せるようにして身をちぢこませている。

「あら? ストッキングOKですわよ」

 一人平然とする撫子。ファッションに対する意識が寒さに勝るようだ。

「それじゃなんでつけない?」

 当然の疑問が口を突く亜留葉。

「脚を見せたいとか?」

 これは翔子の反応。

「乙女ですねぇ」

 女心をそう表現した撫子。

「だからなんで女子は絶対にスカートなんだ? ズボンと選べるようにすればいいのに」

 いうまでもなく亜留葉。

「では?」

 どこか鼻息の荒い撫子。

 それで「引いた」ので冷静になれた亜留葉。

 それに対して翔子が突っ込む。

「あんた……夏場もブラで文句言ってなかった?」

「当然だ。あんなを付け続けていられるか」

「拘束具って……そりゃ外した方が楽だけどさ」

 本来は男の亜留葉としたら『女体のデメリット』ばかりが口を突く。


 駅までの道は同じなのだが、今回は途中目的があった。

「ここはかなり品揃えがいいからね」

「一通り買い揃えられますわね」

 三人娘はディスカウントショップ。「ストアー・プラチナ」にいた。

 スピード。パワー。精密動作性に優れているが「射程距離」(?)にだけは難があるというのが定評だ。

 また店員はやたら元気で「オラオラ」系とまで言われる。


「しかし派手なかざりつけだなぁ」

 クリスマス仕様だった。

 ケーキ屋の前には人の山。

「今日はクリスマスイブですものね」

「それなのにあたしらは女ばかりでか。はぁ」

 芝居がかっているが結構本気で嘆く翔子。

「でも当日は男の子たちといっしょですわよ」

 言われてシャキッとなる。

「そうだった。男の子たちと一つ屋根の下。下着はちゃんと新品にしないとね」

「単なるスキー旅行だろうが。誤解を招くような発言をするな」

 そう。いつものメンツで二泊三日のスキー旅行に出る。

 翌日。25日の朝に駅に集合して電車で移動である。

 亜留葉たちはそのための買い出しに来ていた。


 買い物を一通り済ませた。

 お菓子が大半を占め、カゴは山のようになっている。

「こんなものかな?」

「あと、これも」

 撫子がそっと追加したもの。

 それは女の子の必需品。

「いっけね。サニタリーショーツ買っといてそっち忘れてたわ。買い置きあった気がしたけど大丈夫かな?」

「わたしもまだのはずですけど、念のため」

「女子ならではの会話」である。

「はぁ」

「私はまだ先のはずだから心配いらないが……はぁ」

 そしてまたお決まりのセリフが出る。

「だから女の体は嫌なんだ」と。


「そーかなー。夏なんか僕は女子のスカートが涼しそうでうらやましかったけど」

 自宅での姉と弟。

 さすがに大富豪の邸宅。暖房も完備されていて春先のような恰好の二人。

 とはいえど平太の上半身裸というのは異様である。

「なんてかっこうしているのだ?」

 平太がさらしているのは上半身のみなのに「目のやり場に困る」という感じの亜留葉。

 心は男と主張するが「同性」を見る目ではない。


「風呂入ったのはいいんだけどさ、温まりすぎてね」

 平たい胸をさらしている。屋内だし何の変哲もない姿。

「私が同じことをしたらすぐに何か言われるだろうな」

「そりゃあ姉さんは女だし」

「それだ! なんで女だとこんなに制約が多いのだ?」

「男だってめんどくさいのは姉さんも知ってるでしょうに」

「それでも男の方が絶対楽だ」

「得なのは女の方じゃないかな」

「じゃあ交代してみるか?」

 できない相談である。

「サンタクロースにお願いしたら男の体をくれるかもよ」

「はっ」

 平太の軽口を文字通り鼻で笑う亜留葉。

 そんなことがあるわけないという嘲笑だ。


 もっとも、当人たちも一人の巨漢青年が不思議な石のせいで「男女の双子』になったのを失念していた。


 ネグリジェに着替えてもう寝るだけとなった亜留葉。

 何気なく窓越しに月を見る。

(サンタクロースかぁ……ほんとにいるならちょっとの間くらい、私を女の肉体から解放してほしいものだな)

 運命に対する皮肉を込めて思う。そして夢の世界へ。


 同じくパジャマ姿の平太。

(2~3日なら試しに女の子と替ってもいいかもね。自分が女なら男子禁制の場所も入り放題だし。

 文化祭の女装で壁が壊れた平太は、さらっととんでもないことを思いつつ眠りに落ちた。


 その時、不思議なことがおこった。

 亜留葉と平太。

 それぞれに異変が。


「坊ちゃん。起きて。スキーの準備があるんでしょ」

「胸板」に弾力を感じて目を覚ます「亜留葉」

「う、うーん。遠田。なんて起こしたかを……伊舞?」

「正解。あなたのおそばに這い寄るメイド。江介伊舞でぇす」

 メイドが自慢のバストを押し付けて起こしていた。

 キスしようしていたとしか見えない。

「なんで

 リクエスト通り『いいもの』でね」

 たわわに実る二つの果実を持ち上げてみせる。

(でか。私もCカップだから余裕だがさすがに負けるな)

 なぜか胸に関心が行く。

「うふふふっ。あれで起きなかったら胸板にキスの雨を降らせるところだったわ」

「は、破廉恥っ」

 言って「亜留葉」は「パジャマ」の胸元を両腕で隠す。

(あれ? 感触が……な、ないっ)

 口にしたばかりのCカップがなくなっていた。

「どうしたの? 坊ちゃん」

「い、伊舞。私の胸がまっ平らに」

「…………そりゃ男なんだから胸がなくて当たり前じゃ?」

「へ?」

「しっかりしてよ。

「ええっ?」

 亜留葉は思わずベッドから降りて鏡を見る。

 いつもの位置にあるはずの鏡が見当たらない。

 それどころか自分の部屋じゃない。

 やっと見つけて鏡を見ると、そこには銀髪の美少年がいた。


 呆然としたままシャワールームへと向かう。

 そこで体をチェックではない。

 頭をすっきりさせて「目を覚まそう」といのである。

 「これは夢だ」と思っていたのだ。だから「現実」に戻ろうと。

 しかしさらに「現実」が突き付けられる。

 シャワールームの前に自分についているはずのフットマン・遠田がバスタオルを手にやってきたのだ。

 中にその主がいる。

「まさかっ!?」

「あっ。中にはマドモアゼルが」

 遠田の制止を無視して「亜留葉」が飛び込むと、中では金髪の美少女がシャワーを浴びていた。


「いやぁ。まさかこんなことになるとはねぇ」

 金髪の美少女がお気楽に言う。

 今は本来の亜留葉の部屋に二人だけでいた。

「私と平太。

 そう。銀髪の美少年の言う通り。

「亜留葉が平太で、平太が亜留葉で」という状態だった。

 ややこしいので便宜上「亜留葉の魂の入った平太」を「ベイタ」

「平太の魂を宿した亜留葉」を「アルハ」と表示する。


「なんでこんなことに?」

 当然の疑念が口を突くベイタ。

「んー。これはやはりサンタさんのクリスマスプレゼントじゃないかな?」

 姿が姿だけに「夢見る乙女」に見えるアルハ。

「はぁ? 何を馬鹿な」

「僕たちが『不思議な石』で分裂したの忘れたの? 亜留葉なんて性転換の形でもあるし」

「むう……」

 なるほど。自分たちがすでに超常現象の産物。

 それを思うとサンタクロースの存在も頭から否定できない。


「百歩譲って『サンタのプレゼント』でこうなったとしよう。けど、なんで入れ替わりなんだ?」

 あたりまえの疑問が口を突く。

「願いをかなえてくれたんじゃない?」

 心当たりが亜留葉にはありまくりだった。

 女の子として出現して以来、その肉体や立場に不平を漏らす日々。

「亜留葉は女の子の肉体を嫌がっていたし、僕は僕でこの姿なら女子トイレや女湯にも入れるし、

「最後の待て。いや。前二つもNGだが、いつからお前は女装に目覚めた?」

{可愛い服」でそう思ったらしい。

「この姿のメリットを上げただけだよーん。他にはのぞかなくても女の子の裸を見放題とか」

 言われて今更ながら気が付いた。

「お前、そういやシャワー浴びていたが」

 ベイタが睨む。

「はぁい。じっくりと姉さんの肉体を拝見しましたぁ」

 可愛らしく右手を敬礼の形にして横に体を曲げるアルハ。

 本物だと逆にしたがらない可愛らしさだ。

 ちなみにバスローブ姿。ポーズをとると胸が見えそうだ。

「破廉恥っ」

「姉さんは確認しなかったの?」

 言われて赤くなるアルハ。平太の肉体になっても純情さは変わらない。

「上だけなら……」

「下は?」

「こ、これから……くっ。限界かっ」

 ベイタは駆け出して行った。

「ああ。トイレを我慢してたのね」

 完全に察しているアルハだった。

 半年以上女だったせいか、触るどころか見るのも抵抗があったのでトイレにも難儀していた。

 結局、極力触らないようにして座って『女の子のように』済ませた。


 何とか落ちついたが、よりによってこの日から二泊三日のスキー旅行である。

 学校以上に一緒の時間が多い。

 二人は行くのをやめることも考えたがそうしなかった。

「こうなったら平太。いや。亜留葉」

 自身の名を呼ぶベイタ。

「ちゃんと女として通すのだ」

「わかっている

 さらっと女言葉のアルハ。既になりきっている。

「そっちこそぼろ出さないでよね」

「ふっ。確かに驚いたが、考えてみれば面倒な女の体から解放されたのだ。喜ばしい事じゃないか」

「くふふっ。そして僕……じゃなくて女湯も着替えも一緒。スキーより楽しみだよ」

 つまりはそういう理由であった。


「ふふふ。そんなのんきなこと言ってていいのかな? 翔子と撫子。あの二人は手ごわいぞ。特に翔子は女湯で何してくるか」

「あれ。意外と冷静だね。姉さん……じゃなくて平太」

 さすがに前日までの自分の顔に向けて話すのは落ち着かないらしい。

「当然だ。やっと本来の私に戻れたのだ」

 鼻息の荒いベイタ。

「もともと分裂したあたしたちだもんね。こっちもまた自分の肉体といえるか。ところでひとつ頼みがあるんだけど」

 そういってアルハはブラジャーを手にする。

「はめるの手伝って」


 非常事態ではあるがアルハは女湯目当て。

 ベイタは「あるべき姿に戻っただけ」とスキー旅行を敢行した。

 まずは合流地点の東京駅まで来た。。

「亜留葉なの? 髪の毛おろしているなんて珍しいね」

 会うなりの翔子の一言。

 不慣れでツインテールがうまくできないので、そのまま金髪のストレートロングにしている。

「ど、どうかな」

 ぼろが出ないようにあまりしゃべらないようにしたアルハ。

「とってもよくお似合いですわ。お人形さんみたいです」

 撫子が手放しでほめたたえる。と思ったらメイクパレットを取り出した。

(う。また。でも意外にメイクの感触って気持ちいいからやってもらおうか?)

 文化祭で「壁」が壊れたらしい。

 さすかにこの場でやるつもりは撫子にもなかったらしいが。


「平太。おめーも角がなくなってるじゃねーか」

 佐田の言うとおり、こちらもアホ毛がなくなっているベイタ。

 丹念にブラッシングして抑え付けた。

「揃ったな。それじゃ移動するか」

 もう対立しているのかどうかも分からない風田が、当たり前のようにここにいて仕切る。


 六人ひと固まりで指定席をとっている。

 何気なく佐田と翔子。風田と撫子が隣だ。

 それを見てベイタは「なんとなく面白くない」感情を抱いた。

「どうしたの?」

 女を演じるということか、本来の亜留葉より優しげな口調のアルハ。

「いや。二人とも私とキスまでしたのに、ああやって平然と隣に女子を座らせて……破廉恥なっ」

 現在の自分が男ということを忘れてベイタが言う。

「人聞きの悪いことを言うなーっ」

 電車内というのに佐田が叫ぶ。

「あれは事故だ。おまけに相手もお前じゃない」

 風田まで叫ぶ。

「あっ」

 ここで自分が今は男の姿と思い出したベイタ。

「ちょ、ちょっとトイレに」

 ごまかしがてらトイレに行く。

(なんで私は彼らに嫉妬などしたのだ? 私の心は男のはずで、しかも今は肉体まで男なのに?)

 その混乱を収める狙いもある。


 ところが共用の座るタイプが使用中。

 空いているのは男子専用の立つタイプ。

 ごまかしできたはずなのに、この場に来たら本当に尿意が。

(うう。ここまでは何とか触らないで来たけど、これじゃそうもいかない)

 本来の性別に戻ったはずなのに、五月から女子の肉体になっていたからかどうにも「男のシンボル」に触れない。

 反対側のトイレに出向くが、こちらも状況は同じ。

 そしていよいよ限界に来た。

(仕方ないっ)

 なんとか「男性自身」をつまむようにして用を足した。

(うう。私に「こんなもの」が生えているなんて気持ち悪い。い、いや。私は男に戻れたのだ。慣れなくては)


 座席に戻ると車内販売が来た。

「お弁当。お茶。ジュースなど激しく! 用意してます」

 無駄に色っぽい車内販売員だった。

 それでいてどこか非人間的だ。

「そこの(車内販売の)ワゴンさん」

 大ざっぱに呼びとめたのは佐田だ。

「いやぁ~ん。激しく! お求めですか?」

「ああ。ジュース三本とビール三つ」

「こらこら。私たちがビールを買えるか? 全部ジュースでお願いします」

 ベイタが訂正する。

「かしこまりました」

 まるで機械音声のような声で返答する。たぶん安いものに変えられたからだろう。

 途端に色を失う販売員。モノクロになったようだ。ミス・モノクロームだ。


 車内販売が去ってから「佐田。フリーダムにもほどがあるぞ」とベイタは言う。

「固いなぁ。まるで亜留葉だ」

「な!?」

 佐田としては単なる『いじり』だったのだが、ベイタは入れ替わりがばれたかと思った。

 このまま戻らないならいずれ話すが、泊りがけの旅行で、それぞれ中身が異性と知られたら何かと意識されそうだ。

 そう思うと今はまずい。

「はは。何を言ってるんだい。佐田。そんなわけないだろ」

 精いっぱい平太のふりをするベイタ。

「それもそうか」

 笑いか起きる。それで終わりのはずだった。


 当然だが座席の間を他の客もとおる。

 青年が通行してきたので話すのをやめたベイタたち。

 その青年が手にしていた雑誌を落とした。

 どうやら癖をつけていたらしく即座に「ヌードグラビア」が開いた。

「んほっ」

 目を輝かせて喜ぶアルハ。

「破廉恥っ」

 赤面して顔をそむけるベイタ。

「…………」

 あからさまにおかしなふたりだった。


 長野県のスキー場。電車で行ける位置にある。

 駅からの送迎バスでまずはホテルへと向かう。

 双子の実家は裕福でも他はショ・ミーンなのである。

 ゆえに安く抑えたスキー旅行である。


 とはいえさすがに部屋は男女別。

「じゃあたしらこっちだから」

 翔子が撫子。そしてアルハとともに部屋に消えたときは、ベイタもちょっとさみしく感じた。

 だがそれも緩んでいたアルハの表情を思うと怒りに変わる。

(平太め。二人に何かあったら承知しないからなぁ……とはいえど私も『男の心を持つ女』だった形だから、人のことはいえないか)

 ベイタも佐田。風田と同じ部屋に消えた。


 それぞれ着替えに身構えていたが、スキーなので下着にまではならず。

 ほっとしたベイタと残念に思ったアルハだった。


 ゲレンデに出るときにかなり性別の差を痛感した二人。

(やはり男の体は違うなぁ。そりゃ以前の2メーター近い体に比べたらはるかに華奢だけど「亜留葉」としての肉体よりははるかにたくましい。見た目は女みたいなのに)

 これはベイタの感想。いっぽう

(覚悟していたつもりだったけど、女の子の肉体は非力で何もかもが重く感じる。特に姉さんは女子としても小柄だし、それが今は僕の肉体か)

 アルハも驚いてた。


 さらに違いを感じたのは滑り出して。

 それぞれ入れ替わった肉体になじめずうまく滑れない。

「きゃあっ」

 悲鳴をあげて転ぶベイタ。

「いったぁーい」

 涙目で起き上がる。そこに佐田がよる。助けてくれるのかと期待したが

「なに気持ち悪い声だしてんだよ。オカマか? さっさとしろ。先行くぞ」

 罵るだけ罵って立ち去った。

(ひっどぉーい。助けないのはまだしも、あんなこと言わなくたって……ああ。今の私は男。だから甘い顔なんてしないということか)

 変なところで『女は得』を実感したベイタ。


 一方、アルハは

「うわっ」

 やはり転倒する。途端に周辺のスキーヤーが集まってきた。

「大丈夫? けがはない?」

「下まで送って行ってあげようか?」

 下心見え見えである。

「い、いえ。私、彼がいるので」と当人的には気持ち悪い嘘で追い払う。

(ふう。我が姉ながら美人とは思っていたが、こんなにも男を引き寄せるとは毎日鬱陶しかったろうなぁ……でも、ちやほやされるのって気持ちいい。美少女なら女になってもいいかも)

 こちらはかなり危険な兆候のアルハである。


 本来の亜留葉は金髪のツインテールがトレードマークだが、この「アルハ」は長い金髪をそのままおろしていた。

 それが銀世界にやたら映える。

 元々が美少女だ。男が群がってくる。

 最初こそうっとうしく思ったが、持ち上げられていくうちに気持ちよくなり、女の子らしく振舞いだしたアルハ。

 スキーが終わるころには格段に柔らかい笑顔になっていた。

 本物は仏頂面が多いのに。


 一方のベイタだが、なにしろ風田や佐田が一緒である。

 乗りの軽い女子がベイタに近寄りたくても、屈強な男が二人もいると恐怖心が先にたって実行に移せなかった。すごすごと帰っていく。

(なるほど。確かに「男は得」とは言えない。異性と出会いたくば待っててもダメで、自分から動かないと。私が女だった時は言い寄る男がうっとうしったくらいだが)

 ふと「女だった頃」をなつかしむ。それに気が付いて頭を横に振る。

(だから私は男。たぶんこの先ずっと男。それを忘れるな)


 双子は入れ替わりに振り回されて、どうしてこうなったかの原因究明の余裕がなかった。

 ただ「女になった平太」はそれを甘受し『男になった亜留葉』は少しいらいらし始めていた。


 スキーが終わりホテルへと引き上げる。

 一服したら食事の前にもう一つの目当て。温泉である。

 ベイタは男としての一日に疲れて、深く考えずに出向いた。


 一方のアルハはうきうきしていた。こころぴょんぴょんしていた。

(ここは天国か? なんと素晴らしい)

 当然だがいたるところに肌をさらした女がいる。

(ひゃーっ。これじゃ元気に……あ。

 アルハは思わず股間を見た。

 その魂である平太は、分裂前の理人の時から継続して男。

 つまり文字通り生まれてからずっとあるはずの物がない。

(くっ。裸の女がいくらでもいるのに、反応するものがないなんてつまらない……それなら見るだけではなくて)

 標的は翔子。こちらの方がゆるく感じたからだ。


 男湯ではベイタが目のやり場に困っていた。

 当然ながら裸の男たちばかり。

 半数は前を隠していない。

 佐田や風田までもだ。

 前日まで女だった上に純情派の亜留葉の魂にはきつかった。

 顔を真っ赤にして上を向いて歩いていた。

 もちろん男の半身を見ないため。

 これは自身のも含んでいる。

(うう。本来の肉体のはずなのに、女として過ごした日々のせいでまともに男の裸が見られない。特に下が……いや、むしろ男の方が見るの嫌がるか?)

「おいおい。平太。海水浴の時も拒絶反応凄かったけど、今日はそれ以上だな。まるで女だ」

「な!? 誰が女だ」

 入れ替わりがばれたかと焦り、つい口調がきつくなる。

 そむけていた眼を向けると、佐田と風田の

「ぎゃーっ」

 ベイタはろくに温泉を堪能もせずに逃げ出した。

 そもそもそんな余裕がなかったが。


 一方の女湯。

(ふふふ。せっかく姉さんの肉体になったんだ。これを利用しない手はない)

 体を洗い泡まみれになったのを利用して「いやぁーん。手が滑っちゃったぁ」とか言いつつも裸で抱き着くつもりだった。

 ターゲットはアルハの右にいる翔子。たわわな胸が狙った理由。決意して決行する。

「いやぁーん。手が……あれ?」

 今の今までいた筈の翔子が消えた。

「どこに? ひゃっ!?」

 アルハは未知の感覚に奇声を上げる。

 今まさに自身がやろうとしたこと。

 泡まみれの手で肉体的接触を先にやられた。

「ふふふ。珍しくその気になって『スキンシップ』に挑んできたのは褒めてあげるけど、あたしの背後をとるのは?」

 翔子だった。

「そ、そんな。いつの間に背後に? そのくせ話しかけるし」

 そのセリフを待ってましたとばかりに、翔子はドヤ顔で切り出す。

「忍びなれども忍ばない。しのぶどころか……暴れるよっ」

 石鹸でぬるつく手でアルハの胸を触りまくる。

(そ、そんな。そんななでなでされ続けたら女の子の気持ちに……いやぁ~ん)

 まるで「戦乙女セーラ」24話(少年少女文庫における改訂版)のセーラのようにやられる一方だった。

「お二人とも。騒ぐと周りの迷惑ですわよ」

 撫子の正論。

「だぁって先に亜留葉が仕掛けて……あら?」

 隙が生じたのを好機とアルハは逃げていた。


 アルハは表の露天風呂にまで逃げていた。

(はぁはぁ。とりあえずここなら。やはり女になって一日の僕じゃ圧倒的に不利。『快感』に耐えきれない。ここでやり過ご……ひっ!?)

 思考が停止した。またもや胸をつかまれたからだ。恐る恐る振り返るとやはり知った顔、

「しょ、翔子さん? 追いつくの早すぎるっ」

「追跡! 捕獲。いずれもぉマッハぁ」

 逃がさないように腕は掴んでいるが、ポーズを決めながらセリフを言う。

「ぎゃーっ。しつこぉい」

 あわてて逃げようとするアルハを捕えて凌辱行為。

(ま、まずい。このままじゃ高まって)

 男では知りえない感覚が「ぞくっと」来た。

「あれ? 亜留葉。もしかして行っちゃったっぽい?」

「そ、そんなことは」

「ないっぽい?」

「な、ない」

「そう。それならもっとやるっぽい」

 また怪しい指使いで胸を揉み始める。

「ああんっ。やめてぇーっ」

 本来が男のアルハでは、とてもではないが耐え切れない。


 結局、宿の人間に怒られるまで続いた。


 双子がいずれも食事の時に精彩を欠いていたのは言うまでもない。


 それぞれの部屋に戻る。

「おい。大丈夫か。平太?」

 佐田が気遣っている。

「う、うん。疲れただけ。平気」

 嘘は言ってない。「久しぶり」の男の肉体がこんなに疲れるとは思ってもみなかった。

「そっか。それじゃおめーが元気になれるようにしてやるか」

「?」

 マッサージでもする気だろうか?

 だが佐田はテレビを操作している。流れてきたのはニュースでもバラエティでもアニメでもなく

「破廉恥っ」

 この反応からわかる通り「エロビデオ」だった。

「破廉恥? 言うな?」

 ベイタは失策を悟った。とりあえずすっとぼけにかかる。

「んー。なんのことかな? ふふふ」

「とぼけるな! なんかおめーから亜留葉のイメージを受けるんだが」

「はははは。バカなこと言うなよ。佐田。そらビデオが……☆○※△っ!

 ベイタは絶句した。

 ごまかしで失念していたがアダルトビデオだったのである。

 しかも既にベッドシーン。

「亜留葉」にはかなりきつい。

「おお。そうだそうだ。一緒に見ようぜ。平太」

「あ、ああ」

 泣きそうになりながら、ごまかすためにビデオを見る羽目に。

 普通の男ならなんてことないが、小学生女児並みに純情な亜留葉の心にはきつい。

(ああああ。あんなに胸を強く鷲掴みにされて。もっと優しくしろ)

(あんな太そうなものを咥えさせられて……)

(あんなものが入ってきたら私なんか壊れて……ちょっと待て?)

 自分で自分を疑う。

(なんで私はやられている方。女優視点で見ているんだ?)

 それはかなりの衝撃だった。

(私の心はやはり女なのか? けど、それじゃ「理人の心」が逆に邪魔な存在に)

 「彼女」として作られた女の子の体でありつつ「分身」として理人の心がある。

 それがうまく適応できず彼女は苦悩する。

(い、いや。今の私は男なのだ。それならこの程度)

 それから二時間。

 ずっとアダルトビデオをかけられて、精根尽き果てたベイタだった。

 嫌いなのを見続けた以上に「男のふり」で疲れてしまった。


 女子部屋。金髪の少女が目を覚ます。

(眠れない……風呂場であそこまでされたのがまだ)

 アルハは『火照ほてって』いた。

(女の子の体ってすごい。胸だけでああなら下だと……)

 彼女はトイレに入る。

 そして踏み込んではいない領域に突入した。


 朝。男子部屋にて。

「破廉恥ぃぃぃぃぃぃ」

 布団から半身を起こし、両手で顔を覆っているベイタの姿があった。

「んだよ。うるせぇな」

「たたき起こされた」佐田が文句を言いながら起きる。

「何があったのだ? 生出?」

 風田が尋ねるがベイタは答えない、代わりに自分の股間を指す。「テント」を張っていた。

「起きたらこんなに……なんという破廉恥な」

「そんなもん男ならだれだってなるだろうがよ。本気でおかしいぞ。平太」

「ああ。まるで中身が姉の方みたいだ」

 言われて青ざめる。

 面白い物でそれで「治まった」

(そういえばそうか。理人だった時は当たり前だったが、女になって忘れていたらしい)

「飯に行こうぜ」

 言われて身支度を整えだすベイタ。


 食堂。示し合わせたわけではないが女子たちと合流。

 アルハはいきなり化粧して朝食にきた。

 これ自体は海水浴で前例があり「またか」でおしまいだった。

 実際に撫子が「いい仕事した」と「ドヤ顔」だった。だが

「何か、疲れているようだが?」

 風田が尋ねる。

「うん。へーき。ちょっとクマが出来ていたから、お化粧でごまかしているだけ」

「クマができるって……何をしたのだ?」

 猛烈に嫌な予感がして尋ねるベイタ。

「ね……ベイタ」

「何だ?」

 微笑むアルハと悪寒の走るベイタ。

「答えろ! !?」

 血相を変えるベイタ。

「うふふふっ。ちょっと女体の神秘に」

 しれっというアルハ。

 結局三時間にわたり「やっていた」のだ。あまりの快感に抜け出せなかった。

 そりゃクマも出来るというものである。

 ベイタが『破廉恥』を連呼したのは言うまでもない。


 ゲレンデに出ても本物の女と見違えるほどのアルハだった。

 とにかく雰囲気が柔らかい。特に男相手に。

 完全に「女の肉体」に精神が引きずられていた。


 ではベイタとどうかというと……

「それじゃ審判頼むぜ」

「公平にな」

 佐田と風田だけでリフトに乗っていった。

 ベイタ。アルハ。撫子に翔子はふもとで待っている。

 ふとしたきっかけて佐田と風田がスキー勝負となった。

 単純にどちらが早くつくかの勝負で、それを見届ける役回りだった。


 程なくして二人が降りてきた。

 黒いウエアの佐田とトロピカルな派手な上田の風田。

 拮抗した勝負だった。

「競り合う男たち」にときめく娘たち。

 その中にはベイタ。否。亜留葉もいた。

(かっこいい……こ、これは違うぞ。男として男を認めただけだからなっ)

 一人でツンデレしていた。

 こちらは「本来の性別」のはずなのに、うまくいかなかった。


 ほぼ同時についた。二人は素顔をだし「どうだ?」と尋ねる。

「はい。風田さんの方がわずかに早く」

「えー。佐田君の勝ちだよぉ」

 判定役二人が私情混ぜすぎて話にならない。やり直しである。

 ベイタはぼーっと佐田と風田。それぞれの「唇」を見ていた。


 亜留葉の心が男の肉体に引きずられないのは「彼女」を女にとどめておくあのキスが大きかった。


 夜。後は寝るだけとなってた男女それぞれ部屋に戻る。

「それにしても亜留葉の奴。やけに男に愛想振りまいてやがったな。あの尻軽」

 なぜか憤慨している佐田。

「尻軽って、なんでそんな風に言うんだ?」

 一見すると身内の悪口に切れているが、実際は本人の悪口であるのでもっとストレートな抗議をしているベイタ。

「だいたいその言い方だと佐田。お前がヤキモチを焼いているような感じだが?」

 風田が指摘する。

(え?)

 それは考えてなかったベイタである。

 そしてそれを佐田は赤面という形で認めた。

「ええええーっ!?」

 双子の姉に友人が惚れていた。驚いても不思議はないのもあり、ベイタのこの叫びは特に気にされなかった。

「い、いつから。どうして?」

 こちらも赤くなるベイタ。

「前からだったようだ。それがあの文化祭の舞台でキスしたことで意識し始めて」

「む。あの時の俺は正気を失っていたので、よく覚えていないのだが」

 佐田と風田で出た差はそれも一因だった。


「そ、それじゃわた……姉さんのどこに惹かれたの?」

「笑顔です」

 なぜか『丁寧語』になっている

「それじゃほれたきっかけは?」

「笑顔です」

 同じ答えだった。

「こ、告白とかするの?」

「検討中です」

 佐田は右手を首の後ろに当てた。困ってしまったらしい。


(佐田が私のことを……)

 ベイタは頬が熱くなる。

(でも今の私は男。気持ちを受け入れることはできない。どうしたらいいのだ?)

 ベイタはまじめに悩むが、当の佐田が恥ずかしくなったらしく話題を打ち切った。

 その後も微妙な空気で、そのまま解決しないまま眠りについたのですっきりしなかった。


 一方の女子部屋。寝静まった頃。アルハはアルハで複数の男に言い寄られる夢を見て跳ね起きた。

(な、なんで僕が男に言い寄られて、しかあんな笑顔で)

 自分の恋愛対象は女性と信じている「平太」にしたら、そんな夢自体が衝撃的だった。

(いつまで入れ替わったままなのだろう? このままずっと亜留葉の体でいると「女」に流される)

 生出理人が分裂した際、そのブレーキとなっていた部分のほとんどを亜留葉が持っていった。

 ゆえに亜留葉は女子の肉体でも驚異的な自制心で肉欲に流されない。

 しかし平太にはそれがない。

 未知の快感に抗えないのだ。

(でも、それも悪くないかもしれない。結構僕の求めていたものが、女の子の肉体にこそあるのかもしれない)

 横になるがなかなか寝付けない。

 結局悶々としたまま明け方まで過ごした。


 その時、不思議なことがおこった。

 いや。「終了」した。期間が過ぎたのだ。


 朝。女子部屋。

「あーるは」

 翔子の過激な起こし方で「彼女」は目覚めた。

「わひゃあああっ。しょーこっ。胸は揉むなと……胸?」

 「亜留葉」は「自分」の胸を鷲掴みにする。

 胸に揉まれた感触。手にもんだ感触。

「あ。……

 体中のあちこちをまさぐる。

 柔肌の感触。

 彼女はトイレに駆け込んだ。

 朝一番で用を足すのもあるが

「ない。なくなっているっ」

 確認が最大の目的だった。

 その声は明らかに喜びがあった。

 鏡を見る。金髪の美少女がいた。

 亜留葉は元の肉体に戻ったのだ。


「なぁに。亜留葉。あわただしいなぁ」

「翔子。胸を揉んでくれ!」

「はぁ?」

 さすがに頼まれたのは初めてだ。

 それでも当人公認なので遠慮なくやった。

「ああっ。この感触。夢じゃない。

「何わけわかんないこと言ってんの? あんたは女じゃない。寝ぼけてんの?」

「そうだ。私は女だ!」

 あれほど女でいることを嫌がっていたのに、言うことが反対になっていた。

「まだお疲れなのでは? ちょっとクマがありますし。気分を華やいだものにするためにほら」

 どさくさまぎれにメイクをしようと撫子が歩み寄る。

 いつもなら嫌がっておしまいだが今は違った。

「飛び切り可愛くしてくれ」

 芝居っ気なし。心からの言葉だった。


 男子部屋。

 こちらも元に戻った平太が複雑な表情をしていた。

(助かった……あのまま女の子のままだったらきっと、性欲のままに男に走っていたに違いない。僕は姉さんと違って抑えが利かないからな。でも、女の子が楽しかったのも本当かな)

 そう思ってしまってから、はっとなる平太であった。


 帰路につくのは午後から。

 それまでもう少しすべることになっていた。

「佐田。ひとっ走りオレに付き合えよ」

「それを言うなら『ひと滑り』だろ」

 二人でリフトに乗ってしまった。

「あっ。待ってよー」

「わたくしたちも」

 翔子と撫子も行ってしまい、図らずも双子が残された。

 間の持たなくなる二人。

「姉さん。メイクばっちりだね」

 これで亜留葉が「女扱いするな」とでもいえば、いつも通りと思って平太は言う。しかし

「ありがとう。?」

 柔らかい女性的な笑みが帰ってきた。

 髪型はいつものツインテールになっているが、どこか大人の女性を感じさせた。

「今度のことでよくわかったよ。この体はやはり『彼女』として作られたものだと」

「……」

「そして『分身』としての願いから『理人の魂』もあるけど、その『彼女』としての『女の子の魂』か私の本当の姿だと。わずか二日で痛感した」

 それほどまでに「疑似男子」はストレスだった。解放感どころか拷問だった。だから諦めがついた。

「もう今となっては男に戻るなんて無理だ。私は元から女だったのだな」

「姉さん……」

「正直、喜んだぞ。平太は残念だったかもだがな」

 いじわるな表情で言う。

「い、いや。こちらもよくわかった。女の子が好きなら、自分が女じゃだめだと。同じ弱点を持ってたらいいようにやられる」

 胸を覆うように腕を回して、本気で怯えている平太。

「あー。翔子か。なんか身代りにさせたようですまん」

 事情を察した。


「それにしてもなんでいきなり入れ替わって、そして戻ったのだろうな?」

 落ち着いたので疑問に思うだけの余裕が戻ってきた。

「最初から期間限定だったのかもね。直前に僕は『2~3日なら女の子に』と思っちゃってたし」

 これは亜留葉も身に覚えでうなずく。

「三日行かなかったのは双方で『もういい』と思ったからか」

「本当にサンタのプレゼントだったのかな?」

「うーん。あまりに突拍子もないけど、他に説明がつかないよなぁ」


 服に隠された亜留葉の腹部にある『赤い石』と、平太の腹部。

 ちょうど亜留葉と鏡写しのような位置にある『青い石』が、鈍い輝きを放っていた。

 生出理人を今のような形に変え、自らも分裂した「神秘の石」は、両者が同様の願い事をしたことで発動し、そしてともに元に戻ることを望んだので戻れたのである。


 しばらくしゃべっていたら佐田と風田が戻ってきた。

「何だよ。お前らここにいたのか」

 佐田が言う。その唇を思わず見てしまう亜留葉。

 まぎれもない女子の表情だった。

「まだいけるからお前らもどうだ?」

 風田の言葉で我に返る。

「そ、そうだな。もう考えるのはやめた。よし。滑ってくるぞ。平太」

 ごまかし気味にリフトに向かう亜留葉。あわててついていく平太。


 リフトで一人になって亜留葉は思う。

(自分が女だと思い知らされたし、もう女でいることに抵抗はないけど、そうすると本来は男であるこの「理人の心」はどうなるのだろう? このまま消えてしまうのか。それくらいならむしろ……)

 ぼんやりとだが重大な決断へと考えを始めた亜留葉であった。


次回

最終話「少・女・決・断」

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