調教

俺は呆然として泣いているトアに歩み寄り、彼女を見下ろす。


「トア、約束だ。行くぞ。」


彼女は信じられないものを見るような目で俺を見上げた。


「何をしてる。早く立て。俺が勝った時の条件を忘れたわけじゃねぇだろ?」


俺がそう言うと、トアはふらりと立ち上がり、俺をキッと睨みつける。


「っ!!」


「へっ!」


彼女の平手打ちが俺の頬に迫る。

それをしっかりと防いだ後、仕返しに彼女の頬を引っ叩いた。


「悪いが、俺はお前を傷つける事にもう躊躇いはねぇぞ?」


倒れたトアが打たれた頬を押さえて憎しみの眼差しで見上げる。


「まぁ安心しろ。ベッドの上では殴ったりしねぇよ。俺にはそっちの趣味はねぇからな。」


「誰があなたの相手なんて!!」


いや、ついこの間まで普通にやってたじゃねぇか。


「おっと、そいつは良くねぇな。この決闘は正式なもので、お前もあのゴミ野郎も条件を承諾した上で成立したはずだ。それを覆すというのなら、ギルド除名と多額の賠償金が発生する。お前らにそれが払えるか?」


「そ、それは……」


「払えねぇなら2人揃って奴隷落ちだ。さらに俺は教会に告発し、お前は堕人の烙印を押される。片腕を切り落とされた奴と堕人の奴隷……そんな変わりもん、一体誰に買われるんだろうな?」


「うっ…うぅ………」


「ノトラは顔だけは良いから変態趣味の貴族に買われるかもな。お前も顔は良いが、たとえ秘密裏にでも堕人を相手にする貴族はなかなかいねぇだろうし、鉱山で死ぬまで坑夫の相手をしなきゃいけねぇかもしれねぇな。良かったじゃねぇか。男のアレを咥えるのは好きだろ?アバズレ女。」


「酷い……酷いよぉ………」


「それが嫌なら俺の言う事を聞けよ。」


「うっ……うぅぅ……」


「心配すんな。一晩俺の好きにさせてくれたら、明日から愛しのノトラ君の元へ帰してやるぜ。」


まぁ、お前が一晩中続く俺の全力に……色欲の王の力に耐えられたらの話だがな。


「立て。行くぞ。」


俺はトアの腕を掴んで半ば無理矢理に立たせると、そのまま訓練場を後にする。

トアは涙を流しながらも抵抗はせず、ふらふらと覚束ない足取りで俺に続いた。


モーブを含めた冒険者達はその様子を三者三様の表情で見つめる。

トアが悪いとわかっていながらも何とも言えない気持ちを抱く者もいれば、哀れな敗北者を嘲笑する者もいた。








宿に着いた頃には夕刻に迫っていた。

元の宿ではやり過ぎると声が漏れる可能性があった為、エマと泊まっていた宿に来ている。

俺とエマがギルドに行ったのが昼だったので、いつの間にか結構な時間が経っていたようである。


俺はいま、部屋のベッドにトアを座らせて、それを見下ろしている。

彼女は潤んだ瞳で俺を睨むように見上げていた。


「……私は負けない。あなたに何をされても、絶対に負けない。」


意志を込めてそう言う。

滑稽な言葉だ。


「勝ち負けじゃない。俺を裏切った時点で、お前達は勝負の舞台に立つ資格すら失ったんだよ。」


「………」


「一応聞かせてくれないか。何故俺を裏切った?」


「さっきも言ったよ。私はノトラさんの事が好きなの。もう……アーシュ君じゃないの。」


「ならどうして先に俺と別れなかった?他に好きな人ができたと、そう言えば良かったじゃねぇか。」


「それは………」


「俺が何も気付かずにお前らと接する滑稽な姿を見たかったのか?」


「ち、違う。」


「なら何だよ?」


「それは………アーシュ君を……傷付けたくなくて……」


それを聞いた瞬間、耐えきれずに吹き出した。

腹を抱えて笑う。


「くっ…ははっ……なんだよそれ…ふっ……ひひ………それで返って傷つけてちゃ世話ねぇな……ふふ……」


「…………」




「…なぁおいトア。ノトラのアレはそんなに良かったか?」


トアが再度キッと睨む。


「そう睨むなよ。俺は聞いてたんだぜ?『ノトラさんのが良いのっ!!』だっけか?ぷっひゃひゃひゃ!!」


「うっ……」


「あいつのは俺よりデカかったか?あいつは俺より上手かったか?あいつとヤるのは俺とヤるより気持ち良かったかよ?」


にやにやと笑いながら問うが、トアは俯いて肩を震わせるだけだ。

怒っているのか悲しんでいるのか怯えているのか、俺にはわからなかった。




彼女の肩に手をかける。


「まぁ安心しろ。すぐに忘れさせてやるよ。トロットロになるまで気持ち良くしてやるから、覚悟しろ。」


「………私は…負けない。」


まだ言ってやがる。


「んじゃ、始めるか。」


肩を押してベッドに倒す。

彼女は抵抗せず転がった。

涙目で俺を見ている。


嘲るような目で彼女の瞳を見つめながら、俺は服を脱ぎ捨てた。

トアの目が驚きに開かれる。


「どうだ?随分鍛えられたもんだろ。服の上からじゃわかりにくかっただろうがな。」


そう言いつつ下も脱ぎ捨て、彼女が見慣れたはずのソレを見せつけた。

トアは驚きを通り越して唖然としていた。


「驚くのはまだ早いぜトア。俺の力はここからだ。」


色欲の王を発動する。

気分が高揚し、股間に血が集中するのを感じた。

あっという間に臨戦態勢を整えた俺の魔槍を見て、トアは目を向いていた。


「な、なに…それ……」


震える唇でそう言う。


「ちょっと色々あってな。進化したのはデカさだけじゃねぇぜ。何が変わったのか、お前の体にたっぷり教えてやるよ。」


「い、いや……そんなの、私……知らない……」



逃げようとするトアに覆い被さり、彼女の唇に口付けを落とした。


「んっ…あ、いや……だめ……んん…あっ……」


抵抗する素振りを見せるが、俺の力に抗えるわけもなく。


「んぅ…ん……あっ……んん……あぁ………」


トアの唇も口内も、貪るように犯す。


「あっ……んっ……ぅん……はぁ……ん…はっ……」


色欲の王の力で俺には彼女の弱点ウィークポイントが手に取るようにわかる。

さらに魅了の力を微量流し込む事によって、不自然でない程度に彼女の体に熱を持たせ、トアは無意識に気分が高揚するような感覚を味わっていた。


「んぁ…んっ……あっ…………はぁ……はぁ………」


十分以上、トアの唇を貪っていただろうか。

口を離すと嫌らしい糸が俺とトアの唇を繋いでいた。

彼女の瞳を間近で見詰める。


先程とは違った意味で潤んだ瞳が艶かしく揺れている。

頬を赤くして肩で息をしており、じっとりと額にかいた汗で赤茶色の髪が張り付いていた。




「トア……どうだ?」


「はぁ…はぁ……あ、アーシュ…君……?」


「気持ち良かったか?」


「…はぁ……はぁ………はぁ………」


彼女は何も言わない。

だが、僅かに首が横に振られたように見えた。


「っ!……あっ…んっ……んん………」


俺は再び彼女の唇を貪る。

時間はまだたっぷりある。

この数日の特訓の成果を、余すところなく叩き込んでやろう。






「ほら、どうだよトア!気持ち良いだろ!?」


「んっ…やっ……気持ち良く……ないもんっ!」






「これならどうだよ!おら!おら!」


「くっ…あっ、んぅ……い…や………」






「ふっ…ふっ…ふっ…ふっ……」


「んっ…あ……んっ……も、もう……だめっ………」






そして数時間後。






「俺の女だって言え!今度こそ俺だけのモノになるって!ほら!言え!言えよ!!」


「あ、アーシュ君の女になりましゅ!!なりましゅからぁ!!」


「もっとして欲しいか!?この淫乱売女!!俺の肉便器にしてやるから感謝しろ!!」


「に、肉便器!してくだしゃい!!いっぱいいっぱい使ってくだしゃいぃ!!ありがとうごじゃいましゅぅぅぅ!!!」





日を跨ぐ直前に、トアは堕ちた。

しかしまだまだ夜は長い。

朝日が昇るまで、しっかりと調教して、二度とふざけたマネができないようにしてやろう。

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