再び、魔物?

 更に数日後


 アダマンタイトスネーク


 魔蛇 B


 筋力 920


 神力 800


 忍耐力 3000


 因果力 50




 セットオブジェクト 無し


 硬化9 俊敏2 捕食5 同化(金)8 自動回復5




 詳細

 アダマンタイト鉱山近郊に生息する大蛇。

 アダマンタイトを捕食、細胞と同化する事で金属細胞に変質させている。

 高い防御力と治癒能力により討伐難易度が極めて高く、凶暴である為、見つけ次第、排除が推奨される。

 彼等の糞は余分に捕食したアダマンタイトでありその際、純度の高いアダマンタイトを生成する事でも知られている。

 触媒石は頭




 シルバーウルフの縄張りを抜け、半日も経たないうちに、別の縄張りに入り、戦闘を数日間続けている。


 今度は蛇だ。

 しかも、全長30mはある蒼色の金属で出来た大蛇の群れ。

 基本量子情報はシルバーウルフ以上で硬さもそれ以上だ。

 斬ってみた限り、確かに硬く、アリシアの体力減りも早く少しだけ肩から息をしている。


 ただ、この程度なら問題ないと自分の体が知っている。

 前の自分はこの程度の事なら難なく乗り越えていたのだろう。

 習慣のように乱す事なく冷静に敵の”刀線刃筋”を見切り、噛みかかる大蛇にカウンターを仕掛けて一歩横に逸れ、首を刎ね飛ばす。

 大蛇の首が宙を舞い流れるように死体を”空間収納”に放り込む。

 更に3匹の大蛇が同時に襲いかかるが、その隙間を掻い潜り、飛びかかった大蛇の下に潜り込んで大太刀化した”来の蒼陽”を大きく振い、首を刎ね飛ばす。


 斬れば斬るほど体力に余裕が戻り始める。

 まるで失った力が拮抗する敵との戦いを通して戻るようだ。

 アリシアは次第に肩から息をしなくなっており、息を吐くように蛇の首を切り落とし、飛びかかった群れに駆け出し、勢いと剣速で胴体を両断する。




「ふん!」




 アリシアは迫り来る大蛇の群れを斬り伏せる。

 次第にアリシアの剣速が上がり始める。

 まるでかつての力を取り戻す様に戦う度に感覚を取り戻す。

 放たれた剣先の衝撃波が大蛇の群れを吹き飛ばし、臓器をシェイクして大蛇の群れは絶命する。


 何故かアリシアだけは至近で衝撃波を喰らっても特に問題はない。

 特に特殊の術などを使って衝撃波を防いだ記憶はないが……と言うよりはこの程度なら使う必要がないと感じていた。




(客観的に考えたら、わたしの臓器もシェイクされていると思うのだけど……まぁ、生きてればなんでも良いか……)




 すると、猛スピードでこちらに迫る巨大な気配を探知した。

 音からしてアダマンタイトスネークよりも大きな何かであり、アダマンタイトスネークに近い何かだ。

 深く鬱蒼と茂る深緑の大木の間からその巨大がアリシアを睨んだ。

 それは全長50mを超える白銀の大蛇だった。




 オリハルコンスネーク


 魔蛇 B


 筋力 1230


 神力 700


 忍耐力 3300


 因果力 60




 セットオブジェクト 無し




 硬化10 俊敏4 捕食8 同化(金)10 自動回復7




 詳細

 アダマンタイトスネークの亜種。

 特異変異個体であり、アダマンタイトよりもオリハルコンとの親和性が高い個体でオリハルコン鉱山や地中に微量に混ざるオリハルコンを捕食、同化している。

 オリハルコンの希少性と特異変異個体の少なさから成体まで成長するのは稀であり、その過程で同族のアダマンタイトスネークや他の魔獣に捕食される事が多い。

 稀に成体となった個体が、アダマンタイトスネークの群れを率いる場合もあり、アダマンタイトスネーク以上の討伐難易度を誇る。

 その表皮は人類が知る中で最高硬度と言われており、モース硬度100以上とされている。

 触媒石は頭





(硬った!それは硬過ぎでしょう!モース硬度100!?ダイヤモンドより硬いじゃん!この刀と同等以上の硬度があるって事……て、アレ?)




 アリシアはある事に気付いた。




(この刀もモース硬度100以上なの?もしかして、それほどピンチでもない。同等くらいの硬さがあるならわたしの技量次第で斬れるよね?慌てて損したかも……)




 それにしても大きいな周りの木々の半分くらいの大きさでアダマンタイトスネークよりも一回り大きい。

 しかも、忍耐力……耐久力が3000を超えている。

 流石、世界最強金属で出来ているだけはある。


 だが、アリシアのやる事は変わらない。

 敵が来るなら倒す。

 それだけだ。

 その方がやる事が明確で分かり易い。

 

 アリシアは”来の蒼陽”の剣先を向け、素早く振りかざした。

 凄まじい剣速は衝撃波へと変わり、大地を空気を抉りながら、オリハルコンスネークの胴体を輪切りにした。

 だが、流石に忍耐力が高いだけあり、今の一撃で一瞬だけのたうち回るが、”自動回復”で一気に回復、怒りを露わにしてアリシアに飛びかかる。




「なら、これで!ランページバレット!」




 右手で指鉄砲を形作り、人差し指で引き金を引く動作と共に複数の炎の弾丸がオリハルコンスネークの頭部に激突する。

 爆炎と爆風がオリハルコンスネークの頭部を大きく仰け反らせるが、勢いを殺しただけで頭部に黒い煤がついた程度だった。





(何だろう、神火炎術使ってみたけど、これじゃない感が凄い。術のイメージが曖昧で威力が上がらない……?)






 感覚なら今の一撃で頭部を吹き飛ばしていたが思うようにはいかなかった。

 しかし、今の一撃で敵は怯んだ事で動きを止めた。

 アリシアは一気に間合いを詰め、首元まで飛び上がり、”来の蒼陽”を払い上げる。

 刃が接触した瞬間、硬くて切れない様な感触があったが、その違和感に対して体が反射的に覚えていた。

 今すぐに迷いを断ち、そのまま斬りつけないとならない……そうしないと殺されてしまうと直感的に理解出来た。

 本能に従い、そのまま斬りつけた刃はオリハルコンスネークに食い込んだ。

 アリシアは腰の回転と腹筋の連動とそれに伴う腕の連動を意識して円運動で刃を払う。

 渾身とも言える切っ先がオリハルコンスネークの頭部を斬り裂き、頭部が地面に落ち、敵は絶命した。

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