遊ぶ子供.4
「知り合いなのかい?」
横で聞いていた同僚が尋ねてくる。
「……えぇ。でも急いで探しに行った方がいいわね。目的がわからないもの。ごめんなさい。あと、お願いしていい?」
「行っておいで!さぁ、子供たち、あんたたちはみんな2階の部屋に戻ろう。今日はもう遊びに行っちゃダメだからね」
同僚がスフィヤの友人たちを2階に追い立てるのを横目に、ラズは大急ぎで裏口から工房を飛び出して行った。
子供たちの言う空き地がどこにあるかはラズもよく知っていた。急いでそこへ向かったが、誰もいない。手掛かりになりそうな目撃者もいない。
「どうしよう…ティファン、どうして今急に?それに私じゃなくて、なんでスフィヤがわかったのかしら……?目的もわからない……何のために?」
わからないことだらけである。
「何も持ってなかったって言ってた……小さい皮袋……まさかあの時と同じ格好してるのかしら。だとしたら、遠くへは行けないはず……人の集まる場所で聞き込んだ方がいいかもしれない」
そう呟いてラズは市場の方へと走り出す。
「まったく……スフィヤの12歳の誕生日だっていうのに……」
そう言って、ピタリと足を止めた。
「僕たちの一族は男はみんな12歳になったら旅立つんだ」
昔に聴いた声がそのまま頭の中でよみがえる。
「まさか……いや、だとしたら、余計に準備のために市場なり、買い物に行くはずよ。スフィヤは遊びに出かけただけだし、長旅なんかできる格好じゃない。水や食料も必要でしょうしね……」
自分の推理が当たっていることを願いながらラズは自身の勤める店もある市場へと再び駆け出した。
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