遊ぶ子供.3

 慣れた手つきで機織機を動かすラズ。メリラは店で客を相手にしているので、店奥の工房には他に数人の職人たちしかいなかった。

「スフィヤのお母さん!」

そこに子供たちがなだれ込んでくる。

「みんな、どうしたの?ここは危ないから、そんな走って来ちゃダメじゃない」

染料を入れた壺や、仕立てた生地を置いてある作業台を縫うように駆けて来た子供たちにラズは優しく注意する。


「大変だよ。スフィヤが倒れちゃった!」

それを聞いてガタンッと音を立てて急いでたと上がるラズ。

「一体どこにいるの?」

「いつもの空き地にいたんだけど、変なおじさんが連れて行っちゃったかもしれない」

「なんですって!?」

「ラズ、理由は話しておくから、とにかくスフィヤを探しに行った方がいいんじゃないかい?」

同僚の職人に心配されてラズは頷いた。

「変なおじさんって……あぁ、もう一体どうしたら……何か言ってた?そのおじさん?連れて行ったかもって、どういうこと?」

「スフィヤに一緒に来いって最初に言ったの、そのおじさん。あと名前はティファンって言ってた」

「旅人みたいな格好で、白いマントみたいなのしてたよ。あとは小ちゃい皮袋背負ってただけで、何も持ってなかった。人攫いだとしても、あれにスフィヤは入らないよ」

「こらっ、おかしなことを言うんじゃないの!」

「……もう一度ゆっくり言ってくれる?名前は何だって?」

「ティファンって言ってたと思う……」

「……ありがとう」

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