求人.2

「それに、都に行ってどうするつもり?悪いことを言うようだけど、この村の娘ってことは、読み書きもできないだろうし、そんな女が都に行っても、仕事は1つくらいしかないわよ?」

「字は読めます!……書くのも少しなら」


「?どういうこと?あなた学舎に行ったことないんじゃないの?」

「学舎に行ったことはありません。でも、妊娠がわかった時に、祖母に一足先に気づかれたんです。その時に言われました。勉強をしないかと。字が読めるだけで選べる選択肢は増えるんだと。だから1月ちょっとの間でしたが、家事の合間に祖母に貰った古い本を教科書に、勉強したんです。村の掲示板も9割方読むことができるので、そこは問題ありません」


「へぇ…意外としっかりしてるのね。っていうか、驚いたわ」

「この子を育てるために出来ることがあるなら、惜しんではいられないですから」

「…覚悟も充分、か。あたし、なんだかあなたが気に入ってきちゃったかも。そういえば名前は?」

「ラズです」


「書ける?」

「はい」


 そう言って少女が差し出した紙の隅に、ラズは小さく「私の 名前は ラズです」と書いた。


「子供の字みたいね。でもちゃんと読める。あなた凄いわ」

少女は笑いながらその上に何かを書き足した。


「メリラさんと言うんですか?」

「そう!なんだ、ちゃんと読み書きできるんじゃない。それなら簡単な仕事なら見つけられそうね。凄いわ、ラズ」

「よかった……村の外でも通じるか、正直不安だったから」

「大丈夫よ。子供みたいな字なんて言ってゴメンね。でもこれは単に慣れていないからよ。そのうち上手くなるわ。むしろ1ヶ月でここまでできるものかと驚いた」

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