求人.3



「メリラさんは、何の商売をしているんですか?」

「私?仕立て屋の娘なの。ここはいい布を織る職人がいるみたいでね。それで父親に無理言って連れて来てもらってるのよ。直接自分で見て仕入れたいって」


「メリラさんもお仕事してるんですね、凄い……」

「何よ?遊び半分で着いてきてる娘だと思ったの?」

「いえ!そんなつもりじゃ……でも私は家の仕事しかしたことがないから、凄いなって」

「家事だって立派な仕事だよ。それにラズみたいに読み書きできるなら、家事が得意なら家政婦とか探してる家もあるし、市場の売り子だってできるね。都に行ってもなんとかなりそう」


「だったらいいんですけど……」

「でもまあ、まずは都に行く手段よね……歩いて行くのは無理だわ。馬のいる隊商でさえ2、3日かかるんだもの。身重の体でそんなことさせれないわね……あー、何か、あなたをうちの父に紹介できるようなことがあればいいのに。そうしたら私の友達で、都の仕立て屋を見たがってる子がいるって言えば、片道くらいなら連れて行ってあげられそうなのになぁ…」


「やっぱり、何もない、こんな娘には難しいでしょうか?」

「何もなくはないでしょうよ。でもうちの商売と相性がいいかって言われるとね……例えばあんたが機織ができたりして、こんな布が織れる。なんて特技があったりすれば、1発でうちの店に来てもらうのになぁ」

「あっ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る