第3話 バイト先の彼女は意外といい人
学校一の美少女の彼女に生徒手帳を渡した日の夜、いつものようにバイトをして働いていた。
あれから何度も指導してもらったが、初めて抱いた柊さんの無愛想で冷たい印象は変わらずそのままだ。
だが教えてくれるときは優しく丁寧で、分からないときは聞いたら怒らずに教えてくれるので根は優しい人なのだろう。
困ったときはすぐ助けてくれるし、なんだかんだ俺はこの人に対して好感を抱いていた。
「柊さん!」
「どうかしましたか?」
「今日も助けていただいてありがとうございました」
「……私、何かしましたか?」
バイトを終えて柊さんに礼を告げると、彼女はまるで心当たりがないようで、コテンと不思議そうに首を傾げた。
彼女にとっては大したことではなかったのだろう。
優しくしたことに気付かないほど当たり前のように優しく出来る彼女が少しだけ眩しい。
「今日来たクレーマーの人の対応で困っていたとき、代わって対応してくれたので」
「……ああ、そんなこともありましたね。別に気にしないでください。仕事ですから」
俺の言葉に納得したような声を上げる柊さん。彼女にとっては本当に些細なことならしく、素っ気無い返事だけが返ってきた。
「そんな、気にしないなんて出来ないですよ!何か今、困ってることとかありませんか?よければ力になりますよ」
今回のことだけではない。自分がまだ入ったばかりで慣れない時に何度も助けられ救われてきた。流石にここまでお世話してもらって何も返さないわけにもいかない。
言っておいてなんだが俺の提案を受け入れるなんてことは期待していない。
おそらく柊さんは俺の提案を断るだろうが、自分が感謝していることだけはきちんと伝えておきたかった。
断られたときは、有名店のお菓子でも買って渡すとしよう、そう思っていたが予想外の返事が返ってきた。
「……じゃあ、一つ相談にのってもらえますか?」
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