第15話 限界

自分の意見を言っても、否定ばっかりされると分かってから、私はほとんど話さなくなった。そう、ただ聞いているだけ。自分の意見を言うことが怖くなっていたのだった。


部活に行くことが辛くなった私は、結局退部することになった。


頼んでもいないのに、コーチが話し合いをもうけ、退部の理由となった関係性が悪化したことについて話し合え、と言われた。


三人からすると私を辞めさせたことになるわけだから、私は三人が私に対して何を言うのかと少し興味を持っていた。最低限謝りはするよね、と考えていた。だが、最後の最後で、私はどん底に突き落とされることになる。


「そんなつもりはなかった」


は? そんなつもりはなかった? 謝らないで最初に出た言葉がそれ? なんて便利な言葉だこと。



私は限界を迎えた。


「何がそんなつもりがなかっただ!! 人のことさんざん傷つけておいて!! 三人ではケラケラ笑っているくせに、私がふざけたら冷たく接してきて! 敬語に丁寧すぎることなんかないのに、そう言ってきて! 男子みたいに先輩のこと、さんをつけて呼んだら、なめてるって言ってきて! じゃあ、男子は先輩のことをなめているんですかって聞いたら答えなかったじゃん! それに彼のことを悪く言って私が彼と学校に来たら引いて、それなのに彼がBの親友と付き合いだしたら、一切悪口を言わなくなって、私が少し腹が立った時にそのことを言ったら、共感どころか、否定して! 他にもたくさんたくさん、人のことを傷つけておいて! 何が、そ、ん、な、つ、も、り、が、な、かっただーーーーーーーー!!!!!」


席から立ち、自分の出せる限りの声で、唾を飛ばしながら吐き散らかした私は、言い終わった後、肩で息をしていた。


三人の顔を見ると、私を怖がったのか、顔を引きつらせて激しく泣き、顔をぐちゃぐちゃにしながら、ごめんなさいごめんなさい、と謝っていた。コーチは驚いた顔をしていた。


そして、力なく席に座った私をコーチはなだめるようにしてから、曖昧な締めくくりをしてその話し合いは終わったのだった。


席を立ち早歩きでクラスを出た私は、扉を閉めてから廊下で息をつき、三人の泣きじゃくった顔を見ることが出来て完全にあいつらに勝つことが出来た、と思って自信満々に胸を張って帰ったのだった。




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