第10話 怒り6
部活が早く終わった時があり、私たちは帰りにファストフード店に行った。
先に席を取り、私は、待っているから先に買ってきて、と三人に言ったが、Aが待っていると聞かなかったので、私は仕方なく二人と一緒に買いに行くことにした。正直一緒に買いに行くと、自分だけ決めるのが遅かったら迷惑をかけてしまう、などと無駄なことを考えて疲れてしまうので、一人でじっくりと選びたかったのだ。
買い終えて席に戻ってきた私たちは、一人で買いに行ったAが帰ってくるまで食べずに待っておこうということになった。それにも疑問がある。部活終わりでとてつもなくお腹がすいているというのになぜ、待たなければならない? 待って何になるの?
もちろん自分の意見は述べた。だが、即却下。いや、本当に何なの。そんなことを思いながらも私は、食べずにちゃんと待っていた。
向かいに座った二人を見ると、どちらもスマホを触っていた。まだ、食べてはいないが、食べる場所でスマホを触ることはマナーが良くないとテレビで言っていたなとふと思った。だから、私はスマホを触っていない。だが、スマホに夢中な二人に話しかけることも迷惑だと思った私は、今日くらい良いかな、とかばんからイヤホンを取り出して、音楽を聴き始めたのだった。
なぜ音楽を、というと、私には夢中になるくらい、日ごろからたくさんメッセージなんて来ないからだ。だから正直、スマホを開いてもやることがない。だからAが帰ってくるまで音楽を聴いて癒されようと思ったのだ。だが、そんな至福のひと時はCの言葉によって潰されてしまう。
「え、聞く?」
私は負けじと反論する。
「Aが帰ってくるまでだし。それに二人はスマホに夢中で邪魔するのもあれだし、話してくれなさそうだから」
私は圧をかけてそう言った。するとCは、何も言わなかった、言えなかった。
よし。私はやっと言い負かすことが出来たと心の中で喜び、音楽をまた聴き始めた。そしてAが戻ってきてから、私は美味しく自分の頼んだものを食べたのだった。
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