第74話 デートをした。③ (ver.長友桜)
デート最終回ですね。それではお楽しみください(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
----------------------
俺達は鶴岡八幡宮の境内へと入った。まず目につくのが倒れて根本だけになった銀杏の木と隣にある植樹され育ってきている銀杏だ。
この大銀杏は日本史においてもとても重要なものだ。公暁が第3代将軍源実朝を暗殺する為に、この大銀杏に隠れて機を窺っていた場所である。
ただ2010年の3月に雪と強風によって倒れてしまい修復不能となった。そのため、現在は植樹から復活させようと取り組んでいるらしい。
などと長々と語っても長友さんは嬉しそうに俺の話を聞いてくれる。本当に嬉しい……
『この銀杏にそんな歴史があるなんて知りませんでした…… 』
『まあ一つの知識ぐらいで良いと思うよ。』
『他に何か鶴岡八幡宮の歴史みたいなのないですか?』
『そうだな……』
俺はまた長々と話してしまった。
そして俺達は本殿やら鳥居やら色々な所を廻った。周りはカップルやら子供連れやら独り身の人まで様々いたが、俺達はどのように見えるんだろうか。やはりカップルに見えるんだろうな。
そろそろ夕刻になり始めていたので今日のデートはディナーを残して帰るだけとなった。駐車場へ向かい、車に乗り組み家へ向かった。
『鎌倉楽しかったです!ありがとうございました!』
『ああ、俺も楽しかった。ありがとな。』
『いえいえ…… 無理矢理デートさせたので楽しんでなかったらと少し不安で……』
『そんなことない。俺は桜と鎌倉へ行けて良かったよ。』
『ズルイです…… そんな事言われたらますます好きになります……』
俺はその言葉にはすぐに答える事が出来なかった。偽装結婚している身ではあるし、早乙女さんだって俺のことが好きなんだ。中途半端な回答が1番彼女を傷つける事はわかってる。
『その……ごめんな…… 俺は今誰かを彼女にするなんて出来る立場にないんだ……』
『知ってます…… だからこれから振り向かせてみせます!最後にディナーがあるんですから楽しみましょう?』
『そうだな、六本木で予約してあるから。』
暫く運転してようやく六本木に着いた。夕方は渋滞が酷い……
俺はそのお店の地下駐車場へと車をつけて降りた。まあこのお店は1度彩と来た所で個室になっているのでマスコミにはバレないだろう。
『ここ、結構高いんじゃないですか……?』
『まあ俺も4年目で給料上がったから気にしないでくれ。』
『ふふっ、わかりました。それじゃあお言葉に甘えますね?』
大事な所ではきちんと男性を立ててくれる。長友さんは本当に出来た人だと思う。正直出費はきついけど見栄をはってここにしている。それを察してくれたみたいだ。
個室に入り、コース料理を注文した。従業員全員が和服を着ていて、内装もしっかりと凝っておりとても趣がある良いお店だ。
『お料理楽しみです!』
『ああ、俺もだ。ここは絶品だからな。』
暫くして料理が一品一品出てきた。前回はランチだったけど、今回はディナーなのでそれぞれのタイミングで運ばれてくる。
『凄いですね、めちゃくちゃ美味しいです!』
『喜んでくれて良かったよ。』
俺達はそれぞれの料理に舌鼓を打っていた。その間も鎌倉での話題や、会社での話題など会話は途切れることは無かった。それでいてまた居心地が良い。
1時間ほどして最後まで食べ終わった。これで今日は終わりらしい。
『ふぅ…… たくさん食べました。とても美味しかったです、ありがとうございます!』
『どういたしまして。それじゃあ家まで送るよ。』
『いや、それは悪いです……だってお家はここから30分ほどかかりますし……それに寮なので誰かに見られると危ないと思います。』
『それじゃあ寮の近くまで送るよ。それなら大丈夫かな…?』
『あ、はい…… ありがとうございます!』
俺はお店を出て、車で長友さんの家の近くまで運転した。横浜の会社だけど、女性寮は何故か大田区にある。
最寄り駅付近に着いた所で俺は車を停めた。
『はい、着いたよ。』
『ありがとうございます……』
『ん?どうした?』
『せっかくのデートが終わっちゃうんだって思って…… すみません、気にしないでください!』
『そうだな、今日は楽しかったからな。また日が合えば行こうな。』
『本当ですか!?やったぁ……』
まあ土日に出勤することなんてそこまでないし、日はそれなりには合うだろう。
『あの…… 今日のお礼をしても良いですか……?』
『ん?なんだ?』
すると長友さんは俺の顔を手でこちらに向けて固定した状態で、キスをしてきた。
俺は突然の出来事に状況を把握出来なかった……
キスは2、3秒だった…… 外は真っ暗で、車も車内のライトすらつけていない状況なので真っ暗だったが、何故か長友さんが顔を赤くしているのはわかった。
『これは今日のお礼です!私のファーストキスです…… 康太先輩はこの間美川さんとキスしたましたけど、私が上書きしちゃいました……』
俺はあまり信じられなかった。だってあの小悪魔的な長友さんがファーストキスなのか……?めちゃくちゃ可愛いのに……それにそんなに俺の事を想ってくれていたのか……
『その…… ファーストキスは誰にも言わないでくださいね…… 恥ずかしいので…… それに味はやっぱり甘酸っぱい感じですね…… それじゃあ帰りますね……』
『ああ……それじゃあな……』
長友さんはそそくさと車を出て行った。俺は暫く何もしないでただ長友さんの後ろ姿を車の中から見送っていた……
----------------------
良ければ星とフォローのほどよろしくお願いします(●´ω`●)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます