第75話 side 廣瀬雄大




 早乙女さん回を楽しみにしていた方ごめんなさい……


 最近旅行回が重なっていたのでこちらを先に持ってきました。


 こちらは物語の分岐パートです。時期としては7月半ばになります。


 それでは是非お楽しみください(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾





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 俺は先月の彩との出来事から布石を打っておく事にした。部下に命じて色々とやってもらった。俺はあの時既に彩が俺への気持ちがない事に気づいていたからな。


 そして今日は彩から呼び出しがあった。まあ別れ話だろう。想像に難くない。もう既に7月クールの主演ドラマが始まったというのにな。


 俺は呼び出しの7時に間に合うように仕事を終わらせて、いつもの個室の料亭で落ち合った。


『雄大さん、お久しぶりですね。先日はすみませんでした。』


 彩は俺が部屋へ入ってきて早々にそのように述べた。まあ挨拶と言ったところだろう。


『久しぶりだな、彩。あんまり連絡もしないで悪かったな。俺も頭を冷やしてたんだ。』


『あの件はビンタした事に関しては私が悪いので……その……短絡的でした。』


『まあ良いよ。俺も児島君へ悪いことを言ってしまったようだし。それにそろそろ彼にお礼をするつもりなんだ。』


『それは結構ですよ。今日は私達の関係について話があります。』


 やっぱりか…… どうせ別れたいんだろ?


『偽装結婚の間に俺を呼び出したってことはよっぽどの事があったんだろ?ゆっくり聞かせてくれ。』


『いえ、そこまで手間はとらせないつもりです。ここでお料理は私は頼んでいないので…… 雄大さんの分は私が既に支払ってあります。』


 偉い苛立ってるな…… こんな彩今まで見たことないぞ……


『それで話ってなんだ?』


『私達もう別れましょう。こんな関係続けても幸せになれません。』


『ああ、その話か…… それでなんで急にこの話を持ち出したんだ?』


『あなたが好きでは無くなったからです。』


『誰が他に好きな人が出来たって事か? それが児島君なら辞めた方が良い。彼に惚れているのは同棲しているからだ。』


 とりあえず先制的に言っておいた。それで言いにくくなるだろう。


『私が好きなのは……そうです、児島さんです!それに理由は同棲で好きになったわけじゃないです!私は…… 彼の人柄に惚れたんです!あなたのような自分勝手な人では無く、人を思いやるその気持ちに惚れたんです!』


『ほう、それで俺と別れると?別れても偽装結婚はどうするんだ?別れたら彼といる意味がないだろうし、彼も彩の家から出て行くと思うが?』


『そ、それは……それでも良いんです…… 私は偽装結婚をやめて、純粋に児島さんにアプローチしていきます……』


『偽装結婚を急にやめても彼に迷惑だろう? 続けるのも彼に負担はかかっているけどね。彩の言う通りには事は進めないと思うよ。』


『な、なんでですか……?』


『連続テレビドラマ中に離婚みたいな問題を起こしたら彩は莫大な損害賠償が求められる。それにこんな短期間で離婚したら女優生命にも関わると思うけどね。』


『離婚を発表するのは、ドラマが終わった10月にするつもりです。それまでは一緒に住むか、別居するかは児島さんに任せるつもりです。』


『まあ良い。どうせ彩の気持ちは変わらないんだろう?』


『はい、絶対に変わりません。』


『わかったよ…… でももし俺が大田美紀さんと別れたらまだ復縁するチャンスは無いのか?』


『それでも無いです。私の気持ちは固まってます。』


 まあ良い。俺に恥をかかせた事を覚えておけ。とりあえずここは引くけどな。


『ああ、残念だよ。俺もいつまでも別れ話を引っ張るつもりもない。』


『それでは別れてくれますか……?』


『まあここで引き止めても無理なのはわかるし、俺も別れるなら綺麗に別れたいしね。今まで5年間付き合ってくれてありがとうな。』


『はい……こちらこそありがとうございました…… 今の私があるのは雄大さんのおかげではあるので…… それでは失礼します。』


 そう言って彩が出て行った。


 はぁ…… 色々と厄介な女になったもんだよ…… 昔はあんなに俺に従順だったのによ。でも結局一回もヤらせてくれなかったな、結婚してからが良いって。他の女と浮気してなかったらあんなガードの固い女と付き合ってないのによ。逆に今までなんで気付かないんだよ、馬鹿が。お見合いからようやく気付くなんてな。


 まあ俺をこんだけコケにしたんだ。お前も人生狂わされても文句は言えないだろう。それに児島君の人生も狂わせるからな、俺の女の一人をとった罪だ。


 俺は地下駐車場に待っている部下をここまで電話で呼び出した。


『お呼びでしょうか?廣瀬様。』


『ああ、美川と児島の件だ。』


『はい、手筈通りに進めますか?』


『ああ、そうしてくれ。ただ今は連続テレビドラマのクールで俺の会社に損害が出ては困る。最悪ドラマ中止になるかもしれないからな。だから10月にしてくれ。それまでは今まで通りだ。ただ一つ俺から仕掛けようと思ってる。これが成功すれば児島君に関しては無しだ。』


『はい、かしこまりました。それでこの後のご予定はどうしますか?』


『ああ、とりあえずここで料理を食べる。お前は大田さんに連絡してくれ。仕事の予定が長引いたって。俺は食べ終わったらクラブに行く。いつものVIPの所まで運転してくれ。』


『はい、かしこまりました。それでは失礼します。』


 これで準備は整ったし、2人とも人生が終わるくらいの事件になるだろうな……とりあえずいつも通りに女と遊びまくってストレスを発散させるか。




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