Re.アナザーストーリー 親友は後輩に好かれている


*これは以前の作品に投稿したものなのですが、少し内容や設定を変更し、一つの別ストーリーとしてこの作品に投稿することにしました。


是非、読んでくれると嬉しいです。






俺、川島拓真には好きな人がいる。いや、いた。と言った方が正しいかもしれない。


その人は俺の親友 山下裕太の幼馴染である齋藤陽葵だ。


高校一年生の時、俺は陽葵ちゃんに一目惚れした。しかもこれが初恋だった。


自分で言うのもなんだが、俺は人より運動も勉強も出来る。周りの奴から羨ましがれる程に。


だから正直な話、俺は陽葵ちゃんに告白すればきっと付き合える。そう思っていた。


そして俺は高校一年生の最後の日、陽葵ちゃんに告白した。


「ずっと前から好きでした。付き合ってください!」


しかし、彼女から返ってきた言葉は、想像とはかけ離れたものだった。


「ごめんなさい、拓真君とはつきあえません」


正直、思った以上にショックだった。告白した事も、ましてや恋をしたのも初めてだった俺には、衝撃が強すぎた。


そこで俺は決意した。


もう二度と、恋愛なんてしない。と。





高校二年生に進級した。


俺は運悪く、陽葵ちゃんと同じクラスになってしまった。その代わり、親友の裕太も一緒だった。それが唯一の救いだった。


二年生になってから数日後、俺は裕太から衝撃の事実をカミングアウトされる。


「俺、陽葵と付き合うことになった。」


「ぶはっ!?」


俺は思わず、口に含んでいた弁当を吹き出した。


俺の初恋の相手と…付き合ってる?


信じたくはなかった。裕太はぶっちゃけ、俺よりも勉強は出来ないし運動も俺の方が出来る。


しかし、話を聞くとどうやら裕太と陽葵ちゃんは幼馴染だったらしい。更には同棲までしているらしい。そりゃあ俺が振られるのも無理はない。


しかし、親友に彼女が出来たんだ。これを応援しないと親友とは言えないだろう。


俺は複雑な気持ちを心に留めながら、裕太と陽葵ちゃんの同居生活の手助けをすることにした。





「はぁ…マジかよ…」


俺は一人で家に帰りながら、失望していた。


いくら親友の恋愛相談とはいえ、相手は俺の初恋の相手。


素直に応援出来ない自分がいた。


俺は誰もいないアパートに帰ってきた。


実家から学校までの距離が遠いため、俺は学校に近いアパートに一人暮らしをしている。


話し相手がいないこの空間に慣れるのは大変だったが、一年も経てばそれが当たり前になっていた。


いつものように一人で料理を作り、一人でお風呂に入り、一人で眠る。


正直、裕太が羨ましい。きっと今頃、陽葵ちゃんの美味しい手料理でも食べているのだろう。


複雑な気持ちで、今日も一人で夜を過ごした。





翌日、俺はいつものように裕太と弁当を食べ、適当に授業を受け、一人で帰ろうとしていた。


そして放課後、一人で家に帰ろうとしていた時だった。


「あの…先輩?」


ふと、後ろから誰かが俺を呼んだ。


「ん?俺の事?」


振り返ると、そこには可愛らしい女の子がいた。


童顔気味の顔、セミロングの艶のある髪、それなのに陽葵ちゃんと同じくらいに膨らんだ胸。明らかに他の子には無いオーラを放っていた。


しかし、そんな美少女が何故俺に話しかけてきたのか。


すると、その美少女はとんでもない事を口にする。


「私、先輩のストーカーなんです!」


「……は?」


何を言っているのか、その美少女は今まで俺のことをストーキングしていたと言うのだ。


「だから、私と付き合ってください!」


「!??」


本当に何を言っているんだ!?この子は!


いきなり自分のストーカーをしていた事をカミングアウトしたかと思ったら、告白してきたじゃないか!


本当に意味が分からない…


「だめ…ですか?」


そう言う彼女は上目遣いで俺を見てくる。くそ、めちゃくちゃ可愛い。


しかし、俺はもう決めている。もう誰にも恋心を抱かないと。


「ごめん、俺は君とは付き合えない…」


俺は腹を括り、告白を断った。


これでいいんだ。そう思っていた時だった。


「そっか〜、じゃあ、私が先輩を惚れさせてみせます!」


「え!?」


俺の言葉を聞いていなかったのか、急に俺を惚れさせるとかいうすごいことを言い出した。


どうやらこの子には諦めるという選択肢は無いらしい。


このままじゃ埒が明かないと思った俺は、仕方なく了承した。


「はぁ…分かった。それなら良いだろう」


「やった〜!先輩だーいすき!」


そういった彼女はいきなり俺の腕に飛び込んで来た。


マシュマロのように柔らかい感触が腕に…じゃなくて!


「じゃあ先輩?これから一緒に帰りましょうね♡」


「あ、あぁ…」


こうして、俺 川島拓真と色々と気になる事が多い美少女後輩との奇妙な生活が始まった。

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