第9話 幼馴染だけではなく俺にも悩みがある
陽葵の悩みが解決した次の日の夜、俺は自室で頭を抱えていた。
「ああ…どうしよう…」
そんな困っている俺の鼻にはティッシュが詰め込まれている。とにかく鼻血が止まらない。
何故こんな状況になっているか、話は三十分程前に遡る。
夜ご飯を家族で食べた後、俺はお風呂に入ろうと脱衣所に向かった。
「風呂に入るか、いつもより早いけど…」
脱衣所の扉を開けた時だった。
「…え?」
そこには、生まれたままの姿で体を洗っている陽葵がいた。
濡れて艶の増した髪、くびれの出来たお腹。
光に当たって、より一層輝く白い肌。
そして大きく膨らんだ胸が柔らかそう…じゃなくて!
「ご、ごめん!そんなに見てないから!」
「そんなに見てないから!」という、『少なくとも少しは見たよ!』と、遠回しに言っている変な言い訳をし、その場から逃げるように離れた。
「ゆうくん!?別に大丈夫だよ!ってあれ…?」
あまりのスピードに陽葵の言葉が聞こえなかったが、本当にそれどころではなかった。
一度一緒にお風呂に入ったとはいえ、裸には流石に耐えられなかった。
そう、俺 山下裕太は人並みに性欲が無い。
というか、初心なのだ。
今思えば、昔からあまり性欲が無い俺は男友達と猥談をした事が無かった。
まさか、今になって初心なことが陽葵との生活に影響するなんて思ってもいなかった。
自室に飛び込むように入った後、鼻から大量の血が吹き出してきた。
そして、今に至る。
「どうすれば耐性付くんだろう…」
陽葵に相談しようと思ったが、陽葵本人にこれを言うのは流石にデリカシーが無さすぎる。
「明日拓真に相談しよう…」
その日の夜は、鼻血のせいで中々眠ることが出来なかった。
◇
翌日の昼休み。俺はすぐに拓真と一緒に屋上へ行き、早速相談を持ちかけた。
「んー、要は陽葵ちゃんの無意識なエロに耐えられるようにしたい。と」
「まあ、そういう事だ」
「お前…贅沢な悩み事しやがって……」
「本当に困ってるんだよ…頼む、何かいい案無いか?」
「んー、あ!いい事思い付いた!」
何かいい案を思い付いたのか、拓真は勢いよく立ち上がって提案してきた。
「陽葵ちゃんにめっちゃ肌出てる服着せて生活すればいいんじゃね!?」
「えー?陽葵がそれを許してくれるかな……」
「大丈夫だって!陽葵ちゃん優しいんだから!」
しかし、仮に陽葵が許してくれたとしても露出度の高い服が何も思い浮かばない。
「んー、めっちゃ肌出てる服って何かあるか?」
「例えば……裸エプロンとか!」
「えぇ!?」
陽葵の裸エプロンを想像する。綺麗な白い肌が沢山見えて…ってそれはまずい!
「そんな格好されたら、俺倒れちゃう…」
「頑張れよ!耐性付けるんだろ!」
「はぁ…」
拓真に相談したのは、間違いだったかもしれない。
◇
家に帰っている途中、俺は陽葵にダメ元でお願いをした。
「お願いがあります!」
「ん?どうしたの?」
「今日の夜だけでいいので、裸エプロンをしてくれませんか……」
なんてバカなお願いだろうか。いくら彼氏からの頼みとはいえ、これは受け入れてはくれないだろう。
「いいよ!」
「え!?いいの!?」
「だってゆうくんからのお願いだもん!断るわけないじゃん!」
俺の幼馴染兼同棲中の彼女が優しすぎて泣きそうです…
「それに…ゆうくんからそんなにえっちなお願いされるの初めてだったから……」
しおらしい顔で俺を見つめてくる。
まずい、また鼻血が出そうだ。我慢しなくては…
そうこうしてる内に家に着く。
ちなみに両親は仕事の関係で今日の夜は家にいない。妹の舞菜は今日が金曜日だからか、『帰り遅くなるね!』と連絡が来た。友達と一緒に夜ご飯を食べに行くのだろう。
つまり、今日は陽葵と二人きり。耐性を付ける絶好のチャンスだ。
「じゃあ、ゆうくんはちょっと外で待ってて」
「ああ、分かった」
数分後、陽葵から『入っていいよ!』と連絡が来た。
覚悟を決め、家のドアを開ける。
開けるとそこには、裸エプロンの格好をした陽葵が正座をして待っていた。
「おかえりなさい、あなた♡」
目の前にいた陽葵は、俺の想像以上に露出していた。
というか、なんでそんなにノリノリなの!?
俺、明日まで生きていられるのか……?
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